2020年9月21日、国務院は北京自由貿易試験区の全体案を発表しました。中国(北京)自由貿易試験区とは科学技術革新、サービス業の開放、デジタル経済を主な特徴とする自由貿易試験区です。
- 対象範囲と機能区分
全体案の対象範囲は119.68㎢であり、以下の3つのエリアに分けられています。科学技術革新エリアは31.85㎢であり、国際ビジネスサービスエリアは48.34㎢であり(北京天竺総合保税区の5.466㎢を含む)、ハイエンド産業エリアは39.49㎢です。
科学技術革新エリアは、新世代の情報技術、バイオとヘルスケア、科学技術サービス等の産業の発展に焦点を当て、デジタル経済試験区、グローバルベンチャーキャピタルセンター、科学技術システム・メカニズムの革新・改革のためのパイロットモデル区を構築しています。国際ビジネスサービスエリアは、デジタル貿易、文化貿易、ビジネスコンベンション、医療とヘルスケア、国際物流、越境金融等の産業の発展に焦点を当て、臨空経済革新牽引モデル区を構築しています。ハイエンド産業エリアはビジネスサービス、国際金融、文化革新、生物技術及び「大健康」等の産業の発展に焦点を当て、科学技術成果転化の積載地、戦略的新興産業の集積区域、国際ハイエンド機能を持つ機構の集積区域を構築しています。
- 役割と措置
2.1 投資貿易の自由化と簡素化の推進
(1) 外資投資の参入前国民待遇及びネガティブリスト管理制度を全面的に実施する
(2) 北京首都国際空港、北京大興国際空港の第5の自由を含む以遠権の拡大を促進する。医薬品の越境EC小売輸入の試行事業を実施し、医薬品の研究開発用の少量特殊化学製剤の管理を適度に緩和する。エリア内保管倉庫の設置を支援し、エリア内研究開発機関の政策に該当する科学研究設備に輸入免税を提供する。完成車輸入口岸の機能をさらに拡大し、北京天竺総合保税区がサービス貿易の特徴を備える総合保税区になることを構築する
(3) 適格なエリア内にサービス貿易の進出規制を最大限に緩和し、研究開発、執業(弁護士・医師・会計士などが開業して業務を行う)、展示会への参加、交流、トレーニング等のハイエンド人材のビサ申請を簡素化する
2.2 金融分野の開放と革新の深化
(1) 人民元と外貨の一体化試行事業を行う
(2) より多くの外資銀行が証券投資基金管理委託の資格を取得することを承認する
(3) 文化革新の発展を重点的に支援する民営銀行の設立を支援する
(4) 適格な中資銀行が越境金融サービスを実施することを奨励する
(5) 法により市場化の方法で国内外のプライベート・エクイティ・ファンドの設立を支援する
(6) 国際企業が中国に適格な投資会社を設立し、法により財務会社を設立することを支援する
(7) エリア内企業の一括外債登記の試行を実施し、1つずつ登録しなくる
(8) 北京財産権取引所を通じて法により現物資産・株式の譲渡、増資、株式数増加の越境取引を行うことを承認する
(9) エリア内自動車金融会社が越境融資を行い、規定に従って保険業・代理店の資格を申請することを支援する
(10) エリア内登録されるファイナンス・リースの親会社が子会社と外債の割り当てを共有することを承認する
2.3 革新主導発展の促進
(1) 外国人の就労許可、居住許可の承認手続きを最適化する
(2) 知的財産権取引センターを設立し、知的財産権の証券化の探究・展開を慎重に規制し、海外特許代理機関が設立する駐在員事務所の試行事業を実施する
(3) 科学研究者に職務科学研究成果の所有権又は長期使用権を付与し、市場化のエンパワーメント、成果評価、利益分配等の制度の形成を探求する
(4) 国際企業に研究開発センターの設立、リバースイノベーションの展開を奨励する
(5) 中国の検測標準から国際標準への転換を促進する
2.4 デジタル経済の開発環境の革新
(1) データ越境移転保護規制への協力を強化し、デジタル証明書と電子署名の相互承認を促進する
(2) 国際情報産業及びデジタル貿易港の建設を行う。デジタル著作権取引プラットフォームを構築する。知的財産権の保護・融資の発展を牽引する。ソフトウェアとインターネットサービス取引に対して効率的で便利なデジタル輸出入検査を行う。海外の顧客に合わせるウェブサイトのファイリング制度の確立を模索する
2.5 優位産業の質の高い発展
(1) 人民元と外貨の統合越境資金プール試行事業を展開し、適格な国際グループの中国内のメンバー間に人民元と外貨の需給調整及び収集を集中して実施することを支援する
(2) 適格な外資系企業が世界に向けた芸術品と文化財(文物を除く)の展示、競売、取引の事業を行うことを承認する
(3) 国内のバイオ医薬員研究開発事業体の国際協力研究の承認手続きを簡素化し、緊急に必要な医療設備、研究開発用の材料・試薬・設備の通関手続きを迅速化する
(4) 航空資材の保税制度を最適化し、航空資材調達のコストを削減する
2.6 京津冀(北京、天津、河北)の協調的な発展の新しい発展道の探索
(1) 金融機関がグローバルな資産配分を実施し、グローバルな財産管理センターを建設することを奨励する
(2) 京津冀の技術市場の統合・協力を強化し、有効期間に移転されるハイテク企業のハイテク企業資格を保留する。北京・天津・河北の自由貿易区の行政サービスの「同事同標(同一のケースに対する標準が同じ)」を徐々に実現し、行政サービスの地域連携、標準の相互承認、信用の証拠採用、検査検測の結果の相互承認の実現を促進する。北京、天津、河北の自由貿易区の連合授権機能の確立を検討し、京津冀一体化の信用調査体系を改善する
2.7 政府機能の転換の加速
(1) 「証照分離」の改革を推進する。国際速達事業(代理業)の営業許可の承認権限を下放する。企業の投資プロジェクトの「地域評価+標準地+告知承諾制+政府付帯サービス」の改革を展開する
(2) 有名な海外仲裁及び紛争解決機関がエリア内に事務所を設立することを承認する
(3) 信用に基づく格付け分類制度を実装する。外商安全審査制度を実装し、独占禁止審査、業界管理、ユーザー認証、行動監査などの管理措置をさらに改善する
自由貿易区建設の具体的な実施計画及びスケジュールは未だ明確にされておらず、一連の政策が次々と導入されると考えられている。啓源は引き続き中国(北京)自由貿易試験区の関連政策に注意を払い、更新しますので、ご期待ください。
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