前回、資産保護、業務活動の二つの方面でシンガポールの支店と子会社の相違点を説明しました、今度、財務諸表と税務優遇の二つの方面でシンガポールの支店と子会社の相違点を説明します。
一. 年次財務諸表
完全に業務がない(即ち休眠会社)、又は書面により申請し且つシンガポール会計企業規制庁(ACRA)の同意を得た場合を除いて、全ての外国会社のシンガポール支店は毎年その自己及びその外国本社の監査済財務諸表をシンガポール会計企業規制庁(ACRA)に提出する必要があります。
外国会社のシンガポール子会社は独立した法人格であり、シンガポール会社法の規定に基づき、その規模が監査免除規定に該当する場合に、「小会社」に属し、監査法人の財務諸表監査が必要ではありません。シンガポールの「会社法」によって、以下の要件に該当するシンガポール会社は「小会社」に属します。
1. 当該会社が私的会社に属する場合;
2. 当該会社が連続2財務年度において次の3要件のうちいずれか2つを満たす場合:
(1) 年間売上が1,000万シンガポールドル以下である;
(2) 総資産額が1,000万シンガポールドル以下である;
(3) 従業員数が50名以下である。
ある会社がグループ会社のメンバーである場合には、当該会社及びその所属グループは同時に上記の要件を満たさなければなりません。
二. 税務免除
外国会社がシンガポールにおいて支店を設立した後で、税務方面から見ると、当該支店は非居住事業体と見なされ、集団的救済資格に該当しないので、外国税額控除に申請できず、スタートアップ会社やシンガポール現地会社のように税金の恩恵を受けることができません。
でも、外国会社がシンガポールの「会社法」によりシンガポールにおいて独立した有限会社(子会社)を設立する場合は、税務方面で大きな優位性があります。シンガポール現地会社はシンガポールの税法により様々な税制優遇措置を受けることができます。例えば、更に低い所得税税率を適用するとか、新スタートアップ会社が初三年間の最初の10万シンガポールドルの75%が免税となり、次の10万シンガポールドルの50%が免税となるとか、などなど。
つまり、多国籍会社、銀行及び保険会社は、既存のブランドを使用し、外国本社の名義で営業許可証の申請及び契約の締結を行う場合に、通常シンガポールにおける支店の設立を選択します。他の業界の外国会社のほとんどは通常シンガポールにおける子会社の設立を選択します。子会社は独立した法人であり、外国会社のためリスクを回避することができる一方、外国会社に相応の経営弾力性を提供することもできます。