東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

若冲の京都 KYOTOの若冲(京都市美術館)

2016年10月23日 | 展覧会(日本美術)

生誕300年 
若冲の京都 KYOTOの若冲
2016年10月4日~12月4日
京都市美術館


   半年振りに関西プチ美術旅行を敢行。


   行き先は、生誕300年記念、京都の若冲展。京都市美術館での開催である。


   題名がいい。「若冲の京都 KYOTOの若冲」展。やはり若冲は京都である。国際観光都市「KYOTO」の誇る若冲である。東京都美術館や上野ではあり得ない。


   残念ながら、《動植綵絵》30幅は出品されない。また《菜蟲譜》もない(←10/29〜11/20に所蔵者である佐野市立吉澤記念美術館で公開予定)。


   さらに、本展の目玉となる《象と鯨図屏風》も《百犬図》も《果蔬涅槃図》も《樹花鳥獣図屏風》も11月になってからの登場であり、この時期にはない。


   行くなら、上記目玉4点中3点が揃う11月22日以降でないと意味薄、行き先を奈良に変更しようかとも思ったが、4点ともごく最近観ているし、なくても構わないと、訪問。

 

感想。


1  混雑状況

   京都駅から100系統バスに乗り、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」で下車したのは開館時刻の数分前、目の前の京都市美術館には開館待ち行列ができている。コンビニに寄って、開館時刻の数分後に美術館に向かうと、開館待ち行列は消えている。チケット売り場に並んでいるのも数人のみ。即入室。普通の展覧会の状況。

   展示室内は、開館直後の時間帯ということもあって、さすがに渋滞しているが、東京都美の若冲展に何度か通い、入室までのあの待ち時間+入室後の朝の通勤時間帯のピーク時並みの常軌を逸するあの混雑を何度か体験した身としては、若冲展=大混雑という感覚になってしまったらしく、この程度の混雑ならストレスを感じることなく、楽勝ムードで鑑賞する。

   といっても、今は会期前半で目玉作品も未登場。11月も下旬になると相当な混雑になるだろうが、《動植綵絵》が出ないので、びっくりするほどにはならないだろう(感覚が麻痺していることは否めないけど)。

 

2  目当て作品

   それほどの混雑でないといいつつも、開館直後の時間帯、最初の展示室とその次の展示室には人が連なっている。
   最後の展示室から観ようと先へと進み、出口を確認する。
   と、出口の右手の一画に、私的に一番のお目当て作品が展示されている。


No.123《花卉図》義仲寺

   義仲寺の天井画は、木板がひび割れたり、雨漏りで絵の具が滲むなど傷みが激しくなったことから天井から外されて保管されており、現在は2008年に大日本印刷が高精細デジタル技術で精緻に複製した天井画がはめ込まれています。今回の展覧会が、天井から外されて初めての公開です。
   会期中、上図(注:15枚)の中から6枚ずつ展示されます。


   若冲の現存する天井画は2作品というから、貴重。確かに相当なダメージを受けており、若冲らしい描写を味わうのは厳しいかもしれないが、《カキツバタ》《ボタン》《シデコブシ》《ハス》《アサガオ》もう一つの《カキツバタ》の6図を楽しむ。


   こうなると、現存するもう1作品も気になるところ。


   もう1作品は、京都市左京区の信行寺(最寄駅:地下鉄東西線東山駅)所蔵の《花卉図》。167枚(規模が違う!)からなり、かつ今も天井画として本堂外陣にあるという。2015年も公開されたようだが、2016年も11/11〜13の3日間限定で特別公開される。今回のプチ美術旅行、この時期にしたかったなあ。

 

3  出品構成

   第一展示室を除き、題材により分類されている。これはなかなか楽しい。


【第一展示室】

1)障屏画
   4点。

2)拓版画
   《乗興舟》少しと、《玄圃瑤華》2図が、障屏画と同じ展示室の隅っこに慎ましく展示。


【第二展示室】

3)花鳥画I
   ほぼ掛軸作品。鶏がなんと15点連続して並ぶ。そのあと他の鳥が7点。


【第三展示室】

4)人物像
   17点。うち伏見人形が5点。

5)遊鯉
   なんと11点、鯉ばかりのコーナー。


【最後の展示室】

6)花鳥画II
   まずツルが6点連続。カメ、エビ、イカ、サル、ネズミ、ゾウ、ウシ、イヌが1〜3点ずつ計13点。

7)植物
   12点+天井画。
   《糸瓜群虫図》が人気。
   個人的には、梅とか菊とか牡丹とかよりも、里芋とか蕪とかが好みである。青物問屋の生まれの若冲だからこその味わいがある(というのはこじつけです)。

8)吉祥
   というより、説明文どおり、静物画ともいえそうな作品6点。

 

4  細見美術館

   私の訪問時の出品作の多くに所蔵先が示されていない(≒個人蔵)なか、えらく目にするのが、細見美術館蔵の表示。
   今改めて数えてみると、その数なんと19点! 5分の1に相当する。それは、えらく目にするはずだ。なお、通期出品の1点を除き全て前半限りで退場するので、細見美術館所蔵作品をみるなら、11/6までにどうぞ。

 

5  京都国立近代美術館

   京都市美術館向かいの京都国立近代美術館では、「メアリー・カサット展」開催中。
   横浜美術館と異なって、館前の宣伝看板が凝っている。

 

 

   東京都美術館の若冲展は、本当にスター作品ばかり揃えたのだなあ、と実感。

   京都の若冲展は、もっと気軽な感じの作品が題材別に展示されているのが楽しい。訪問は正解。



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