鴨居玲展 人間とは何か?
2022年9月14日~12月4日
中村屋サロン美術館(新宿)
鴨居玲(1928〜85)の回顧展。
約40点の出品。
【本展の構成】
1 自画像:鴨居玲、その人
2 鴨居玲の芸術
展示室は2つ。
展示室1は「自画像:鴨居玲、その人」と題し、自画像を中心に、12点と関連資料の展示。
《8,AVRIL 1982 昭生病院にて》
1982年、心筋梗塞に倒れて入院している時に制作した自画像。
賑やかな額縁は、自画像を入れたいと、画家がスペインで購入したものだという。
《チータ》デッサン
画家は、1974年からシェパードを飼い「チータ」と名付け、かわいがる。
「チータ」が亡くなると、2代目のシェパードを飼い、同じ名前を付ける。
展示室2は、引き続き自画像1点があり、以降は「鴨居玲の芸術」と題し、27点が展示。
《自画像 首吊り 襖絵》
右が首吊り、左が右をクローズアップした頭部で画家の自画像。垂れた絵具も不気味。
《食事》
ベンチに座っている老女が、膝に置いたパンの一切れを口に運ぼうとしている。
背中合わせに座っている老男は、新聞を広げている。
1971-74年に画家が滞在したスペインの小村の村人たちの一光景。
《廃兵》
日清戦争や日露戦争で傷ついた軍人。この言葉は第二次世界大戦の頃には使われなくなったとのことだが、画家はこの言葉に子供心に不気味に感じたという。
過去3度、鴨居玲の回顧展を見ている。直近は、2015年の東京ステーションギャラリー。
それらに比べると規模は大きくないが、画家の芸術世界を味わえる出品構成になっていると思う。
本展のメインビジュアル
《自画像(絶筆)》1985年