2020.06.21 21:00~
「草野マサムネのロック大陸漫遊記」
at TOKYO FM
緊急事態宣言が解除されても、「まだまだ大変な方がいるはず。『ロック大陸漫遊記』が少しでも息抜きになりますように」と。
そして、今日のテーマは、「ディアフーフ(DEERHOOF)で漫遊記」。
1994年、サンフランシスコで結成された「アバンギャルドなロックバンド。独自な世界を聴かせてくれる」。
草野くんが大好きなバンドだが、「こういうバンドです」と説明するのが難しいので、「今日はとにかく聴いてもらおう!」。
オンエア曲
01 猫ちぐら(スピッツ)
02 This Magnificent Bird Will Rise(DEERHOOF)
03 Dummy Discards a Heart(DEERHOOF)
04 Milk Man(DEERHOOF)
05 O'Malley, Former Underdog(DEERHOOF)
06 I Will Spite Survive Feat. Jenn Wasner(DEERHOOF)
07 Future Teenage Cave Artists(DEERHOOF)
08 光について(GRAPEVINE)
09 醒めない(スピッツ)
漫遊前の一曲は、今夜も新曲「猫ちぐら」。
●デモテープをメンバーにデータで渡す
↓
●各自、自宅で練習
↓
●個別に音を重ねて録音
こんな経過で録音(録音は自宅ではなく、それぞれが時間差でスタジオに入って演奏したそうですけど)。
「もっとドタバタしたものになるかと思っていたら、案外ちゃんとしたものができた、と自画自賛」(笑)。
26日からの配信も決定!
(小作品だけれど、スピッツの匂いを残して、胸のちょうどよいところあたりに迫ってくる。
「猫」の作品がまた誕生。)
そして、伝統工芸品のほうの猫ちぐら、「予約3年待ち」だそうです。
最初の曲は、「This Magnificent Bird Will Rise」(DEERHOOF)(2002年〔日本では2006年リリース〕、4thアルバム『Reveille』)。
バンド結成の翌年に、東京出身のサトミ・マツザキさんが加入(当初は、映画製作の勉強のための渡米だったとか)。楽器経験がまったくないのに1週間後にはツアー開始。
1996年、実質的なデビューアルバムをアナログでリリース。これは実験的なノイジーなアルバム。
90年代のDEERHOOFの作品はノイジーなものが多い。
97年に4トラックで録音されたアルバムをリリース。現在まで活動を続けている。
草野くんはCDショップのフリーペーパーで、このバンドのアルバム『Reveille』を知る。
説明しにくいバンドだけれど、例えば「はじめてエレキギターをアンプにつないで、そのデカイ音に感動したこと」とか「はじめてスティックを持ってドラムを叩いたときの快感」とか、そういう初期衝動をそのままキープしている音楽かな・・・と。
そういう初期衝動系のバンドはほかにもいるけれど、そういうバンドはワイルドなアプローチに陥りやすいが、「DEERHOOFにはちょっと品がある」。そこはボーカルのサトミ・マツザキさんの「イノセントな歌声の力も強いかな」。
次は、「Dummy Discards a Heart ダミーはハートを捨てる」((2003年〔日本では2008年リリース〕、5thアルバム『Apple O’』))。
草野くんは10年以上前に、リキッドルームで彼らのライブを見たそうです。「独特のアンサンブルでスゴイかっこよかった」
ライブを見て思ったことは、「このバンドの肝はドラムだな。ドラムだけ聴いても楽しいサウンド」。
もう少しあとの作品だけど、演奏中の雰囲気がわかる。
Deerhoof - Fresh Born - Juan's Basement
次は、「Milk Man」(2004年、6thアルバム『Milk Man』)。
「アンサンブルがしゃれていて、ベースとギターが微妙にハモっていたりして」、草野くんがお気に入りの曲。
草野「DEERHOOFの曲を聴いていると、荒々しくやっているようだけどすごく考えられているなあと思う。たとえば、スヌーピーの絵の線ってヨレヨレに見えるけれど、すごく考えられたヨレヨレだったりするんですよ」 (そういうことか)
次の「O'Malley, Former Underdog 勝ち目なしだったオマリー」(2005年、7thアルバム『The Runners Four』)も、「考えられたヨレヨレ感がかっこいい」と。
メッセージコーナー。
「人と連絡をとるとき緊張しませんか?」という問いかけに。
表情が見えないから、「電話はちょっと苦手」と。「身振り手振りで読み取る情報ってすごく大きいと思う」。
でもZOOMとか「テレビ電話的なもの」は表情がわかるので、「緊急事態宣言の間も友達と連絡を取り合っていましたね」。
メールも「(笑)とかがないと、あれ、この人、怒ってんのかな?と思ったりして、文面だけっていうのも難しい」と。たしかに・・・。
草野「近くで人と話せない状況というのは、難しい問題をはらんでいるのでは?と思いました」
人に音楽を紹介するのって難しい・・・。(ホント・・・)
草野くんでもそうらしい。「興味のない人に興味を持たせる」のは至難の業。
同じバンドが好きだという同じような趣味をもった人と話していても、「ああ、オレと全然違う聴き方するんだ~」と思うことがあって、「人に紹介するって難しいな」。
だから、結果的に素っ気ない反応が返ってきてもいいから、「こっちの熱い思いを伝えるだけ。それだけです」。
でも反対に、紹介した相手が「あれ、オレより熱くなってる」ということもあるとか。(それはステキだなあ。)
曲作りの際に、「あれ、メロディーってなんだっけ? リズムってなんだっけ?」とゲシュタルト崩壊状態に陥ることがある、という草野氏。
(私はつい2、3日前、「左」という漢字を見ていて、あれ、なんじゃ、これ・・・としばし凝視したっけ。結構こういうこと、あるなあ)
そんなときにDEERHOOFを聴くと、ああ、これだと、「音楽のprimitiveな面に気づかせてくれる」。
DEERHOOFは結構多作なバンドで毎年アルバムをリリースしている印象もあり、「だから曲を選ぶのも大変だったんですけど」と。
次は、シンガーJenn Wasnerとのコラボ作品「I Will Spite Survive Feat. Jenn Wasner」(2017年、14thアルバム『MOUNTAIN MOVES』)。
彼らの楽曲の中では「ポップなほう」。
このアルバムはコラボ作品が多くて、「メチャメチャ好きなアルバムです」。
最後は、先月リリースのニューアルバムから、「Future Teenage Cave Artists」(2020年、15thアルバム『Future Teenage Cave Artists』)。
「今回も自由な感じでステキ」、「なかでもフックのきいた曲を聴いてもらおうと思います」
ジャケットはいつも不思議な感じで、ニューアルバムも不死身の生物といわれている「クマムシ」をモチーフにしているそうだ。
poor levelとかrich levelなどの文字も浮かんでいて、図解のような絵のような・・・、興味深いジャケット。
ニューアルバムのツアーで来日も決まっていたそうだけど、コロナの影響でリスケジュールになっているそうだ。
メッセージコーナーはギター男子から。
「ちょっぴりタイムマシン」の最初に弾くギターのフレーズはいつ考えるの? あらかじめ? それともブースに入ってから?
スタジオに入ってから考えることが多いらしいけど、「そろそろネタ切れかも」。
イントロはテツヤ担当のことが多いから、「オレ、弾けないことがあるんですよ」。だから今後は以前に弾いたものが出てくることがあるかも、「許してください」。
「ステキなパジャマもあるのに、ヨレTが捨てられない」というリスナーさん。「草野さんも捨てられないものってある?」
「ヨレTはいいでしょ。ヨレTこそ安眠をもたらす・・・」と。だけど、ホテルで火災にあったとき、ヨレTで避難するのはどうなの?と思ったりすることもあるとか。
捨てられないもの・・・、ボロボロになったタオルケットは夏に首に巻いて寝るのがお約束だから、捨てられない・・・って。
「見せられない宝物のひとつ。ボロボロのタオルケット」。またまた、かわいいことを!(かわいくないか?)
(個人的には、大好きだった柄のバスタオル。もう使わないのに捨てられないまま洗面所の戸棚の底にずっとある・・・。今回の大処分月間でも生き延びて、まだあそこにある)
特集の最後に。
DEERHOOFの曲を並べて聴いていると、「オレの曲って型にはまってるんじゃないか」という思いになり、「曲作りの可能性ってもっともっと広げていけるんじゃないか」という前向きな気持ちにさせてくれる、と。
草野「これから、オレも、もっともっとおもしろい曲を作っていきたいと思います」
まだまだ期待していける幸せ・・・。
そして最後は「ちょっぴりタイムマシン」のコーナー。
(今回のは、「さすらい」の曲中だとか)
曲は、GRAPEVINEの「光について」(1999年、5thシングル)。
先週の回でかけたくて、もれてしまって、でもやっぱりかけたいなと思って今回に回したそうだ。
草野「GRAPEVINEは何度も会ったことあるし、オレも好きなバンド」
(最初のころの「ロックロックこんにちは」に出演してたなあ。大阪で見たっけ。夏フェス?で、スピッツ+GRAPEVINE+tライセラ)
この曲は、99年当時は草野くんのカラオケナンバー。
草野「結構、難しいんですよ。けだるいけどぎらついていて、哀愁もある。GRAPEVINEの魅力がつまった一曲」
(好きだなあ。ああ、久しぶりに彼らのアルバム、聴いてみよう。聴いてみたくなった)
(この前本棚を整理していて、1999年ころの『PATI PATI』を見つけたら、奥田民生+草野マサムネ+和田唱+田中和将の対談があったなあ。写真もたっぷりあって、内容もなかなか読み応えあったような・・・? あれが20年も前のこととは。ついこの間のようだ・・・と、ごくごく陳腐な感想)
そして、予告!
来週は「アウトロいろいろで漫遊記」。
以前に「好きなイントロ」で特集したことがあるが(コレ??)、アウトロにもこだわりありそうで。
そして、「学校」にまつわる曲のリクエストの募集も続いています。
追記
今調べたら、私がGRAPEVINEとトライセラのライブを初体験したのは、1999年に小岩井農場で行われた「ROCKING GREEN KOIWAI」でした。
過去の記録を見たら、8月7日で、出演者は、
小林建樹/BAJI-R/CASCADE/GRAPEVINE/奥田民生/TRICERATOPS/PUFFY/スピッツ
豪華な顔ぶれ!!
「デビュー2年目くらいの両バンドの勢いがすごくて、惚れ惚れした」と書いてある。
くるりの岸田さんが・・・
https://twitter.com/Kishida_Qrl/status/1273422751575896064
「猫ちぐら」、今日から配信!
ジャケットがかわいいです。
http://www.m-on.press/music-news/0000259615?show_more=1
https://www.oricon.co.jp/news/2165250/full/
「案外ちゃんとできたから」とさりげなく・・・。
じわじわと迫ってくる感慨で、曲が気持ちの中でいろいろ変化していく感じが、新曲のたびに味わえる。
もやもやな毎日。
忙しさがひと段落して、少し余裕をもって世間を見ると、それでも自分の行動を決めかねる。
数字に左右されまいとしても。
それでも見たい映画があるので渋谷に行きたい、とか、あそこを越えて会いに行こうか、とか、いろいろな思いがふつふつと湧いてきたりはしている。
「政治には金がかかる」「選挙には巨額な金が動く」・・・。
いろいろ耳にしてきたけれど、なんだか、それをこえて赤裸々で、シロウトはそれだけで驚きだ。
政党からのあれだけの金額を、それがバラマキの原資になっているかどうかは別にしても、どこでどうやって使え、ということだったのか。そこがすでに疑問。
司法取引の是非の云々はここらにおいて、どんどん明らかにしてほしい。
配った人間の詳細はもちろん、もらった側の人間もそれぞれに。
数日前の『朝日新聞』夕刊のトップにあった難民の男性の記事。
何か国もの国々で迫害を受けた彼の27年に思いを馳せることしかできなかったけれど、胸のあちこちが痛かった。
この国でようやく手にした在留カード。
どんな日々が待ち受けているか。
難民であることを証明する書類はそろわなかったけれど、「彼自身がそれを証明する」とした裁判所の決定を評価したい。