隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

柄本明 ひとり芝居 「煙草の害について」

2008年03月16日 16時33分14秒 | ライブリポート(演劇など)
★「煙草の害について」 (2008年3月2日 in 橋本杜のホール)

  演出/出演  柄本 明


★チェーホフの作品は?
 ロシアの劇作家アントン・チェーホフの短編「煙草の害について」は20分くらいの作品らしいのだが、そこにチェーホフの別の作品を柄本自身が加えて60分ほどの作品に仕上げたという。
 原作を読んだことがないので、どのあたりが加えた部分なのかは、今のところ私にはわからないのだけれど。
 去年観た「ロマンス」はチェーホフの生涯がテーマで、彼はずっと「ボードビルが書きたい、悲劇なんかクソくらえだ!」と悶々としていたな。
 私自身もチェーホフと聞けば「桜の園」「三人姉妹」などの作品を思い出すし、俳優座でそうそうたるメンバーで上演された「桜の園」や「三人姉妹」を覚えている。真正面からの正統な演出という感じか。
 のちに柄本明らの「東京乾電池」で観たチェーホフの登場人物の描かれ方は喜劇タッチで、「ロマンス」でのチェーホフの苦悩が事実なら、まさしく東京乾電池の演出が正統ということなのか? もうあまり覚えてはいないんだけど。


★チャーミング
 「煙草の害」について講演する年老いた男が、講演をしながら次第に自分の本質、本音を吐露し始め、生の自分をさらけだす。
 ときに弱気な繰り言を、ときに少々エキセントリックな仕草を。声の調子を使い分けて、グダグダな男の本音がごくごく普通なこととして浮かび上がる。
 柄本明の演技をみていて、いつも感じる「かわいらしさ」?は何なのだろう。いやな不潔な男の中にも、許せる部分を残しておいてくれる。
 私にはいつもそれが「チャーミング」です。とくに必ずチェックしている役者ではないけど、会えば必ず惹きつけられる、希有です。
 今回の舞台も、そういう彼の芝居心で1時間が流れるようでした。
 
  「この芝居を観て禁煙する人はいないかもしれませんが、この芝居を観て笑う人はいると思います」

 パンフで見かけた、この芝居のコピーです。


 カーテンコールで登場した柄本明が「いやー、疲れちゃって」と。生の役者の姿を一瞬見させてもらいました。
 こういうのも演技の一つと思えば、それもまたいい。
 緒形拳が一人芝居「白野」のカーテンコールでみせてくれた「さよーなら~」に通じる「役者自身がもつ魅力」なんだろうな。

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