
どんな会社でも、どの州で設立することができる。デラウェア州で実際の事業があるか否かにかかわらず、ほとんどの上場企業はデラウェア州に会社を置いている。しかし、小規模企業にとって、会社をデラウェア州に置くすることが最も経済的な選択肢とは言えない。その代わりに、事業をする予定の州で会社を設立した方は費用対効果が高い。各州は株式会社(Corporation)と有限責任会社(LLC)に対する会社法と税法上の制約が異なるため、経営者は、米国会社をどの州に置くかを慎重に考える必要がある。
1.商取引を行う州か否かを検討しよう
多くの州政府は、企業が州と何らかの「ネクサス(nexus)」がある場合、その企業に州で会社を設立させる。ネクサスとは、企業が特定の州との繋がりをいう。企業が特定の州とのネクサスを確立するかしないか主な基準は2つある。
(1) 州内に事務所、店、倉庫などの実在する施設を置いているか。
(2) 州内に実在する施設を置いていないが、顕著な経済活動を行っているか。
大半の州は、企業とのネクサスがあるか否かを確認するために、通常、年間200件を超える取引、又は10万米ドルを超える売上高というしきい値を設定している。
企業は、ネクサスがある州で会社を設立したり、税務申告をしたり、報告書を提出したりしない場合、罰金その他の罰則が課される恐れがある。さらに、このようなコンプライアンス違反は、企業の所有者の個人資産にリスクをもたらす可能性がある。
2.設立と年間維持のコストを検討しよう
設立と年間維持のコストは、いずれも会社登記所で生じる運営コストである。
会社を設立することは、どの州でもコストが発生するが、州によって大きく異なっている。さらに、一部の州は、初期報告書の提出を義務付けている。この場合にも、報告料金が別途発生する。初期報告書の提出の費用も州によって異なる。ある州は、設立費用が他の州より高くても、会社経営の維持費用も他の州より高いわけではない。
また、一部の州は、会社設立書類に記載されている情報が有効か否かを確認するために、事業体に年間報告書を提出させている。さらに、州によっては、営業許可書、税務登記情報、会社登記情報、登記代理人の変更に対しても、書類の提出や費用の納付が必要となる場合がある。
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