2016.9.16
SPITZ JAMBOREE TOUR2016 "醒めない"
at ベイシア文化ホール(群馬県民会館)
鼠色の重たそうな雲空のもと、少し余裕をもって前橋駅到着。駅近くの店で友人と話しているうちにあっという間に6時。
数回来ているから道はわかっているのに、Google Mapが教えてくれるもう一本の道を行こうというおかしな冒険心が私めを襲って、人通りの全くない住宅地を歩くこと20分以上〈不安だったなあ)。川を渡ったり踏切を渡ったり、結構交通量のある道路を横切ってひたすら人のいない道を進み、会館の裏に、反対方向から到着。ふ~。
すでに薄暗い裏手のパーキングに「8823」の車を2台見つけて安心した次第。
ようやくたどり着けた私の醒めないライブは、前橋です。地元の方、すみません。でも東京全敗でここだけどうにか引っかかった貴重なチケットなんです。
前にも書いたけれど、10年以上も縁がなかった「ホールの良席」。テツヤくん寄りの7列目・・・。演奏姿を十分じかに(笑)見られる距離です。
そんな近くにいても、相変わらずの記憶力と観察力で、記憶にあるのは些末なところばかりで。
でもその記憶をどうにかつなぎあわせて、レポしてみます。どうか、いつものとおり、さら~と読み流してくださいませ。
(いつものことですが、順序とかは自信がないので、思いつくままに編集して書いています。雰囲気だけ伝わってくれれば・・・)
では最初にセットリスト
01 みなと
02 恋する凡人
03 日曜日
04 運命の人
05 コメット
06 空も飛べるはず
07 ビギナー
08 アカネ
09 グリーン
10 子グマ子グマ
11 バニーガール
12 ヒビスクス
13 モニャモニャ
14 ロビンソン
15 楓
16 醒めない
17 スパイダー
18 けもの道
19 トンガリ'95
20 8823
21 こんにちは
ENCORE
22 スターゲイザー
23 ナサケモノ
24 野生のポルカ
ステージバックの映像のライトワークがきれいだったなあ。さまざまな四角形(正方形や長方形)の面と、その中を浮遊する泡のようなドットのような、時には星や流れ星のような点たちが、いろんな色をもらって、左右に斜めに上下に揺れたり飛んでいったりする。
わかりにくいですよね? でも全体的にはそんな感じ。
曲によって変わる映像美をそのときどきには感じて心に留めておいたんだけれど、今こうしていると、映像はよみがえっても、それがどの曲だったか、大半はわからないもどかしさだ。
照明もきっとすばらしかったんだろうな。照明については、後方で見ていたほうがよくわかる。ときどき振り向きたくなって困りました。
ツアートラック4台?5台で運ばれて全国を旅するんだなあと思ったら、ちょっと感動。
メンバーの衣装。最近はいつも遠くなので「見えなかったです、悪しからず」ですませていたけれど、今回は「見えた」・・・、でもファッション系は表すのが不得手。
気づいた限りでは、草野=濃い青のスタンドカラーのロールアップシャツで、袖をロールアップ。黒パンツ。田村=白黒のボーダーシャツ、パンツ忘れた。テツヤ=白かグレー地に格子のいろいろな色の模様が入ったチュニック丈にえんじのパンツ。サキ=う~ん、わからん。前開きのモノトーのシャツだったことはたしか。・・・って近くにいたわりには見えてないな。
◆「SUGINAMI MELODY」で登場
いつもは薄暗いステージをメンバーがゆっくり出てきて、遠くからは登場さえわからない中、ステージ近くのお客さんの歓声で「あ、出てきたんだ~」とわかることも多いスピッツの登場場面。
今回はSEが流れる! それも長谷川智樹さんのアレンジによる「SUGINAMI MELODY」。
(実は私はぼ~っとしていて、この曲だったか記憶が定かではないんだけれど、MEさんがメッセージで教えてくれました(-_-;)。
すごく気持ちのいい始まり、導かれる感じ。
長谷川さんはNHKホールでのライブをご覧になったあと、こんなふうにツイートしている。
https://twitter.com/1958HT/status/771886289679441920
「オーロラになれなかった人のために」ももちろんだけれど、出会いの「魔女旅に出る」のオーケストレーションは本当に印象的。イントロだけで「飛んで」いける。バンドサウンドにこだわってはいないのかなと思わせるスピッツの曲の中で五本の指に入るくらい好き(これ、結構ごまかせるアバウトな表現なので、ついつい使っちゃう)。
その長谷川さんに草野自身が依頼してのSEだそうだけど、「SUGINAMI MELODY」(大好きなんだけどライブでは聴けないからとてもうれしい)を選んだのはどちら? パンフとかには書いてあるのかな(まだ届いていないんで)。知りたい。
ステージ前方には客席とステージを隔てるように、青い太い光線が数本、縦に浮かぶ。メンバーが楽器を持って定位置に着いたところで、その光線が一瞬のうちに消えて演奏が始まる。
SEが流れて彼らのシルエットが見える前から、会場の盛り上がりと手拍子がすごい! 「待ってた感」がハンパない。
あとでMC(草)で、手拍子は前の会場でもあったけど「ここがいちばん元気」と言ってたっけ。
◆アルバム『醒めない』の曲たち
最初の曲は「醒めない」か「みなと」かなと予想していた。
「みなと」、フロント3人が定位置でじっくり演奏するさまはいつ見てもステキだ。ボーカルの声も鮮やかに伸びていて心地よい。口笛はボーカル。小さいけれどきれいに響く。テツヤくんが結構長く歌っていたのが印象的。崎ちゃんの抑え気味のドラムもいい!
MCでは、草野の「今回テレビにも結構ださせていただいて・・・。Mステではわざとイントロから入ったりして」に、会場に向かって大きな声で、テ「あれ、わざとなんだって~」に笑えた。なんだかずいぶん前の出来事みたいだ。
「コメット」は後ろの映像で、最初白の照明の中、大量の銀色の小さな丸がゆらゆらしていたけど、途中から赤い照明が入って、銀色と赤の丸が混ざり合って揺れている様子がきれいだった。生餌を探していたやさぐれた男の子が「ありがとう」に心壊れていやされていく感じに調和してる?なんて、私には珍しく深読みしてしまった(恥ずかしい・・・)。優しいメロディーだけど気持ちいい疾走感のあるバンドサウンドがライブに映える。とくにエンディングの追い込み方が盛り上がる。
コーラスは崎ちゃん。誰がコーラスやるの?が徐々に明かされていくから、それもライブの楽しみ。今回は崎ちゃんの手動マイク担当のスタッフの顔が終始崎ちゃんの足元に見えていたので、それがおかしかった(お疲れ様です)。
「グリーン」の盛り上がりはすごかった!
その前のMCが長くて、田村くんが「ここはこんなに長いMCじゃないんだけどね」って。
草「調子に乗りました」
田「こういうMCのあとはダレることが多いからね・・・盛り上がれよ」
その言い方がまたまた男っぽくて、「キャー」ってね。
そういうこともあるかもしれないけれど。でも曲調からして気持ちが上がる曲だ。メンバーの演奏もスタイルも、新曲とは思えないくらい安定していて、でも勢いがあって。曲終わりにはスピッツのライブには珍しく?「ピュー! ピュー!」と指笛?がたくさん聴こえてきた。あれって男の子? 今の女の子はできるの? 古い人間なんで、男友達のしか聴いたことないんで。
何回か田村くんがテツヤ側に乱入(笑)したんだけれど、この「グリーン」はどうだったかな?
異論はあるでしょうけど、私には『さざなみCD』の「トビウオ」が彷彿とされる曲で。詞の内容ではなくアレンジの感じね。「トビウオ」はCDで聴いたとき「これライブで盛り上がるだろうな」と期待したわりに(歌詞にも壮大なイメージが漂うし)ライブでは「ん?」な感じで。で、あのツアー以来ライブでは聴いたことないんだけれど(今はまたやってほしいと思っているけど。好きな曲だし)。
でも「グリーン」は予想以上に期待以上に高まった感じだ。
続く「子グマ!子グマ!」も会場大盛り上がり。S字ワンさんが教えてくれたところでは、メンバー(草?)からのフリのリクエストがあったとかで(これも珍しい)、「子グマ~ 子グマ~」に入る前に「腕振り上げ」みたいなテンポのいいフリがあった。私の周辺では当たり前のように。
タカハシマイさんのハモリは当然クージー担当で、高温のきれいな声が聴こえた。
「ヒビスクス」、よかったなあ! バックの映像もよかったという記憶があって、そのとき覚えておこうと思ったんだけれど、ああ、記憶が完全に欠落。でもよかったことだけはたしか(これじゃしょうがないなあ)。
この楽曲、言葉もメロディーもサウンドもすごい高みで交差している。「武器も全部捨てて一人 着地した~♪」のところの、浮遊して逃げていた幼いタマシイが大人になって帰ってきた感じを想像して、ときどき涙もろくなる。ライブで聴けて本当に幸せ。
ボーカルの「恐れるな~ 大丈夫もう~♪」の伸びやかな声に引っ張られる感じ。
「モニャモニャ」の前のMCで、テ「次の曲は盛り上がるとマサムネに怒られるよ」、草「いや・・・怒りはしないけど」というさりげないやりとりが。
そして、ステージのちょっと後ろに用意された小さな椅子に腰かけるギタリスト、メンバーの演奏を聴きながらサングラス越しに会場を見る様子、髪をかき上げる様子、足を組む感じ・・・すべてがなぜか絵になります。
(そういえば、ギターをかえるたびにそのサラサラヘアーをたばねたりするしぐさが暗闇に見えて、それもなかなかステキでした)
十二弦ギターの重い鮮やかな音が美しいアルペジオを響かせる。この「生」な感じの粗削りな音がいいアクセントになって、「モニャモニャ」をただのバラードから変身させる。
ボーカルの適度なかすれ気味の声が全身に心地よし! いつも上から目線で言ってしまうのですが、「この人、歌うまくなったなあ」。昔から声はきれいで魅力的だったけれど、「聴き入る」という感じじゃなかったし(すみません、えらそーに)。
そして「醒めない」! このイントロは本当にカッコいい。これはライブハウス(「新木場サンセット」)で聴いたけれど、やっぱりライブハウスかな~、良さが引き立つのは。ぜひぜひ4人で革ジャンでやってほしい、いつか!!
イントロで、フロント3人が会場に「向かって立つ!」、そしてそれを力強く支える崎ちゃんのドラムの弾むような音。古ぼけていて、でも始まりの歌、という感じかな。田村ベースがおなかにズンとくる。
スピッツ定番の盛り上がり曲のあと、本編ラストは思いがけず「こんにちは」。アルバムでもラストだしね。
最初はそうでもなかったんだけれど、聴きこんでいくうちにはまってしまった楽曲。ブルーハーツが歌っても自然というか、甲本ヒロトに歌ってほしいというか・・・。
亀田さんがかかわっていないメンバーだけのアレンジだと、こんな空気も可能なんだ~なんて思わせてくれる。
メンバーもステージ前まで来てくれて、強くアピール。ボーカルが目を見開いて会場の客に向かって小さくうなずく姿も見えたけれど、実はどこを見ているかわからない感じ? わかるなあ(笑)。
そしてアンコールの「ナサケモノ」。アンコールはおまけと言っていたから、ここでやるのはちょっと驚き。でも聴くことができてうれしい。
「生まれ変わる前に 鳴らしたいコードがある」か~。うれしいな。艶っぽいボーカルの声、ハスキーだけどあでやかで気持ちよく広がる。
そして、優しいことば、優しい音が効果音にも現れて、救われた思いになる。
◆久々・・・ホントに久々の曲たち
私の記憶に間違いがなければ、「日曜日」を最後に聴いたのは2000年代初めころの「ロックロックこんにちは」。いやいや感動しました。イントロがちょっと違って聴こえたので「なんだろう」と思ったけれど、「晴れたそ~らだ♪」で胸がつまった。
テツヤくんがサングラス越しに、マサムネくんがキラキラした目で、「どうだ!」というように客席を見ていたのを覚えている。あの頃聴いたサビの部分の心もとない若さというか青さはもうないけれど、でもそれにもましてぐんぐん迫る演奏力や表現力に心が砕ける。あんな昔から時間を経て到達した「今」なんだな。
崎ちゃんのテンポのいいドラムと田村くんのうねるベールがよくて、テツヤくんのしなやかな指先に見とれました。
そして「アカネ」。リリース当時、「スピッツらしい楽曲」とか言われていたのに、2001年の「隼ツアー」で演奏しただけ? イントロのリフレインでギター、ベース、ドラムの音たちがからむ感じがきれい。ボーカルは当時はもっと表情のない歌い方だったと思うけど。
直後のMCで「15年? 16年ぶり?」「アルバムは、え・・・」に会場から「ハヤブサ!」の声。
「みんなのほうがスピッツをよく知っている。『フェイクファー』かな~と思ってた。最近、記憶がね」なんて作った本人が。あ~あ、どのくらい忘れている曲たちがあるんだろう。「甘ったれクリーチャー」だってこの前のゴースカで復権だもんなあ・・・。
◆初スピッツライブの皆さんにも
「空も飛べるはず」「ロビンソン」「スパイダー」「楓」「スターゲイザー」、そしてアレンジは変わったけれど「運命の人」はやっぱりうれしかっただろうな。
「楓」では客席のどこかからか小さな歓声。ボーカルの声がしみいる。
「スパイダー」のフリも含めた盛り上がりも変わらず健在。
「空も飛べるはず」の貴重なスカスカ感はノスタルジックだけではなく今も生きている。
「恋する凡人」の疾走感はライブの定番になりました。イントロのフロントマンたちの勢ぞろいからの始まりは見栄えも含めてすばらしい。
「バニーガール」は「バイバイ・ベビーフェース」と並んで、あの頃のチャーミングなスピッツを再現してくれる曲。「オンリーユー♪」のところで客席を指さししていた。
「ビギナー」はライブで聴くたびにでかい曲になっていく。スケール感が迫ってくる。ピンスポットをあびてサビを歌うボーカルの髪が銀色に映えて、声も次の世代にまで響くようで、それは心地よい時間だった。
◆最後へ
「けもの道」~「トンガリ'95」~「 8823」の本編ラスト。
「けもの道」では、田村くんのベースプレイのとき、クージーが子モニャを操って、子モニャが大暴れ。かわいい!
メンバー紹介のとき、クージーが「子モニャのエサはベースの音」とステキな発言。 そうだとしたら、ツアーが終わるころ、子モニャは少しだけ大きくなっているかも?
ベースソロからのバンドへの移行。ギター+ベースのリフもドラミングも、ハードで重くて、ズンズン迫ってくる。定位置に立つメンバーの姿にほれぼれ。
「トンガリ'95」での会場の盛り上がり! メンバーもステージ前まで出て、お客にアピール。田村くんがテツヤ側に来て、そこをさりげなく後ろに引くテツヤくんもなかなかいいんです。マサムネくん、やっぱりどこを見ているかわかんないけど、でもキラキラの瞳を輝かせていた。
そして圧巻は最後のドラムソロ! もっとやってほしかったけど、さりげなく終わらせちゃう。このバンドの個性かもしれないけれど、決して自己陶酔しない。どこかでちゃんと外から自分を見ている感じ。それが心地よくなってしまうファン心理(笑)。
大ラスは、「野生のポルカ」。会場が揺れるくらいに盛り上がる。
「細道駆ける 最高の野生種に」はメンバーがsing along。男っぽくて「野生的」な声たち。「武蔵野の空」は「上毛の空」でした。
ピックもスティックも近くに飛んできて、それぞれ、若い女性と子ども連れのママさんがゲット!
マサムネくんは「ありがとうございました。また来ます!」。
テツヤくんの深いおじぎも、崎ちゃんの最後に退場も、いつもと同じ。
アルバム『醒めない』からの楽曲で今回演奏しなかったものは、ひょっとして来年あたり「アリーナで?」などといろんなことを考えながら、3時間かけての帰路についた。
ありがとう、スピッツ!
ステキな熱い時間を、また持てますように。
ここで終わればきれいなんですけど、MCもまとめてみます。
例によって、記憶だけに頼ってダラダラですけど、よければコチラへ。