隠れ家-かけらの世界-

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あの日には戻れないことをちゃんと知っている私たちに~アニメ映画「時をかける少女」

2008年05月20日 01時14分17秒 | 映画レビュー
劇場版アニメーション 「時をかける少女」 (2006年)

  監督:細田守
  原作:筒井康隆(角川文庫刊)
  脚本:奥寺佐渡子


 1983年の映画「時をかける少女」大林宣彦監督、原田知世主演)を観た方にも、そんな映画は知らない!という方にも、私としてはこのアニメ「時をかける少女」をオススメしたい。
 そうそう、それと、青春時代をせつなく思い出し、それでももう戻れないことをちゃんと受けとめられる人に?

 このアニメは公開時、最初それほどの動員数ではなかったらしいけど、上映しているうちにどんどん評価が高まり、かなり大勢の人が映画館に足をはこんだとか。
 とにかく主人公の高校生、真琴がステキ。ボーイッシュ、天真爛漫で、でもいつも一生懸命で優しい。
 真琴と千昭、功介のトライアングルの関係が清々しくて、その描き方が秀逸。
 未来からきた少年、タイムリープ能力(時間と場所を一気に跳躍して、現在とは別の時間、場所に行く超能力)をもってしまった少女…というファンタジーな世界が広がって興味をそそられるけれど、肝心なのはひょっとするとそこではないのかも。
 三人の初夏から夏にかけても短い期間にさまざまなことが起こり、そしてその三人で過ごす日は二度とやってこない。
 未来に戻っていった千昭、「未来で待っているよ」と声をかけられた真琴、そしてたぶん猛勉強をして未来への道を切り開いていくだろう功介…。
 三人でたわむれていた季節は去り、一歩大人になった三人の別々の季節が訪れたんだろう。誰にでもある、誰にでもあった季節の曲がり角、ってやつだな。覚えてる? もう戯れている日々はいつか幕を下ろすのだということ。
 その青い季節の甘酸っぱさが、ファンタジーを夢ではない現実の物語にしてくれる。
 あの日に帰りたくなって、でももう帰れないことを知り、だからこそ愛おしい日々であることを、私たちに優しく、ちょっぴり残酷に教えてくれる作品だ。


 叔母として真琴にアドバイスするのが、あの映画「時をかける少女」の主人公。
 自分の昔を思い出しながら、未来に戻ってしまった千昭を思って沈んでいる真琴に「あなたは待っているだけの人ではないでしょ」(正確な言い回しではないけど)と言うところがいい。

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