ケル゠グザヴィエ・ルーセル(1867-1944)
《小道の聖母マリア》
1890-92年頃、54 x 37cm
2018年度購入
国立西洋美術館
初めて名を知る画家。と思ったら、少なくとも三菱一号館美術館「オルセーのナビ派展」で画家の作品を見ていたらしい。拙ブログ記事でも、ナビ派12人衆の一人としてその名前だけ挙げていた(出品作には触れていない)。
【会場内解説】
ナビ派の画家ルーセルの、初期の造形的実験をよく物語る作品です。女性像の曖昧な顔貌、やや硬直した、厚みのない身体からのびるほっそりとした腕 - その中世の聖女像のごとき出で立ちは宗教的感情を喚起します。か細い女性像やS字状に伸びる小道は、同時期にナビ派仲間のモーリス・ドレが好んだモティーフでした。一方、作品の裏面には緑と茶色を主調色面の配置で風景が表され、ゴーガンやポン=タヴェン派が描くブルターニュ風景を彷彿とさせます。ドニやゴーガンを参照しつつも、女性がまとうロープの幾何学的形体で構図を安定させるなど、ルーセル独自の造形が発揮されているのも魅力です。
【気になる裏面のシール 5枚】
・ミュンヘンの美術館に貸し出し?
・ブレーメンの美術館に、1965年に貸し出し?
・「French Symbolist Painters」展に貸し出し?
国立西洋美術館HPの本作品解説の展覧会暦によると、1972年にロンドンとリバプールで開催された展覧会。
・マドリードおよびバルセロナの展覧会に1972年に貸し出し?
どうやら前述の英国の展覧会が巡回した模様。
・パリのギャラリーに貸し出し?
とまあ、個人的には作品裏面シールの鑑賞が結構好みである。
なお、購入時はもっとシールが多かったようである。
(国立西洋美術館ニュース「ゼフェロス」第81号より画像借用)
【来歴】(国立西洋美術館HP)
・Jacques Roussel, artist's grand-son
・his sale, Enghien, 13 April 1986, no. 25
・private collection, France, acquired at the above sale
・purchased by NMWA, 23 July 2018.
【購入価格】
28,128,300円