ベルリン国立美術館展 -学べるヨーロッパ美術の400年
2012年6月13日~9月17日
国立西洋美術館
会期最終日のベルリン国立美術館展に行ってきた。
家でのんびりして、到着は16時過ぎ。
その時間でもチケット売り場には相応に行列ができていたが、入場待ち時間は0分。
再訪の目的は2つ。
1つは、フェルメール「真珠の首飾りの少女」の見収め。
今回改めて見て、本作は実に素晴らしい作品だと思った。
本作をフェルメールのベスト1作品とする人が少なからずいることも今回納得した。
フェルメール来日19作品のなかでは、トップクラスのお気に入り作品とさせていただくこととしたい。
少女の表情、視線の先にある小さな鏡、窓枠の卵型の小さな白い物体、黄色いカーテンと黄色いガウンの対象、真珠、オレンジのリボン等、見どころは多いが、何よりも「白い壁」は見飽きない。
そして今回は、前回まで気にしていなかったのだが、テーブルの上の光に照らされている場所に置かれた静物に注目した。
小さな椀、刷毛、そして薄くて白い物体(紙片らしい)。
ロープでパーティションを作り、最前列で見たい人は一歩ずつ進め、じっくり見たい人はパーティションの後ろで、という、「真珠の耳飾りの少女」方式が取られていた。
が、最前列で見る分にも、そんなに待ち時間はない。5分くらいか。
ただ、最後尾が不明瞭。ちょうどレンブラント(派)の「黄金の兜の男」あるいは「ミネルヴァ」の真ん前あたりが最後尾にあたっていたような感じ。中途半端な行列システム。
素描コーナーは、今まで素通りに近かったが、今回は以下の5点を一応程度ではあるが鑑賞した。
・ボッティチェッリ「ダンテ『神曲』」2点
・ミケランジェロ「聖家族のための習作」
・ジェンティーレ・ベッリーニ「男性の肖像」
・シニョレッリ「人物を背負うふたりの裸体像」
もう1つの目的は、シャルダン鑑賞。
シャルダン作品1点が展示されていることは認識していたが、前回までは素通りで、何が描かれた作品なのかすら認識していなかった。
今回はじっくり・たっぷり鑑賞。
1760年作のシャルダンが後半生に静物画に回帰したあとの作品である「死んだ雉と獲物袋」。
三菱一号館美「シャルダン展」とは違い、シャルダンの前の列は途切れることはない。
会場の最後の部屋に展示されているが、皆さんこれまでの鑑賞に疲れたのか、一瞥程度で通り過ぎる人が多い。
オーディオ・ガイドの対象なので、立ち止まって真面目にガイドを聞いている人も見られる。
何よりも、私もその一人なのだが、オーディオ・ガイドも持っていないのに、長居する人が若干数見られた。三菱一号館美「シャルダン展」の影響か。
死んだ動物の絵は私の好みではないのだが、それでも本作はなかなかいい。
その両隣りに展示された作品も興味深かった。
ウードンが1777年頃制作した大理石の浮き彫り(レリーフ彫刻)。
シャルダンの左側が「エビと魚のある静物」。伊勢(?)エビと魚5匹(くらい)、そして小さなエイ。
右側が「死んだ鳥のいる静物」。死んだ鳥(5~6羽くらい)が重なり合っている。
日本人として馴染みのあるテーマだからか、前者の方が見事に感じた。
シャルダン+ウードン作品を見て思う。
当時のフランス美術供給者側の社会では、歴史画・宗教画・神話画をトップとし、風俗画・静物画を最下層とする超堅固な序列社会が築かれていたのだろうが、需要者側の社会(金持ち社会の話ではあるが)では、美術品を必要とするシーンに応じて(予算の都合が大きいだろうが)柔軟に楽しんでいたのだなあ。まあ、いつの世も同じか。
以上で17:30の閉館時間を迎えた。
三菱一号館美術館「シャルダン展」図録に挟むため、シャルダンの絵葉書を購入。
同じく17日が最終日の東京都美「マウリッツハイス美術館展」が20:00まで開室している。
見ようと思えば、2時間(=充分な鑑賞時間)あるのだが、上野を退散することとした。