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【希望者全員に毎月20万円の給付金を配れ!】「全国民へ生活費支給する政策」が有効なワケ~経済を成長させ、景気や雇用を安定化させる~

2022-12-07 06:38:42 | 日記


■「ベーシックインカム」で、人々に回復力を 推進者の経済学者が訴え

グローブプラス(朝日新聞)2020.06.17 経済学者ガイ・スタンディング

https://globe.asahi.com/article/13459926


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・ガイ・スタンディング 

経済学者で、ベーシックインカムの国際的な推進団体「ベーシックインカム・アース・ネットワーク」(BIEN)の共同創設者。現在、ロンドン大プロフェソリアル・リサーチ・アソシエイトを務める。著書に『プレカリアート 不平等社会が生み出す危険な階級』(法律文化社)、『ベーシックインカムへの道』(プレジデント社)など。

 

・ベーシックインカムとは

ベーシックインカムは、政府が無条件で一定額のお金を全ての国民に配る制度などとされる。
国際的な推進団体「ベーシックインカム・アース・ネットワーク」(BIEN)は「資産調査をせず、仕事上の資格があるかに関係なく、個人単位で全ての人に無条件に配られる定期的な現金給付」と定義している。

 

 


・「特別定額給付金」は賢明な政策


――日本に住む全ての人に一律10万円を配る「特別定額給付金」の支給が始まりました。一度きりですが、BIのような給付です。どう評価しますか。


賢明だと思います。
今の時期、助けが必要なのは一般の人たちです。
当座、政府は全住民の救済を実現しました。
ぜひ次の段階に進んでほしい。少なくともパンデミックが終わるまで、毎月の支払いを保証する。
そして、より長期の救済策を決めるのです。

 

――シンガポールは21歳以上の全ての国民に、600シンガポールドル(約4万5000円)の給付を決定。
米国では年収7万5000ドル未満の大人に1200ドル(約13万円)、全ての子どもに500ドル(約5万4000円)を支給します。
英国やフランスでも休職者らに一定の給付があります。
将来的に各国でのBI導入検討につながる可能性はありますか。


おっしゃるとおり。
そういった政策はBIに向けた動きといえます。
しかし、なぜシンガポールでは21歳以上なのでしょう。
全員が対象にされるべきです。
なぜ一定の年齢以下の人たちはお金を受け取れないのでしょう。
公平ではありません。
その人たちの中にも貧しかったり、不幸だったり、重病だったりする人がいるかもしれない。
お金が必要なのです。
なぜ排除するのでしょうか。

 

――長年BIを主唱されてきました。
新型コロナウイルスの世界的流行を受け「今こそBIを実現するべきだ」と主張されています。
なぜ以前にも増して必要なのですか。


BIを実施する理由は倫理的なものだと、これまで言い続けてきました。
BIは社会にいる全員に唯一、最低限の保障を与えられる可能性があるため、絶対的に必要なのです。
もし日本や英国、どこかの国のある集団が不安定な状態におかれていたら、ウイルスに感染したり、ほかの病気になったりして、感染を広げていく可能性が大いにあり続けます。
誰もが保障を受けることは死活的に重要なのです。
誰もが所得を保障される。
そして生きていく上で自分で好きなように決断できる。
BIがなければ、経済は低迷し、将来の経済的危機がもっと悪くなると思います。
私が最近話をするときに強調しているのが、レジリエンス(回復力)です。
レジリエンスとは、ショックに対処できる能力があることを意味します。
重病であれば、レジリエンスはありません。
私たちが必要なのは、普通の人により強いレジリエンスを与えることなのです。

 

・なぜ全住民が対象か


――BIは公共事業や減税のような従来の景気刺激策とどう違うのでしょう。


例えば、プレカリアート(非正規雇用など不安定な立場の労働者)がBIを支給されれば、お金を使う傾向がかなりあります。食料や衣類、子供の必要な物、本など基本的な財やサービスの購入にそのお金を使うでしょう。
そうすれば、2008年のリーマン・ショック後の金融危機の時のように金融市場にお金を投入する以上に、実体経済が刺激されます。
本来の生産システムを刺激することになります。
消費は投資を増やし、より多くの雇用にもつながるのです。

 

――BIはなぜ貧しい人だけでなく、全住民を対象に給付するのですか。


貧しい人を特定するのは難しいからです。
所得はしばしば増えたり減ったりします。
ある週は貧しかったけど、別の週はそうではなくなった。
でも次の週はまた貧しくなることがあります。
ほかにも問題があります。貧しい人だけに給付すると、その人が貧困から抜け出す努力をして賃金を得た場合はどうなるでしょう。
もし低賃金で働き「貧困線」より少しでも上にいるなら、給付を失います。
これが「貧困のわな」といわれるものです。
私たちは何十年にもわたり、世界各地でBIの実験をしたり、研究をしたりしてきました。
しかし、貧しい人のみが対象なら、間違って除外されてしまうこともあります。
全住民にBIを給付する方が、手続きも簡素ですっとよいのです。

 

・ニューノーマルとなりえるか


――BIの額などはどうやって決めたらいいでしょう。


政府がBIを始めるためには、政府からコントロールを取り上げることが重要です。
そうしなければ、選挙前にはBIの額を上げ、選挙後には額を下げるでしょう。
だから、選ばれた委員からなる独立した委員会によって運営されるべきです。
委員たちは政治的な選挙サイクルの外で委員会を運営していくのです。
そうしなければ、BIは政治化されてしまいます。
首相や大統領から独立させることが重要です。

 

――BIは新型コロナウイルス終息後のニューノーマルになり得ると思いますか。


今回、世界中の一般の人が、私たちはみな弱い存在だと気づきました。
みな病気にかかることがあり得ます。皆所得を失うこともあり得ます。
私たち皆が他者と連帯することで、多くのことを感じられます。
今やBIがどのような存在になるのか気がつき、学んでいるのです。
私は、今の危機からBIが実現する可能性は60%あると思います。
重要な国の一つでも(それは日本かも、カナダかもしれません)BIを導入すれば、ほかの国がすぐに倣うでしょう。
その日が来る可能性はあるのです。
私たちは、経済をそれぞれのライフスタイルに合わせ、よりストレスのないものにしなければならないのです。
だから、BIは今や、政治家、プレカリアート、学生、環境保護者らによってかなり真剣に考えられているのです。
過去にはだれもが、頭のおかしい、ばかげたことだと思っていたでしょう。
今や知的な議論がなされているのです。
もしBIがあれば、働かなくなるのではなく、もっと働くのです。
このことに気がつくのはとても重要です。
BIをもらえば、怠け者になるというのは事実ではありません。

 

――世界で同時に最悪の状況を経験しているため、私たちはBIの重要性に気がついたのだと。


その通りです。私よりうまく表現しています。


――改めてうかがいます。BIはニューノーマルになり得ますか。


はい。ニューノーマルになりえます。もちろん、BIだけでは全ての問題を解決できませんが、その支えになると思います。

 


・<メモ>ベーシックインカムの実験

これまで欧州や北米などの一部自治体で、ベーシックインカムの実証実験が行われてきた。
フィンランドでは政府が2017~18年、失業給付を受けていた中から無作為抽出した失業者2000人に収入の有無や求職中かを問わず、毎月560ユーロ(約6万6000円)を給付。失業給付を受けていたほかの失業者と比較する実験をした。20年5月に発表された結果によると、17年11月から1年間の平均就労日数は、560ユーロの支給を受けた人の方が78日で受けていない人より5日多かった。生活の満足度を0~10の段階評価で尋ねたところ、平均値は支給を受けた人が7・3、受けていない人は6・8だった。


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「ベーシックインカム」で、人々に回復力を 推進者の経済学者が訴え
グローブプラス(朝日新聞)2020.06.17
https://globe.asahi.com/article/13459926

 

 

 

 

 

■「希望者全員に毎月20万円の給付金を配れ」京大教授が訴える最強のコロナ対策~命より財政を優先する財務省の異常~

PRESIDENT Online 2021/05/14

https://president.jp/articles/-/46004?page=1


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感染拡大を食い止めるにはどうすればいいのか。

京都大学大学院の藤井聡教授は「自粛に応じてもらう代わりに徹底的な補償をすればいい。
一人当たり毎月20万円給付しても日本が財政破綻することはない」という。

ジャーナリストの田原総一朗さんとの対談をお届けする――。

 

・財政破綻論は「完全にデマ」である


【田原】藤井さんが掲げる提言「プライマリーバランスの黒字化にこだわるのをやめよ」、という問題を中心に話したい。
2012年暮れに首相に返り咲いた安倍晋三さんは13年春以降、黒田東彦はるひこ・日銀総裁と組んで「異次元の金融緩和」をやった。
政府がお札を刷り、日銀が市中の国債はじめ株式や債券をガンガン買い入れ、出回るおカネを増やし、インフレターゲット2%を設定して、内需を拡大させようとした。
「機動的な財政政策」で公共事業もやった。
「成長戦略」と合わせて、アベノミクス三本の矢で日本経済をよくすると。
ところが『日本銀行「失敗の本質」』という本を書いた朝日新聞の原真人編集委員によれば、その結果、日本の長期累積債務は1200兆円、GDP比で220%に膨れ上がった。
このままいけば間違いなく財政破綻で「第二の敗戦」だ、早ければ2025年にもそうなるという。
藤井さんの反論を聞きたい。

 

【藤井】その話は完全にデマです。
いたずらに危機を煽あおって人を不安にさせて注目を集めようとしているに過ぎません。
本を買って嘘を読まされた人は、賠償請求をしなければいけないくらいです。
なぜか? 
簡単なところから申し上げますと、財政破綻論者は、かつて政府の累積債務がGDPと同じ水準に達すれば破綻するといった。
800兆円になったらとか、1000兆円を突破したらとか、ずっと「破綻する。破綻する」といい続けてきた。
にもかかわらず、日本政府はまったく破綻していない現実があります。

 

・緊縮財政が景気を悪化させた


【藤井】そして、理論的な視点から説明するとすれば、彼らはいろいろなところで間違っていますが、最大の間違いは、「破綻する。破綻する」と叫んで財政を緊縮させ、景気をますます悪化させ、その結果、税収が減って財政を悪化させてしまっているところです。
つまり、原さんたちが心配で心配でしかたがないといっている財政悪化という状況を作っているのは、他ならぬ彼ら自身なのです。
彼らが騒がなければ国債をもっと出して政府支出を増やしたり消費税を減税・凍結したりでき、それを通して経済がよくなって、財政問題が自ずと解消するのですが、彼らが騒ぎ立てることで、そういう改善プロセスを邪魔してるんです。
これが彼らの最大の間違いです。


【田原】2021年1月末の朝日新聞に、原編集委員は「金融緩和、出口見失った日銀 重なるベトナム戦争の泥沼」という記事を書いていた。
黒田総裁は異次元緩和を2年間の短期決戦と説明したのに、8年近くたっても出口戦略がない。
こうも泥沼化させたのは日本政府のひどい財政状況で、世界最悪水準の借金依存がさらに悪化。
日銀がお札を刷り国債を買い支える「打ち出の小づち」が、どこまで持続可能か誰にもわからないと。
政府の借金が雪だるま式に増え続けてよいはずがない、といいたいわけね。
これは世の中の“常識”といえば常識でしょう。

 

・「コロナ禍は有事である」という発想がない


【藤井】おっしゃるとおり。
しかし、重要なのはその常識こそが間違いだという点。
そもそも原さんは、ある意味で的確な意見を開陳している。
それは“ミスター財務省”の主張です。
政府の借金は理屈抜きに悪い。
でも、1000兆円超もの借金を一気に返すのは無理。
だから、とにかくプライマリーバランス黒字化で単年度の借金をなくし、増税もして、借金を減らす方向に持っていかなければならない。
こういうのがいま世間の常識になっていますが、これこそ完全に間違った考え方。
その“常識”が間違っているんです。
「コロナ禍は有事である」という発想がない!


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「希望者全員に毎月20万円の給付金を配れ」京大教授が訴える最強のコロナ対策~命より財政を優先する財務省の異常~
PRESIDENT Online 2021/05/14
https://president.jp/articles/-/46004?page=1

 

 

 


■「全国民へ生活費支給する政策」が有効なワケ~経済を成長させ、景気や雇用を安定化させる~

東洋経済 2018/03/06 ガイ・スタンディング : ロンドン大学教授

https://toyokeizai.net/articles/-/210817


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・「おカネをばらまけばインフレになる」との指摘は一面的


経済成長は必ずしも好ましい側面ばかりではないが、すべての人にベーシックインカムが給付されれば、経済成長にいくつかの好影響が及ぶ。


経済に流れ込むカネが増える結果、総需要が増加し、(深刻な供給制約がないかぎり)経済成長が加速する。

たとえベーシックインカムがほかの政府支出の削減によってすべて賄われ、政府支出の総額が変わらないとしても、需要を拡大させる効果がある。


ベーシックインカムは、低所得層の購買力を高めるからだ。

低所得層は高所得層に比べて、受け取ったカネを消費に回す傾向が強い。


同じ理由により、ベーシックインカムによる成長は、総需要を刺激する政策にしばしばついて回る「国際収支の天井」を回避できる。


高所得層は輸入品や海外旅行などにおカネを使う傾向があるのに対し、低所得層は「ぜいたく」な輸入品よりも地元の製品やサービスにおカネを使うので、経済成長とともに国際収支の赤字が持続不可能な水準まで積み上がる危険が比較的小さいのだ。


「ベーシックインカムが導入されて、経済に流れ込むおカネが増えれば、インフレが起きる」という指摘があるが、そうした主張は一面的と言わざるをえない。

資金量が増えて需要が刺激されれば、おそらくモノやサービスの供給も増えるからだ。


供給が増えれば、雇用が増える可能性がある。そうなれば、所得が増えて人々の支出力が高まり、乗数効果を通じてさらに生産が拡大するかもしれない。

人々の支出力を高めることは、先進諸国の大きな関心事になっている。


人々の所得の伸びが生産力の伸びに追いついていないからだ。

昔は、生産性が向上すれば実質賃金(インフレ調整済みの賃金)が上昇し、総需要(要するに消費の量)が拡大した。


しかし、今日の経済ではこの図式が当てはまらない。

生産性が向上しても賃金が上昇せず、成長が鈍化しているのだ。


今日の開放経済の下では、昔のような生産性交渉を通じた所得政策が極めて難しくなっている。

そもそも、そのような取り組みが盛んに行われていた1960年代当時も、成果が上がる場合ばかりではなかった。


一方、今日は昔よりも、賃金の停滞や下落に苦しむ家庭が借金をしやすい。

その結果、債務バブルが発生して、やがてそのバブルが弾けて大打撃が生じる危険も大きくなっている。


2007~2008年の世界金融危機の引き金を引いたのも、そうした現象だった。

今後、再び同じことが起きても不思議はない。


その点、ベーシックインカムは、高い水準の総需要を維持しつつ、経済の脆弱性を軽減できる。

 

・中小企業や起業家にも恩恵が及ぶ


見落とされがちだが、ベーシックインカムが中小企業や起業家にも好ましい影響を及ぼすことは間違いない。

経済的な安全が確保されれば、人はリスクを伴う起業に前向きになる。


失敗した場合にも、当てにできる収入があると思えることの効果は大きい。

途上国では、ベーシックインカムと現金給付が起業を後押しすることがわかっている。


インドのマディヤ・プラデシュ州で行われた実験でも、ベーシックインカムと起業の間に強い関連が見られている。

先進国では、起業の夢を持っている人だけでなく、不本意ながら自営業やフリーランスで働いている人にも安全を提供できる。


さらには、人々が仕事のためのトレーニングを受けたり、就職先を決めたりするときに、「食い扶持」を稼げる可能性が高い分野よりも、自分の適性や意欲に合う分野を選びやすい状況をつくり出せる。

そうなれば、人材が適切な職に振り向けられ、人々の仕事に対する熱意も高まって、生産性が向上する。


アメリカでは、従業員のやる気不足による生産性低下が原因で、推定約5000億ドル(約53兆円)が失われているという。

ベーシックインカムは、賃金労働から、それ以外のさまざまな活動への移行も後押しできる。


具体的には、子どもやお年寄りの世話をしたり、ボランティア活動や地域コミュニティの活動に参加したり、自己啓発のために時間を割いたりしやすくなる。

また、雇用拡大のためだけに新規雇用を創出する必要性も減る。


雇用対策のために、資源を枯渇させたり、地球環境を汚したりする業種の仕事をつくらなくてすむのだ。

この2つの点において、ベーシックインカムは、環境面と社会面でより持続可能性の高い経済成長を促すと言える。


伝統的なケインズ経済学では、福祉国家の仕組み、特に社会保険制度は、景気循環の波を小さくするための安定化装置の役割を果たしていた。

景気がよく、インフレ圧力が高まってくると、支援の必要な失業者が減る結果、たいてい福祉給付のための公的支出が減り、景気の過熱にブレーキがかかった。


逆に、景気後退期には、失業手当やその他の福祉給付が増え、需要が刺激され、雇用回復が後押しされた。

しかし、既存の福祉制度は、マクロ経済の自動安定化装置としての力が弱まっている。


資力調査など条件つきの支援への移行が容赦なく推し進められるにつれて、社会保険の規模が縮小しているためだ。

しかも、新自由主義思想に基づく財政緊縮策、すなわち財政均衡と政府債務削減のために歳出削減を目指す政策により、政府は景気後退期にも意識的に支出を減らすようになった。


その点、シンプルなベーシックインカムを導入するだけでも、ある程度の自動安定化装置になる。

景気後退期の人々の支出力を高められるからだ。


わたしは以前、重層型のベーシックインカムを提案したことがある。

ささやかな固定額のベーシックインカムに加えて、「安定化」のための給付金を上乗せして給付するというアイデアだ。


上乗せ部分の金額は、経済の状態によって変える。

具体的な金額は、独立した委員会に決めさせるのが好ましいだろう。


これは、中央銀行の政策金利決定のための委員会と同じような位置づけと考えればいい。

この仕組みは公正性も高い。雇用が多いときは、高所得の職に就く機会が比較的多いので、給付金を少なく抑えることが理屈に合う。


一方、景気後退期に給付金を増額することは、「機会所得」の減少を埋め合わせる効果がある。

それに対し、既存の社会的扶助の仕組みは、雇用が少ない景気後退期に、失業者に職探しを要求する。


しかし、まじめに職探しを続けていることを証明するよう求めれば、実質的に受給者の所得を減らしてしまう。

職探しは時間とおカネとやる気を消耗するし、雇用の少ない状況で職探しに励んでも報われない可能性が高いからだ。

 

・金融機関のための量的緩和から人々のための量的緩和へ


2007~2008年の金融危機後の景気後退を受けて、日本を始点に、多くの国でデフレ脱却を目指す金融政策が導入された。


量的緩和策(QE)である。

しかしこの時期は、とりあえず短期間でもベーシックインカムを導入するチャンスだった。


アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)、日本銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)などの中央銀行は、量的緩和策の下、莫大な量のドルや円やポンドやユーロを金融市場に流し込んできたが、経済成長を促進するという目的が十分に達成されているとは言えない。


その莫大な資金のごく一部でもベーシックインカムに振り向けていれば、もっと経済成長を促進できただろう。

この政策は、貧困層より富裕層を潤すという心配も少なく、予算面でも明らかに実現可能性があった。


さまざまな経済学者がそのような選択肢を提案していた。

アメリカのFRBが量的緩和につぎ込んだ4兆5000億ドル(約480兆円)があれば、アメリカのすべての世帯に5万6000ドル(約600万円)ずつ配布できた。


イギリスでは、イングランド銀行が費やした3750億ポンド(55兆円)があれば、合法的居住者全員に、週50ポンド(約7300円)のベーシックインカムを2年間配れた。

しかし実際は、量的緩和策が実行されて大口投資家が潤い、所得格差が拡大し、年金制度の資金不足に拍車がかかっただけだった。


経済成長を促すために人々に直接おカネを配るというアイデアは、アメリカの経済学者ミルトン・フリードマンが1969年の論文で提案していた。

フリードマンはその考え方をわかりやすく説明するために、ヘリコプターからドル紙幣をばらまき、人々に拾わせるという比喩を用いた。


お札を刷って国民にばらまく「ヘリコプター・マネー」は、アメリカの債券投資家ビル・グロスや経済ジャーナリストのマーティン・ウルフなども提唱している。


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「全国民へ生活費支給する政策」が有効なワケ~経済を成長させ、景気や雇用を安定化させる~
東洋経済 2018/03/06 ガイ・スタンディング : ロンドン大学教授
https://toyokeizai.net/articles/-/210817

 

 

 

 

 

■お金はまくべし! デフレ脱却と未来の暮らしを考える

若手リーダーに贈る教科書(NIKKEI STYLE)2018/6/16 井上智洋著 「ヘリコプターマネー」

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO31746520U8A610C1000000/

 

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景気の回復局面は6年目に入ったが、デフレ脱却は道半ばといわれる。

一方、「体感物価」の上昇で消費者の間には、なお生活防衛・節約志向が根強い。


そんななか、景気をよくする「禁断の劇薬」ともいわれるヘリコプターマネーが経済に及ぼす効果を基礎から解説し、導入を勧めるのが今回の書籍「ヘリコプターマネー」だ。

人工知能(AI)が進化し、多くの人間の仕事をロボットなどが担うようになる未来の経済政策としても有効だという。

 

・お金をばらまけば、景気はよくなる?


ヘリコプターマネーとは、政府や中央銀行があたかも空からばらまくように大量の貨幣を発行して市中に供給するような政策です。


「インフレに歯止めがかからなくなる」などとして導入に否定的な経済学者が多い半面、「日銀の金融緩和は、すでにヘリコプターマネーの色彩を帯びてきている」との指摘もあります。


一般的には「空からばらまく」という語感のせいもあって、どこか疑わしい印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

著者は、景気と市中に出回るお金「マネーストック」の量の関係を重視します。


マネーストックを増やし、消費を刺激して景気をよくするには、ヘリコプターマネーが有効であり、そのために政府の「貨幣発行益」を充てる手を考えるべきだと説きます。

 

・ばらまきの原資、貨幣発行益で


ーーー


「貨幣発行益」は、政府や中央銀行などが貨幣を発行することで得られる利益である。

例えば、1万円札の発行コストは一枚あたり約20円なので、残りの9980円が日銀の貨幣発行益ということになる。(中略)

貨幣発行益は、人類が手にできるほとんど唯一の打ち出の小槌(こづち)であり、私たちはデフレ下では、この小槌を副作用なしに振ることができる。

ヘリコプターマネーを実施しない政府と中央銀行は、国民のウェルフェア(厚生、幸福)を高める責務を怠っていることになる。

(第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム 160~162ページ)


ーーー


著者は、この貨幣発行益をたいして必要でもないインフラや箱物を造るといった昔ながらの公共事業に使うのでなく、直接国民に配る形でマネーストックの拡大につなげるべきだと主張します。

その手段のひとつが、ベーシックインカムの導入です。


ーーー


「ベーシックインカム」(以下BI)は、生活に最低限必要な所得を国民全員に保障する制度である。

例えば、毎月7万円のお金が老若男女を問わず国民全員に給付される。

私は、これをよく「子ども手当+大人手当」つまり「みんな手当」と説明している。

(第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム 164ページ)


ーーー


・井上智洋氏

著者の井上智洋さんは1975年生まれ。慶応義塾大学環境情報学部を卒業した後、早稲田大学大学院経済学研究科で学び、2011年に経済学の博士号を取得しました。17年からは駒沢大学経済学部の准教授を務めています。専門はマクロ経済学で、著書に「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」(文春新書)などがあります。


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お金はまくべし! デフレ脱却と未来の暮らしを考える
若手リーダーに贈る教科書(NIKKEI STYLE)2018/6/16 井上智洋著 「ヘリコプターマネー」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO31746520U8A610C1000000/

 

 

 

 

 

 

 

■コロナ禍の今こそ、国民全員に毎月10万・年間120万円の現金給付を行え!

ハーバー・ビジネス・オンライン 2021.01.18

https://hbol.jp/pc/236695/

 

 

 


■欧米各国はコロナ禍で手厚い給付金 10万円+マスク2枚だけとは歴然の差

長周新聞  2021年6月8日

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21124

 

 

 

 

■米国経済、早くもコロナ脱出で好景気真っただ中…政府、日本と真逆の大胆&迅速な対応

 

Business Journal  2021.05.13

https://biz-journal.jp/2021/05/post_225585.html

 

 

 

■【みんなに毎月10万円を配り続けたら国は破綻するか?】れいわ新選組代表 山本太郎

https://youtu.be/xiM6JLBlk5I @YouTubeより


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