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【画像】「没後100年・黒田清輝と近代絵画の冒険者たち」(東京国立博物館本館特別1室・特別2室)

2024年08月29日 | 東博総合文化展
没後100年・黒田清輝と近代絵画の冒険者たち
2024年8月20日〜10月20日
東京国立博物館本館特別1室・特別2室
 
 
 黒田清輝(1866-1924)の重要文化財《智・感・情》1899年。
 黒田記念館の特別室において年3回、春・秋・正月の各2週公開される《智・感・情》が、今、本館特別1室にて公開されている。
 
 
本館特別1室での公開(2024年8月〜10月)
 
黒田記念館の特別室での公開(2024年春)
 黒田記念館の特別室の展示環境は段違い。
 
 
 《智・感・情》と向かいあって展示されるのは、黒田の画壇のライバルであった、吉田博(1876-1950)の裸体画の大作《精華》1909年(画像の右)。
 意図不明な場面設定に困惑する本作。
 「3頭のライオンは警察と文部省と白馬会を暗示している、という見方がある」らしいのをある個人の方のブログにより知り、変に納得する。
 白馬会は、黒田を中心として発足した洋画団体である。
 
 裸体画規制の例。
 
 
 特別2室では、特別1室の裸体画から離れ、「海を越える先駆者たち」、「拡張する地平」、「日常の記録から大作の準備まで」の3テーマによる作品が並ぶ。
 
 
フランスとイタリア・ヴェネツィアで学んだ
 
川村清雄(1852-1934)
《形見の直垂(虫干)》
1899〜1911年
 
 衣装の白を見る。
 
 
夫の故郷パレルモで51年を過ごし、制作した
 
ラグーザ玉(1861-1931)
《エロスとサイケ》
明治〜大正時代
 名前は聞くけど、その作品を見る機会はあまりない感。
 
 
フランスに留学し、ルーヴル美術館のイタリア・ルネサンス絵画を模写した
 
岡田三郎助(1869-1939)
《群神(模本)》1901年
 
和田英作(1874-1955)
《二女図(模本)》1901年
 岡田は1897年から約5年間のフランス留学、和田は1899年から約4年間の渡欧。
 両作品の模写時期は、ともに1901年3月。
 
 原作は、フラ・アンジェリコ《聖母戴冠》とボッティチェリ《ヴィーナスと三美神より贈り物を受ける若い女性》(画像は部分)。
 
 
 美術作品ではなく、教育資料?
 
織田東禹(1873-1933)
《コロポックルの村》
1907年
 織田東禹は、アイヌの伝承に登場する「コロポックル」(「蕗の下に住む人」の意)を日本の先住民とする人類学者・坪井正五郎の学説に基づき、東京勧業博覧会出品を目指して本作を描きました。しかし本作は織田の意図と反して美術品とは見なされず、教育資料として展示されました。
 
 
 本展示については、その図録も販売されている。
 展示点数は多くはないが、初見の作品を中心に楽しむ。
 
 
 
 2024年は、黒田の没後100年にあたる。
 記念の回顧展は、出身地・鹿児島市で開催中。
 
没後100年 黒田清輝とその時代
2024年7月24日〜9月1日
鹿児島市立美術館
 
 重文《湖畔》と《読書》は、この回顧展に出品されている。
 黒田記念館の特別室で公開されるもう1点、重文《舞妓》はお休みのようである。
 
 その会期中、鹿児島県内の博物館・美術館(次の4館)では、「没後100年 黒田清輝展 in Kagoshima」と題する連携企画を実施。各館が所蔵する黒田作品を展示している。
・岩崎美術館
・松下美術館
・長島美術館
・鹿児島県歴史・美術センター黎明館
 
 東博では、2016年に生誕150年の大回顧展を開催しているので、没後100年の本年はこの特集展示としたようである。


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