「絵金蔵」で絵金&絵金派を見る。
「絵金蔵(えきんぐら)」は、赤岡に残る絵金の芝居絵屏風を保存公開するための施設として、2005年(平成17年)2月に設立される。
その建物は、もとは米蔵であったらしい。
通常日の開館時間は9時から17時であるが、私の訪問日を含む7月の祭りのある日(2024年は4日間)は、18時から20時までの夜間開館を実施する。17時にいったん閉館し、18時から再開館するようだ。
18時30分過ぎに入館する。
さすがに結構な混み具合。
館内案内図
1階のサロン(土間ホール)
「白描展」が開催中(7月9日〜8月12日)。
絵金や弟子が残した白描画(香南市個人蔵)を展示いたします。人物や芝居絵の下絵など様々な題材で描かれている絵金の白描。力強く美しい墨線からは絵金の画力の高さがうかがえます。
展示は2階の映像ホールにも続いていたようだが、人が多くてスルーしてしまう。
1階の展示室1「闇と絵金」
「闇夜に開く極彩色の芝居絵」
絵金の芝居絵屏風は、闇の中にあってこそ圧倒的な存在感と異彩を放つと言われています。
「絵金蔵」では、須留田八幡宮神祭の夜に倣って、展示室を薄暗くし、芝居絵屏風をご覧頂けるようにしました。
聞こえてくるのは、赤岡海岸の波の音です。
私の訪問時は明るい照明。波の音にも気づかず。
HPを見ると、夏の特別展の開催期間中は、
「闇と絵金」の展示室は、通常展示と異なります。芝居絵屏風をお提灯を持ってご覧いただくことはできません。
との注意書きがある。
なるほど、通常展示では、暗闇のなか提灯を持って芝居絵屏風を見る趣向なのか、おもしろそう。
展示室1を撮る。
2階の吹抜から展示室1を撮る。
展示室1では、夏の特別展「宵宮を照らす絵馬提灯 - 義経千本桜 -」も開催中(7月9日〜7月28日)。
絵馬提灯は芝居絵屏風と同じく神社の夏祭りに飾られたもので、箱型の木枠に絵を描いた和紙を貼り、中に入れられたろうそくの光で鑑賞します。神社の境内や参道を彩る灯り取りにもなり、通常は祭りが終わると燃やされる消耗品であり現存している作品はわずかといわれています。連作の絵馬提灯も一部残されており、本展では「義経千本桜」を紹介します。
絵金祭りにて横町商店街に飾られてきた作品であるらしいが、今年は祭りでの展示ができないこともあり(何故?)、絵金蔵にて展示されることとなったらしい。
香南市で新発見された絵金派の作品2点も展示。
1階の展示室2「蔵の穴」
「年に一度の文化を守るための日常」
まちに残っている23枚の芝居絵屏風は、今まで町内各区で保管されていました。
しかし、年に一度とはいえ商家の軒先に長年晒されてきた絵には傷みが見られるようになってきています。そこで、この赤岡の文化と芝居絵屏風を後世に残していくための収蔵庫としてつくられたのが「絵金蔵」です。
でも、やっぱり本物もご覧いただきたい…、壁に穴を開けて覗き見できるようにしました。
本物の芝居絵屏風を常時2枚ずつ公開し、月に一度展示替えを行います。
絵金蔵に展示される絵金の芝居絵屏風は高精細レプリカであるが、それだけではなくオリジナルも常時見せるようにしているらしい。
展示室2の壁に覗き穴が2つあって、覗くと、向こうにオリジナルが見える、という趣向。
館内案内図を見る限り、オリジナルは「収蔵庫」の前室に置いているのだろうか。
私の訪問時は、「5分の1展」が開催中(7月9日〜8月12日)。
不慮の事故による修理を終えて2017年に帰ってきた芝居絵屏風5点を、5週間に渡って順番にお見せします。これらの作品は作品保護のため、館内の展示ケースにて展示いたします。
展示スケジュール
7/9-7/14 《勢州阿漕浦 平次住家》
7/15-7/21 《蝶花形名歌島台 小坂部館》
7/23-7/28 《八百屋お七歌祭文 吉祥寺》
7/30-8/4 《蘆屋道満大内鑑 葛の葉子別れ》
8/6-8/12 《鎌倉三代記 三浦別れ》
※ 7/20・7/21は5点全て展示いたします!
不慮の事故とは何か。
2010年、熊本県での展覧会への出品の際の、燻蒸による変色事故のことらしい。
詳細は、こちら。
そういえば、2010年の板橋区の展覧会には、この事故にかかる支援の案内があった記憶。事故が7月下旬で、展覧会の開幕が9月上旬。もし、事故を受けて展覧会への出品を見合わせていたら。私の絵金ストーリーは存在しなかった。
私の訪問日は、5点すべて展示の日。
2点は展示ケース内で、3点は2つの覗き穴から覗く形で、公開されている(撮影不可)。
「土佐赤岡絵金祭り」における商店街の軒先での露出展示では、これら5点はレプリカが展示される(その旨しっかり表記されている)。
これら5点は、修復が終わっても状態は不安定で、露出展示には耐えられないと判断されているようだ。
なお、ほか18点の芝居絵屏風についても、2019年からの4か年計画で順次本格的修理を行い、2022年度に計画どおり完了しているとのこと。
2階の展示室3「絵金百話」
「絵金の生涯の謎を紐解く資料室」
絵金についての解説。絵金が暮らした頃の赤岡の町をキルトで再現。芝居絵屏風とは全く雰囲気が異なる、狩野派時代の作品や軽妙なスケッチなども紹介。
この展示室(撮影不可)は、混んでいたこともあり、ほぼスルーしている。
駆け足となるが、絵金蔵を楽しむ。