隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

お金では買えない?~映画「ぼくの大切なともだち」

2009年11月22日 10時39分22秒 | 映画レビュー
ぼくの大切なともだち」 (2006年、フランス)

監 督  パトリス・ルコント
出 演  ダニエル・オートゥイユ/ダニー・ブーン



●「愛はお金で買えるけど、友情は…」
 「君の葬式には誰も列席しないだろう。君には友だちがいないから。俺も行かない」友人たちにそう言われ、そんなことはないとタンかをきり高額の壺を賭けることになってしまった骨董商フランソワ。親友と呼べる人をみんなに紹介しなければ大変なことになってしまう…。
 クイズ番組に出るのが夢という物知りオタクのタクシードライバー、ブリュノ。穏やかで誰とも親しく接することができるようすから、フランソワは彼に「どうやったら友だちをつくれるの?」と尋ねるが、実は彼は親友と妻に裏切られた過去をもつ傷ついた心の持ち主。
 そんな二人の交流をコミカルに描いたドラマ。
 クライマックスは用意されているけれど、お決まりのむりやりの盛り上がりはなく、クライマックスさえ、今どきの映画やドラマにしては驚くほどさっぱりしている。
 ムリュノの友情をためしたフランソワ、ショックを受けるブリュノ。その気持ちの揺れさえも、ある意味軽く描いて私たちを動揺させたりはしない。
 だけど、「愛はお金で買えるけど、友情は買えない」なんて、ドキッとするけど納得しちゃうようなセリフを、やっぱりさりげなく私たちに突きつけたりする。
 原題は 「Mon meilleur ami」(My best friend)。邦題もそのまま。
 いまさら(笑)「親友」を求めて右往左往する中年男、というのも、のどかで平和だ。なんて、それは偏見かもね。
 中年のおっさんだっておばさんだって、本気でほしいのは「お金」じゃなく「心」だったりする? 
 そう思うと、ちょっと心がなごむような、世の中捨てたもんじゃない気がしてくる。
 そんな気分にさせてくれる「優しい」映画だ。

●「列車に乗った男」
 パトリス・ルコント監督の作品 「列車に乗った男」も二人の対照的な男たちを描いて秀逸だ(ココに拙レビューあり)。
 この作品の男たちのリアルさ、マジさに比べると、本作品のフランソワもブリュノも浅く表面的に見える。でも案外私たちの大半はシビアでも重くもなく、こんなふうに風のようにフワフワ生きているように見えるんだろうな、と安心できる。そういう映画だ。
 周囲の人には散々な言い方をされるフランソワだけど、私にはごくごく普通の、とくに好きにもならないかわりに拒否反応を示すというほどではない人物に見える。
 この「どうでもいい」的な人物評価が彼にとってはマズイのかしら。そう思ってわが身を振り返ると、あれれ、ちょっと怖くなるんですけど…。

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