2023.03.16(木)
大人になると、毎日を穏やかに、ほんわか生きようと思っても、なかなか難しい。
世の中では、自分に直接関係ないことでも、気になることが起きたりするし。
若いときは、上の世代には本当に批判的だったし、大人は嫌いだったし信用できないと思っていた。
そのまま成長してしまったような愚かな人間だけど、最近は下の若い世代に、いったい何をやってたのか、と責められる対象になってきているんだな、と、ニュースやネットの書き込みを見て感じることがある。
きついなあ、と思ったり。でもそういうことを上の世代にぶつけてきた身としては、甘んじて引き受けなくてはいけないんだろうな、でもここまでの道のりをどう説明したらいいんだろう、何を言っても結局言い訳なんだろうな、と相変わらず煮え切らない。
生きて歳を重ねるというのは、こういうことを目の当たりにするってことなんだな。なかなか大変だ。
そんな尖がっていた10代の私をとことん惑わしてくれたのが、大江健三郎氏の作品だった。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230313/k10014006861000.html
『飼育』『死者の奢り』から『万延元年のフットボール』まで、古本屋で年代順に読み漁って、平凡な自分の日常とは別世界のような、作品の中の人物たちの絶望的な(と思わせる)生きざまをまともに受けて息苦しくなったり、それでも夢中で読んでしまったり。その反面、古い洋画のスターに憧れて映画雑誌の古本を集めたり、思い出すと支離滅裂で、どんな10代だったんだろうと自分でも笑ってしまう。
その大江氏が亡くなった。
再審決定!のニュースもあった。
事件が起こった1966年も、袴田巌さんの死刑が確定したのは1980年も、私にしてみたら、それほど古い時代ではない。80年と言えば、忙しく仕事をして怖いものなし?で暮らしていたころだ。
そんな日々に、「証拠の捏造では?」とあとから言われるような捜査や裁判があったのだと思うと、言葉にできない恐ろしさを感じる。
袴田さんは14年に釈放されたけれど、長年の拘禁症状の影響で精神を病み、今回の再審開始決定という事実を理解するのは難しいという。なんということだ。
「再審決定」はゴールではない。高齢の姉、ひで子さんの発言をきくたびに、一日も早く(もうちっとも早くはないんだけれど)「無罪」という本物のゴールを迎えられることを祈るしかない。
こちらのソメイヨシノの蕾はまだまだかたいけれど、それでも街が、尾根道が華やいできた。
山桜の薄いピンクはとても優しい。
WBC、イタリア戦。岡本選手がホームラインを打ったところ・・・。
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