東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

【その2】【講演会】グエルチーノとバロック美術(国立西洋美術館)

2015年05月31日 | 展覧会(西洋美術)

【講演会】グエルチーノとバロック美術
宮下規久朗氏
2015年5月17日
国立西洋美術館


 盛り沢山な内容を1.5時間で収めるため、展開がスピーディ、7章だての話だったがその章名もメモしきれないほど。
 レジュメやかろうじてメモに残したことをもとに記載する。

(以下、本展に出品されていない作品を中心に)


1)あの頃、鍋は沸騰していた

 「画風の確立」期、勝負をかけた作品。100点以上のデッサンが残る。
 ≪アキテーヌの聖ギョームの着衣式≫(ボローニャ国立美)1620年。
 本作品によって、ボローニャにおける地位を確立。
 後年、この絵についてグエルチーノは「あの頃、鍋は沸騰していたんだ」と語る。
 なお、本作品を本展に出品すべく担当者は頑張ったが、実現しなかった、とのこと。


2)教皇が変わると美術シーンも入れ替わる

 グエルチーノの脂が乗りきったとき、パトロンであるボローニャ大司教枢機卿アレッサンドロ・ルドヴィージがローマ教皇グレゴリウス15世となる。
 教皇が変わると美術シーンも入れ替わる。
 グエルチーノはローマに招聘。大活躍。ローマの大規模注文を独占する。
 グレゴリウス15世の在位は2年半。もっと長生きしていたら、グエルチーノはさらに重要な画家になっていたであろう。


3)グエルチーノVSレーニ ≪アウロラ≫

 グイド・レーニの≪アウロラ≫(1612-14年)。パラヴィチーニ=ロスピリオージ宮殿の天井画。
 「世界一美しい絵」。写真を見る限りは大げさだと思う。本物を見ると考えが変わる。大げさではない。色彩が美しい。完璧な絵とはこういうこと。

 グエルチーノの≪アウロラ≫(1621-22年)。カシーノ・デ・ヴィラ・ボンコンパーニ・ルドヴィージにある。末裔が今でも住んでいる。
 古典主義VSバロック。真横から見るレーニ作品と下から見上げるグエルチーノ作品。
 建物は、タッシが担当。アルテミジア・ジェンティレスキの事件で知られる、あのタッシ。建物に特化の画家。

 1の日に公開される。HPで予約可。1時間で3万円だが、その価値はある。(←グエルチーノ作品の話だと思うが、よくわからず。)


4)グエルチーノのカラヴァッジョ体験

 サン・ピエトロ大聖堂のために描かれた≪聖ペトロネラの埋葬と被昇天≫1622-23年。
 聖ペトロネラとは、ペトロの娘。
 カピトリーノ美術館にある。高さ8メートルの大作。動かせない。門外不出。
 グエルチーノは、チェント時代にカラヴァッジョを見ていない。ローマに来てカラヴァッジョ体験をする。
 本作では、カラヴァッジョ≪キリストの埋葬≫体験が伺える。


5)レンブラントと同じ注文者がいた

 レンブラント(1606-1669)≪ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス≫(1653年)は、現所蔵者メトロポリタン美が1961年に当時の絵画史上最高額で購入したことでも知られる作品。
 その作品の注文者、メッシーナの貴族ドン・アントニオ・ルッフォは、対作品をグエルチーノ(1591-1666)に注文している。(←対作品は、制作されたのか、現存するのか等、わからず)


6)寄り目っ子

 ルーブル美術館蔵≪自画像≫1635年頃。目の辺りは、画家特有の影になっている。
 レオーニ作≪グエルチーノの肖像≫1623年も残る。


グエルチーノを8割堪能できる本展。
さらに、イタリア・ローマに行くことがあれば、

1)カピトリーノ美術館の高さ8メートルの祭壇画≪聖ペトロネラの埋葬と被昇天≫を見る。
2)カシーノ・デ・ヴィラ・ボンコンパーニ・ルドヴィージの天井画≪アウロラ≫を見る。
3)チェントやボローニャの教会を巡る。



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