モネ
《睡蓮の池》
1899年、88.3×93.1cm
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
1883年、モネは終の住処となるジヴェルニーに移住する。
1890年、ジヴェルニーの家と土地を正式に購入する。
1893年、自宅の南側に鉄道を挟んで隣接する土地を入手する。その土地で「水の池」の造成に着手する。
1895年、「水の池」に日本の浮世絵から想を得た太鼓橋を架ける。
1899年、植栽が根付いた時期、太鼓橋をモチーフとする「睡蓮の池」連作12点を制作する。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展に出品されているモネ《睡蓮の池》は、この12点連作のうちの1点である。
では、他の11点は?
ここでは、個人蔵や所在不明を除く、美術館で一般公開されている7点を確認する。
【ヨーロッパ】
オルセー美術館
《睡蓮の池、緑のハーモニー》
1889年、89.5×92.5cm
*1988年のジャポニスム展、2010年のオルセー美術館展で来日。
2020年アーティゾン美術館のモネ展でも来日予定であったが、同展は開催延期となった。
プーシキン美術館
《白い睡蓮》
1899年、89×93cm
*2018年のプーシキン美術館展で来日。
【アメリカ】
プリンストン大学美術館
《睡蓮と日本の橋》
1899年、90.5×89.7cm
フィラデルフィア美術館
《睡蓮の池》
1899年、89.2×93.3cm
*2007年のフィラデルフィア美術館展で来日。
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
《日本の橋》
1899年、81.3×101.6cm
*2011年のワシントン・ナショナル・ギャラリー展で来日。
メトロポリタン美術館
《睡蓮の池の上の日本の橋》
1899年、92.7×73.7cm
【日本】
ポーラ美術館
《睡蓮の池》
1899年、88.6×91.9cm
ヨーロッパよりもアメリカのほうが所蔵数が多い。アメリカにおけるモネ人気・印象派人気がうかがえる。その中で、日本のポーラ美術館(箱根)が1点所蔵するのは凄い。
結構、来日している。
12点中、確認できた範囲で、日本に所在する1点+来日歴あり5点の計6点と、5割。
どおりで、ロンドンナショナルギャラリー展で本作品を見たとき、このタイプの絵を何度も見た気がする、と思った筈だ。しかし、そう思えるとは、なんと幸せなことであろうか。
安井裕雄著『図説モネ「睡蓮」の世界』(創元社、2020年4月刊)を参照した。本書籍は、モネの日本語書籍として稀有な、そして底深い書籍のような気がしている。