ミラノ アンブロジアーナ図書館・絵画館所蔵 レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像
2013年4月23日~6月30日
東京都美術館
「音楽家の肖像」が来日。
来日したレオナルド・ダ・ヴィンチの油彩画を見るのは、
1)聖ヒエロニムス(1993年、国立西洋美「ヴァチカンのルネサンス美術展」、323,514 人)
2)白貂を抱く貴婦人(2002年、横浜美「チャルトリスキ・コレクション展」、272,163人)
3)受胎告知(2007年、東博「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像」(本展と題名が酷似)、796,004人)
に続く4作品目。
ただし、「音楽家の肖像」は、万人がレオナルド作と認めているわけではない、グレー系の作品。
実際はどうなのか、自分の目で確かめよう!
といっても、レオナルド経験がほとんどないので、素人なりのコメントも難しい。
もう一つの目玉は、「アトランティコ手稿」。
「アトランティコ手稿」は、現在、アンブロジアーナ美術館と「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会内のブラマンテ聖具室において、2009年から2015年まで、3カ月ごとに1会場22葉ずつ(2会場なので44葉ずつ)公開中とのこと。
今回の来日点数も22葉。22という数字は何か特別な意味があるのかしらん。
新潮社から発売されたばかりの「レオナルド・ダ・ヴィンチ―人体解剖図を読み解く―」を購入し、眺めている。
なんと美しい「解剖図」たち。1995年、東京都庭園美「ウィンザー城王立図書館所蔵 人体解剖図展」を思い出す。
本展でも、このような美しい解剖図が1葉でも含まれていたらなあ、と願う。
願いは叶わない。私のような理系オンチには、わからない世界が展開される。絵的にも美しいとは言い難いなあ。なお、いくつかの作品にはその左上に備えられたビデオによる簡単な解説も用意されている。
出品総数は109点。
油彩画は11点。
最初B1Fに3点。
「貴婦人の肖像」は、かつてレオナルドあるいはレオナルド周辺画家の作とされていた、1490年頃作の横顔(プロフィール)肖像。
「岩窟の聖母」は、ロンドン・ナショナル・ギャラリー・バージョンの模写で、1611年頃の作。
「悔悛の聖ヒエロニムス」は、ソラーリオ(?つき)による1520年頃の作。
2Fに8点。
レオナルドのほか、レオナルデスキたるジャンピエトリーノ3点、ルイーニ3点、不明1点。レオナルデスキ作品はもう少し点数的にあるのかと想像していたが。ルイーニは結構好みである。
書籍等が11点。
「レオナルドの愛読書」と題されている。もちろんレオナルド自身が持っていた書籍そのものではないだろう。15世紀の古書籍を眺めるのも一興。
ルネサンスと言えばよく名が出てくる哲学者「マルシリオ・フィチーノ」の書籍もある。彼が存命中の1482年に刊行された「プラトン神学-魂の不死について」。その分厚さに驚き。
ルカ・パチョーリの書籍も。数学者で「近代会計学の父」と言われているらしい。ボルゴ・サン・セポルクロ生まれであり、かのピエロ・デラ・フランチェスカと接点がある(パチョーリは少年時代に数学の指導を受けたらしい)。
イソップ寓話集やマルコ・ポーロの「東方見聞録」もある(ただし、後者は18世紀の書籍)。
あとは素描。大半が素描。
「アトランティコ手稿」が22葉なので、それ以外の素描は65点である。
ルネサンスの素描と題し、3章構成。
1:レオナルド以前
ピサネッロ(周辺)、など。
2:レオナルドとその時代
レオナルドも1点「女性の横顔と眼の習作」。小さい。デューラーもある。
3:レオナルド以降
ジャック・カロ「日本における殉教者」をじっくり見たかったが、鑑賞者多く今回はあきらめ。
出品総数やその内訳も、微妙に外れているが、11の倍数に近い。やはり何か特別な意味があるに違いない。