東京・ソウル・台北・長春-官展にみる-それぞれの近代美術
2014年5月14日~6月8日
府中市美術館
日本、朝鮮、台湾、満州の官展に関わった、各地の画家の出品作品や審査員として赴いた日本の画家の作品など約120点が紹介される。韓国や台湾の美術館等からも出品される。
東京 :文展→帝展→新文展(1907~)
ソウル:朝鮮美展(1922~44)
台北 :台展→府展(1927~43)
長春 :満洲国展(1938~44)
印象に残った作品。
有島生馬≪江南の春≫(東京編)
現地の若い女性二人組。馬に乗った一人の日本の若い軍人に話しかけられるが、それに応えることなく、視線を違う方向に向けている。背景には、日本の軍人たちが小さく映る。静の世界。
児島善三郎≪蓮花≫(東京編)
カメラが映し始めたと同時に、一斉に歓声を上げ少しでも目立とうととする子供たち、ならぬ、蓮たち、という感じ。ほほえましい。
岡田三郎助≪五族協和≫(長春編)
満州国務院庁舎の大壁画≪民族協和図≫(所在不明)の習作。手をつないで片足をあげてステップを踏む5人の女性。空虚。
赤羽末吉≪満州の冬の街頭物売り≫(長春編)
ラーメン屋さん。キャプションどおり「酷寒」とはこういうものか、を感じさせる作品。
呉梅嶺≪庭園一隅≫(台北編)
パイナップル柄の中国服の女性。小さい子供から何か問いかけられる。答えを画面の鳥や植物たちも待っている。
官展出品作品にはその旨の表示。
なお、満州国展の出品作品は、戦後の混乱やその後の中国の歴史のなかで失われ、現在のところ所在不明とのこと。