東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

ベルリン国立美術館展(国立西洋美術館)

2012年09月02日 | フェルメール

ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年
2012年6月13日~9月17日
国立西洋美術館


  フェルメール「真珠の首飾りの少女」をまさか日本で見ることができるとは。


  熱心に装い中の少女。
  その少女の表情。視線の先には小さな鏡。窓枠にはなぜか卵型の小さな白い物体。黄色いカーテンと黄色いガウンの対象。真珠。オレンジのリボン。
  等々、見る先は多い。
  が、なんといっても見つめてしまうのは「白い壁」。少女と鏡の間に大きく広がる「白い壁」。
  強く惹かれる。


 フェルメール作品による1点豪華主義の展覧会。
 といってもいいかもしれないが、他にも興味深い作品はある。


 北方の彫刻群。
 見る機会が少なく、馴染みが薄い領域であるがゆえに、貴重な機会。


 イタリアの作品。
・ピントゥリッキオ「聖母子と聖ヒエロニムス」。「派」「工房」なしの作品はなかなか日本ではお目にかかれない。
・チーマ・ダ・コネリアーノ工房「聖ルチア、マグダラのマリア、アレクサンドリアの聖カタリナ」。過去もこれからも全く動くことのない「絶対静止」の世界。
・ロベルティ「洗礼者聖ヨハネ」。代表作が破壊されたため、注目されることの稀な画家。フェッラーラ派らしい、どこか不穏な雰囲気を感じさせる作品。
・ヴェロッキオ工房「コジモ・デ・メディチの肖像」。前から見ると普通の横顔の彫刻。だが、横から見ると、盗み聞きしようとして行き過ぎた余りに、壁に顔が埋まってしまい、顔も縦長に変形してしまったという感じが笑いを誘う。
・ミーノ「女性の肖像」。可憐な雰囲気。


 見応えのあった作品は、
・デューラー「ヤーコプ・ムッツェルの肖像」
・ベラスケス「3人の音楽家」
あたり。あと、ヘメッセン「金貨を量る若い女性」は、1530年頃アムステルダムでの作品だが、その図像は珍しく感じた。


 素描も本展の柱だが、ボッティチェッリ「神曲」2点やミケランジェロ「聖家族のための習作」のほかは、時間の関係から素通りしてしまった。(惜しいことをしているかも・・・)


 同じく上野の「マウリッツハイス美術館展」がフェルメール2点、レンブラント6点など、オランダ・フランドル絵画の名品で攻めているのと比べると、本展は、フェルメールは互角として、それ以外はどうしても薄く感じてしまう。
 フェルメール1点だけで十分満足しなければならないとは認識しているが、ベルリン美術館は、レンブラントはもちろんのこと、各時代の素晴らしい絵画を多数所蔵しているのだから、もう少し絵画作品をサービスしてほしかった。 



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