海外における過去のベラスケス回顧展を確認する。
直近の大型回顧展は、2015年にパリで開催されたベラスケス展であるようだ。
Velázquez
2015年3月25日〜7月13日
Grand Palais, Paris
総出品数は119点、うちベラスケス作品(帰属、工房含む)が61点!と、豪華な回顧展であったようだ。
プラド美術館は同回顧展にベラスケス作品9点を貸し出し。7点が上限ではなかったのか。まあ、このような大規模な回顧展は例外だろうけど。プラド美術館所蔵のベラスケス作品48点中の9点。思い切った点数なのか、値切った点数なのか。
以下、9点の一覧。
✳︎見落としがあれば申し訳ありません。
《使徒の頭部》
1619-20年、38×29cm
《アリアドネ像のあるヴィラ・メディチの庭園》
1630年頃、44×38cm
《ウルカヌスの鍛冶場》
1630年、223×290cm
《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》☆
1635年頃、211.5×177cm
《聖アントニウスと隠者聖パウロ》
1634年頃、261×192.5cm
《狩猟服姿のフェリペ4世》☆
1632-34年、189×124cm
《フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像》☆
1635年頃、109×88cm
《パブロ・デ・バリャドリード》
1635年頃、209×123cm
《フェリペ4世》
1653年頃、69.3×56.5cm
☆印は、国立西洋美のプラド美術館展2018出品作を示す(3点)。
《ラス・メニーナス》は当然無い。代わりに、英国の美術館所蔵の同時代の画家によるコピー作品が出品。
《アラクネの寓話(織女たち)》や《ブレダ開城》も無い。
これら代表作はやはり貸し出さないのだろうか。
ベラスケス作品の主な出品者としては、プラド美術館のほか、ウィーン美術史美術館、ルーヴル美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、メトロポリタン美術館など欧米の大美術館が並ぶ。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵《鏡のヴィーナス》やローマのドーリア・パンフィーリ美術館所蔵《教皇インノケンティウス10世》の出品が光っている。
ウィーン美術史美術館所蔵《8歳の青衣の王女マルダリータ》と《王子フェリペ・プロスペロ》もある。
初期の風俗画・厨房画の出品は、ベルリン美術館所蔵《三人の音楽家》やアイルランド・ナショナル・ギャラリー所蔵《エマオの晩餐》など。意外にも見当たらないのは、エディンバラの《卵を調理する老婆と少年》やロンドンの《セビーリャの水売り》、《マルタとマリアの家のキリスト》など。
気になる女性像作品
《女性像》
Meadows Museum, Dallas
《聖ルフィーナ》
Fundación Focus-Abengoa, Sevilla
このベラスケス回顧展は、パリ展に先立って、ウィーン美術史美術館にて開催されている。
Velázquez
2014年10月28日〜15年2月15日
Kunsthistorischen Museum, Wien
詳細の確認はしていないけれど、会期は連続するものの、展覧会構成や出品作は相当異なっているようで、別の回顧展と言っても良さそうだ。
出品作はおそらく46点(うちベラスケス作品数は未確認)。
プラド美術館からのベラスケス作品は、分かる範囲で7点。これで正しければ、ウィーンに対しては上限7点を守っている。
《東方三博士の礼拝》☆
1619年、203×125cm
《ウルカヌスの鍛冶場》
1630年、223×290cm
《道化ドン・フアン・デ・アウストリア》
1632年頃、210×123cm
《道化カラバシーリャス》
1635-39年、106×83cm
《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》☆
1635年頃、211.5×177cm
《ドン・カルロス親王》
1626-27年、209×125cm
《アリアドネ像のあるヴィラ・メディチの庭園》
1630年頃、44×38cm
☆印は、国立西洋美のプラド美術館展2018出品作を示す(2点)。
パリ展と共通する作品は、3点と少ない。
それ以外の出品作としては、パリ展にも出品のロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵《鏡のヴィーナス》や、パリ展では非出品のロンドンのアプスリー・ハウス蔵《セビーリャの水売り》などが目玉だったようだ。
さらにウィーン美術史美術館自体が所蔵する、王女マルガリータや王子フェリペ・プロスペロ、王女マリア・テレーサなど、ベラスケス作の王室の人々の肖像画、それら全てが出品されただろうから、実に豪華。
ウィーン美術史美術館は、所蔵するベラスケス作の王室の人々の肖像画を、ウィーンの回顧展の前年にプラド美術館で開催された展覧会に貸し出している。
Velázquez and the Family of Philip IV
2013年10月8日〜14年2月9日
Museo Nacional del Prado, Madrid
こうした共同もあって見応えのある回顧展が作られていくのだろうなあ。