日時:1月30日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:B5版720円。フェイク解説に監督インタビュー、歴代食人族映画の紹介と不必要に充実の内容。
実を言うと、食人族(食人)映画は得意ではなく、デオダードの「食人族」、レンツィの「人喰族」、ローラ・ジェムサーの「猟奇変態地獄」、ジョージ・イーストマンの「猟奇 喰人鬼の島」のいずれも未見。(イタリア娯楽映画を研究していると、これらの映画はタイトルだけでも避けては通れないのだ。)
イーライ・ロスの「ホステル」シリーズも観ているが、突き抜けた描写に引いてしまっていることもあって、本作を観るかどうか悩ましいところだった。
なのだが、上映館が広島を代表する〝良識ある"ミニシアター、サロンシネマ。
「スターウォーズ/フォースの覚醒」公開に併せたかのように劇場にチラシが置かれ、劇場のプログラム冊子のコラムでは「人間解剖」でネタを振り、「白鯨との闘い」にカニバルシーンが無いことをぼやけば本作を薦められ、上映回数を巡る裏話を教えてもらって腹を抱えて笑ったりすると、上映館としての熱さを感じないわけにはいかない。
劇場の熱さを我々観客が受け止めないと、劇場で見ることができる映画はどんどん減っていってしまう。こういう映画は劇場で1回限りで観るから楽しいのだ!R-18のホラー、それもいいじゃないか!
ということで、初日第1回目に行ったのだが、それなりに観客も多い。すごいぞ、サロンシネマ(の担当者)!
さて、この映画知っている人は知っているし、知らない人は全く知らないだろう。
環境保護に燃える過激な学生団体が南米で活動するが、彼らを乗せた小型飛行機が墜落。生き残った数人は食人の風習が残るヤハ族に捕らえられ、食べられる破目に・・・
【以下ネタバレあり】
この映画、もちろん食人される後半が見どころなのだが、監督のイーライ・ロスがすごく計算したうえで映画を撮っていることが良く分かる。
捕らえた学生を解体するシーンは実は1回だけ。そのシーンも詳細には描かず、絶妙なカメラワークと編集でエグイ一歩手前で寸止めしている。80年代のイタリアホラーやスプラッタームービーのダイレクトで直接的な描写を観てきたものとしては、そこまでショッキングには見えない。(と言っている自分が恐ろしい・・・)
その様子を周りで目撃する学生たちが内紛していく様が面白おかしく、劇中進行する事態の割に悲愴感が感じられないし、捕らえられトイレを我慢できなくなった女子学生のシーンにわざと大仰な音楽をつけるものだから、噴き出してしまう。
残る数人の死にざまも何かと工夫を凝らして映画が単調にならないようにしている。一人が生きたまま喰われるシーンは「死霊のえじき」を彷彿とさせるのだが、エフェクトを担当しているKNB EFXのグレッグ・ニコテロは「死霊のえじき」でトム・サビーニのアシスタントをしていたのだから隔世の感。
ちなみに「食人族」は現在、サロンシネマのある東映ビルで上映されていたらしく、ウチの奥さんは劇場前に掲げられていたロビーカードが気色悪すぎて、前を通りたくなかったそうな。歴史は思いがけないところでつながる。
さて、ヤハ族がやっている食人シーンはショッキングなのだが、彼らとしては神の恵みを食しているだけなので、彼らに対して嫌悪感を感じることはない。その辺もちゃんと計算ずく。ある意味、バランスが取れた映画なので、予想したような不快感はなかった。
エンドクレジットでは食人族映画一覧が掲載され、最後の最後にデカデカと「Per RUGGERO」。ジャンルはともかくイーライ・ロスの映画愛が満ちあふれていて、それはそれで嬉しいものがあった。
ところで、ウチの妹はワタシと対照的に南方系の顔立ちで、小さい頃の写真は東南アジアか南米の出身みたいなのだが、ヤハ族の子役が妹の幼い頃のようなのであった。
映画館:サロンシネマ
パンフレット:B5版720円。フェイク解説に監督インタビュー、歴代食人族映画の紹介と不必要に充実の内容。
実を言うと、食人族(食人)映画は得意ではなく、デオダードの「食人族」、レンツィの「人喰族」、ローラ・ジェムサーの「猟奇変態地獄」、ジョージ・イーストマンの「猟奇 喰人鬼の島」のいずれも未見。(イタリア娯楽映画を研究していると、これらの映画はタイトルだけでも避けては通れないのだ。)
イーライ・ロスの「ホステル」シリーズも観ているが、突き抜けた描写に引いてしまっていることもあって、本作を観るかどうか悩ましいところだった。
なのだが、上映館が広島を代表する〝良識ある"ミニシアター、サロンシネマ。
「スターウォーズ/フォースの覚醒」公開に併せたかのように劇場にチラシが置かれ、劇場のプログラム冊子のコラムでは「人間解剖」でネタを振り、「白鯨との闘い」にカニバルシーンが無いことをぼやけば本作を薦められ、上映回数を巡る裏話を教えてもらって腹を抱えて笑ったりすると、上映館としての熱さを感じないわけにはいかない。
劇場の熱さを我々観客が受け止めないと、劇場で見ることができる映画はどんどん減っていってしまう。こういう映画は劇場で1回限りで観るから楽しいのだ!R-18のホラー、それもいいじゃないか!
ということで、初日第1回目に行ったのだが、それなりに観客も多い。すごいぞ、サロンシネマ(の担当者)!
さて、この映画知っている人は知っているし、知らない人は全く知らないだろう。
環境保護に燃える過激な学生団体が南米で活動するが、彼らを乗せた小型飛行機が墜落。生き残った数人は食人の風習が残るヤハ族に捕らえられ、食べられる破目に・・・
【以下ネタバレあり】
この映画、もちろん食人される後半が見どころなのだが、監督のイーライ・ロスがすごく計算したうえで映画を撮っていることが良く分かる。
捕らえた学生を解体するシーンは実は1回だけ。そのシーンも詳細には描かず、絶妙なカメラワークと編集でエグイ一歩手前で寸止めしている。80年代のイタリアホラーやスプラッタームービーのダイレクトで直接的な描写を観てきたものとしては、そこまでショッキングには見えない。(と言っている自分が恐ろしい・・・)
その様子を周りで目撃する学生たちが内紛していく様が面白おかしく、劇中進行する事態の割に悲愴感が感じられないし、捕らえられトイレを我慢できなくなった女子学生のシーンにわざと大仰な音楽をつけるものだから、噴き出してしまう。
残る数人の死にざまも何かと工夫を凝らして映画が単調にならないようにしている。一人が生きたまま喰われるシーンは「死霊のえじき」を彷彿とさせるのだが、エフェクトを担当しているKNB EFXのグレッグ・ニコテロは「死霊のえじき」でトム・サビーニのアシスタントをしていたのだから隔世の感。
ちなみに「食人族」は現在、サロンシネマのある東映ビルで上映されていたらしく、ウチの奥さんは劇場前に掲げられていたロビーカードが気色悪すぎて、前を通りたくなかったそうな。歴史は思いがけないところでつながる。
さて、ヤハ族がやっている食人シーンはショッキングなのだが、彼らとしては神の恵みを食しているだけなので、彼らに対して嫌悪感を感じることはない。その辺もちゃんと計算ずく。ある意味、バランスが取れた映画なので、予想したような不快感はなかった。
エンドクレジットでは食人族映画一覧が掲載され、最後の最後にデカデカと「Per RUGGERO」。ジャンルはともかくイーライ・ロスの映画愛が満ちあふれていて、それはそれで嬉しいものがあった。
ところで、ウチの妹はワタシと対照的に南方系の顔立ちで、小さい頃の写真は東南アジアか南米の出身みたいなのだが、ヤハ族の子役が妹の幼い頃のようなのであった。
題名:グリーン・インフェルノ 原題:THE GEREEN INFERNO 監督:イーライ・ロス 出演:ロレンツォ・イッツォ、アリエル・レビ、ダリル・サバラ、リチャード・ブルギ |
(修正ずみです。)