kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

虐殺器官

2017年02月18日 | ★★☆☆☆
日時:2月18日
映画館:TOHOシネマズ緑井
パンフレット:A4横版1,200円 テキスト情報盛りだくさん。

原作小説がすこぶる面白かったので、映像化にも期待していたのだが、製作会社の破綻なんて事態になり、ようやくひっそりと公開。「屍者の帝国」と「ハーモニー」も読んでいたが、時間が合わず、観ることが出来たのは本作のみとなった。

映画の方は若干のアレンジはあるものの、ほぼ原作どおりの内容となっている。アニメっぽくなり過ぎないかと不安だったミリタリーとメカニック描写も現用兵器と違和感がなく、一安心。
シーウィードとポッドのベタな表現などワタシが想像していたとおりだったので、逆に「これでエエンかいな。」と心配になったくらい。

今回の映画化において、製作のどのあたりまでがマングローブ破綻前に進んでいたのか、とても気になるところで、実は映画化にあたっての映像面での工夫が見られないのが食い足りない。

まず、登場人物がみんな似たようなアニメ的な風貌であるのは面白くない。特にウィリアムズまでイケメンなのは納得出来ない。個人的には若い頃のラッセル・クロウとか丸太ん棒の上に頭が乗っているイメージだったのだが。
彼については「スペイン宗教裁判」ネタが残っていたのはビックリ。劇場で大受けしてしまった。ただ、使い方として原作通りのショットガンを構えて突入するシチュエーションで、しかもセリフは「Nobody expects the Spanish Inquisition !」として欲しかった。

冗談みたいな残虐場面も控えめなのが残念。特にインドでの死闘はブラックユーモアみたいに描くからこそ無意味さが生きるんじゃないかなあ。
これに限らず、字面をそのまま映像化したゆえに、画面として退屈なシーンが多い。情報や思考を語る場面をそのまま映像しても面白くなる訳がない。それなら小説に歩がある。
ここはオリバー・ストーンの「JFK」や「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のように映像の過激なコラージュで綴った方が話がより伝わったのではないだろうか。

一番ガッカリだったのは、小説のラスト、アメリカでの内戦が描かれなかったこと。それを描かなかったら、「ハーモニー」にも繋がらないし、プロローグに公聴会を持ってきた意味がないだろう。伏線として全く活きていない。

破綻しなくてもこのレベルだったのか、もっと違う作品になっていたのか・・・
最近の海外TVドラマのエネルギッシュさを見ていると、たとえトンデモ改変されたとしてもそのスキームの方が面白くなりそうだな。

ところで、原作小説にある「プライベート・ライアン」のオンデマンド15分無料タイムは、オマハビーチで無線兵の顔面が直撃弾でぶっ潰れるシーンまでなのだが、その話を披瀝したら、呆れられることが多い。なぜ?
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