Kaizen(啓源会計事務所)

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外国会社の上海駐在員事務所設立の手続き

2021-02-25 | 会社設立

駐在員事務所の特徴

 

1.1  駐在員事務所の法人格

 

駐在員事務所は法人格を有しておらず、非営利活動のみに従事できます。例えば、海外親会社(香港、マカオ及び台湾で設立された会社を含む)を代理とし、業務連絡、商品宣伝、市場調査、技術交流などの活動を行うことができます。駐在員事務所は、営業活動の従事が禁止されており、自ら発票に記入したり、送金したり、売却又は仕入に関する契約書を締結したり、提供のサービスによる所得を得たりすることができません。

 

1.2  駐在員事務所の商号

 

駐在員事務所の商号は、海外親会社商号+上海代表処で構成されます(例えば、アメリカ啓源有限会社上海代表処)。

 

1.3  駐在員事務所の登録住所

 

申請書類を提出する前に、駐在員事務所の登録住所とするオフィスを賃借し、賃貸借契約書を締結する必要があります。賃貸借契約書の締結は駐在員事務所の首席代表又は海外親会社の署名権者に行われることができます。

 

必要な書類

 

2.1   中国大使館・領事館に認証された海外親会社の設立証明書類(設立証明書及び会社定款など)。親会社が香港において設立した場合、中国委託公証人に承認された設立証明書類を提出する必要があります。駐在員事務所の海外親会社は2年以上登録する必要があり、2年未満の場合、駐在員事務所を設立することができないという点に留意が必要です。

 

2.2   海外親会社の銀行が発行する資本信用証明書。信用証明書には、海外親会社の商号、口座番号、当該口座の信用状況(例えば、信用不良記録がない)を記載されています。

 

2.3   中国大使館・領事館に認証された署名権者の授権委託書(当該署名権者は海外親会社を代理として駐在員事務所の全ての申請書類を署名する)。

 

2.4   中国大使館・領事館に認証された駐在員事務所の首席代表の委任状及びその身分証明書類。

 

2.5   駐在員事務所の登録住所とするオフィスの賃貸借契約書。賃貸借契約書にはオフィスが駐在員事務所に使用されることを明確に記載する必要があり、且つ賃借期間は12ヶ月以上でなければなりません。

 

2.6   海外親会社の情報(例えば、主な営業活動、登録住所、電話番号、当該親会社の総経理の住所及び電話番号など)。

 

2.7   首席代表の履歴書、写真2枚、住所及び電話番号。首席代表が中国公民の場合、当該首席代表が人的資源会社と締結した派遣契約書をご提供ください。

 

2.8   首席代表のほかに、一般代表を選任しようとする場合、一般代表の履歴書、写真2枚、認証済パスポートのコピー、認証済委任状、住所及び電話番号をご提供ください。駐在員事務所は最大1名の首席代表及び3名の一般代表を選任することができます。

 

設立手続き

 

3.1  前期準備

 

(1)  オフィスの賃借

 

投資者は上海において駐在員事務所の登録住所とするオフィスを賃借し、正式な賃貸借契約書を締結する必要があります。当該オフィスは商業用であり、且つその賃借期間は12ヶ月以上でなければなりません。

 

(2)  海外親会社の設立証明書類の認証

 

海外親会社はその設立証明書類を認証する必要があります。認証が必要な書類には、会社設立証明書、会社定款、資本信用証明書、署名権者の授権委託書、首席代表及び一般代表の委任状が含まれています。

 

(3)  その他の書類

 

また、首席代表及び一般代表の履歴書、住所、電話番号、パスポート又は帰国許可のコピーなどを準備することが必要です。

 

3.2  駐在員事務所の登記証の申請

 

全ての申請書類を揃えた後、上海市市場監督管理局に駐在員事務所の登記証及び首席代表の代表証を申請します。上海市市場監督管理局は全ての申請書類を受け取った日から約10~15営業日後、登記証及び首席代表の代表証を発行します。上海市市場監督管理局による登記証の発行日から、駐在員事務所は正式に成立し、登記証に記載される事業範囲に従って活動を行うことができます。

 

3.3  その他の手続き

 

(1)  会社印鑑の作成

 

上海駐在員事務所は上海市公安局に印鑑作成の届出を申請してから、指定の印鑑作成会社において駐在員事務所の印鑑を作成します。

 

(2)  銀行口座開設

 

銀行で上海駐在員事務所の人民元基本口座を開設します。

 

設立所要時間

 

一般的に、上海において外国会社の駐在員事務所を設立するには46週間がかかります。具体的な時間は申請書類の準備時間及び政府機関の審査時間によって異なります。

 

合法維持要件

 

上海において設立された全ての外国会社の駐在員事務所は、中国の会計準則に基づき、月・四半期・年ごとに財務諸表を作成しなければならず、且つ年次財務諸表に対する監査及び監査報告の発行が中国の公認会計士によって行われる必要があります。また、税務法律法規に基づき、各項税務を上海市税務署に年次申告したり、年次報告書を上海市市場監督管理局に提出したりする必要があります。上述の事項が延滞する場合、駐在員事務所は罰せられたり、登録証が取り消されたりする恐れがあります。


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