kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

高地戦

2013年02月05日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:2月3日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:A4版700円

停戦間近の朝鮮戦争。最後の最後の支配地域獲得と戦闘終結を目前にした兵士の恐怖とジレンマと言われて、「勝利なき戦い」とグレゴリー・ペックを思い出すのは、戦争映画ファンか年寄りである。

近代戦争の映画ではなかなか見られない、高地の分捕りあいが迫真のスケールで表現されていると、前評判の高い本作。ようやく広島でも公開。しかも1週間限定、時間は16:20~の1回。観る方も攻撃の機会は一瞬だけだ。

この映画の舞台は架空のK高地。標高約600メートル、度重なる砲爆撃で丸はげになった山肌が連なる・・・。実に素晴らしいロケ地だ!実際には山火事の跡らしいのだが、こんな殺伐とした山が大好きなので、近くにあればすぐにでも登りに行きたいくらい。

と、浮かれていられる訳がなく、この高地で韓国軍・人民軍の双方が血みどろで死屍累々、折り重なる死者が稜線の形を変える死闘を展開する。結論から言うと、近年まれに見る「登場人物死亡率」の高い映画。おそらく95%超えくらい。手持ちカメラは急傾斜を駆け上がる兵士と共に突撃し、いたるところで迫撃砲が着弾する。頂上にたどり着いても、すぐに反撃をくらい、支えきれず、転がり落ちるような撤退が繰り返される。それを定点カメラで取った取られたの争奪戦を数分で描いたり、グイ~ンとカメラを引いて大エキストラによる戦場の惨状を俯瞰したり、戦争映画の見せ方としては、実に良く出来ている。

そこに前中隊長の謎の死、北との内通者の疑惑、敵味方を超えた奇妙な友情、「2秒」と称される必殺のスナイパー、脛に傷あるモルヒネ中毒の若き中隊長、そして最後の12時間と、ストーリー的にはもうてんこ盛りの内容なのだが・・・

盛り沢山すぎないかい。

多分、どのエピソードもそれだけで1本の映画が作れるだけの奥行きがあるのだが、盛り込み過ぎてしまい、話が右往左往している印象を受けてし まう。

戦闘シーンが良いだけに、作為的に感動させよう、涙させようとした場面が足を引っ張っているのだ。それぞれのエピソードの出来栄えは決して悪 くないのだが、よく出来た戦争映画と言うのは饒舌に語るのではなく、観客の想像力によって人間の痛みを感じさせるものだと思う。(現代の観客 はそれだけの想像力を持ち合わせていないという判断があるのかも知れないが)

出来のいい映画なのだが、微妙なところでストーリー配分のバランスを崩しているかのようでもったいない。いくつかのエピソードを整理して、戦闘シーンにもう少し工夫があれば、「戦争のはらわた」「プラトーン」「プライベート・ライアン」級の大白兵戦映画として戦争映画史に残る傑作なりえたかも知れない。






題名:高地戦
原題:THE FRONT LINE
監督:チャン・フン
出演:シン・ハギュン、コ・ス、イ・ジェフン
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テッド

2013年01月25日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:1月24日
映画館:バルト11
パンフレット:なんと公開10日で売り切れ!後述するが、元ネタの充実ぶりゆえか。

ちょっとこれは面白すぎる!!

友だちが出来なかった少年がクリスマス・プレゼントにもらったくまのぬいぐるみに「一生、友だちでいて。」と願いをかけたら、本当に魂が宿ってしまう。その後、一瞬で26年後、少年は35歳のダメ男、くまのぬいぐるみもオッサンに。

しかもただのオッサンではなく、正真正銘のエロオッサン。いつも全裸の露出狂。(当たり前か。)外見がかわいらしいことをいいことにやりたい放題で、どうもちゃんとセックスもできるらしい。

ダメ男、マーク・ウォールバーグの方には人生の不測の事故としか思えない素晴らしい彼女がいるのだが、彼女からエロくまとのダラダラ同居に終止符を打って欲しいと頼まれて・・・。

このダメ男とエロくまのダメダメライフだけでも充分、面白いのだが(実はワタシはハリウッド映画の下ネタ系はあまり好みではない。)、何が面白いかって、ふんだんに盛り込まれた80年代の映画ネタ!!

詳しく書けないが、重要なモチーフの1つが「フラッシュ・ゴードン」!クイーンの「フラッシュ、あ~あ~」のアレである。他にもダメ男の着メロが「ナイトライダー」だったり、ステイン・アライブが流れたり、インディ・ジョーンズにランス・ヘンリクセンネタがあったりと1つ1つがツボに入って大笑い。

「007オクトパシー」の主題歌「All TIME HIGH」のくだりなんて、まさに前日、その「007オクトパシー」を見たもんだから、笑い価も前日比で50円高。(そう、あそこが難しいのだ。)もちろん、劇場を出るときには口ずさんでいた、「オール・タイム・ハ~イ」景気の気は気分の気である。

かようにオッサンは爆笑続きなのだが、観客のほとんどは20代。元ネタが分からず、クスリとも笑わない・・・。

中盤のビックリするようなクレイジー・パーティーのくだりなんて、久しぶりに本気で腹を抱えて笑ったし、これをマーク・ウォールバーグがやるもんだから「ブギーナイツ」かっ!ここでのテディの友情とジョンの選択は非常に正しい。ワタシだって、パーティーにルイジ・モンテフィオリだとか、エン ツォ・G・カステラーリだとかが来ていると分かれば、同じことをする!(断言)あの展開が許せない彼女なんか別れてしまえ!(←ダメ男の言い訳)

さらに続くホテルの大乱闘なんて、あまりのダメダメさに涙を流しながら爆笑。これをリアルな人間同士がやるとダメダメさを通り越して、悲壮感しか出ないところだ。

中盤の怒涛の展開に全てを持っていかれ、お決まりの後半の収束にもっていくようになるとちょっとパワーダウン。まあ当然なんだけど。

80年代に娯楽映画ばかり見て過ごした、ちょいダメな中年のオッサンは必見の映画です。

ところで、マーク・ウォールバーグ、「ブギーナイツ」に「アザーガイズ」とパーティーで乱痴気騒ぎしている場面しか思い出せないが、「ザ・シューター/極大射程」でストイックなタフガイ中のタフガイ、ボブ・リー・スワガーを演じていたような気がするのは、ワタシの記憶違いだろう。






題名:テッド
原題:TED
監督:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、くまのぬいぐるみ
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アルゴ

2013年01月13日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:1月12日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:映画が広島に来る前にすでに売り切れ。残念無念。

公開前には「ベン・アフレックが骸骨騎士団と戦う?」などとウワサしていたが、とうとうアカデミー賞にもノミネートされた本作、ようやく広島でも公開。

劇場で予告編に続き、見慣れた70年代のワーナーブラザーズのロゴ。あれっ?近々、上映予定の「ワイルド・バンチ」の予告編?(この劇場では本当に近々リバイバル上映されるのだ。)と思いきや、そのままキズの入った制作会社のロゴとともに、1979年を舞台にした映画がスタート。

当時の映画会社のロゴを使ったり、キズを入れた効果を使うのは、タランティーノがよくやる手だけど、ハリウッドのメジャー映画で堂々とこの手を使われると、一気に気持ちが盛り上がる。

事の発端は1979年のイラン革命。暴徒がアメリカ大使館を占拠するが、その混乱時に職員6名が脱出し、カナダ大使私邸に逃げ込む。すでに告知済みの導入部であるにも関わらず、この顛末が当時の記録映像を交えつつ、時間をかけてじっくり描かれる。そのおかげで当時の社会情勢や緊迫感が伝わり、これがあとあと活きてくる。

そして、救出を偽装するための偽映画製作作戦「アルゴ」作戦の発動となるが、この辺はもうストーリーが分かっていることを前提に手短に描かれる。ここから、ハリウッド、ワシントン、テヘランの3つのパートが同時進行していく。陽のハリウッドと陰のワシントン、テヘランを小刻みに交互に描き、緊張感を巧みに持続させるなかなか編集の上手い展開。

ハリウッドパートは出演陣もジョン・グッドマン(←好き)とアラン・アーキンを筆頭にコメディ色の強い顔ぶれにし、どちらかといえばTVをメインで活躍する人を配することで、あえて軽いタッチにしているかのようだ。その中でも、プロデューサーの元妻兼映画「アルゴ」の銀河の魔女役がなんとエイドリアン・バーボー!最近、久しく映画には出ていなかったけど、なんてナイス・キャスティング!

ワシントンパートではボブ・ガントンとフィリップ・ベイカー・ホールの政治顔コンビという手堅い分かりやすさ。テヘランパートのカナダ大使役のビクター・ガーバーはTVスパイシリーズ「エイリアス」のレギュラー。同シリーズで主役だったジェニファー・ガーナーがベン・アフレックの嫁さんなので、そのつながりなのかも知れない。(ちなみに脱出メンバーの1人、クレア・デュバルも薄幸そうな顔で好きな女優さんの1人。)

他の出演陣に比べ、アラン・アーキンがあの出演時間でアカデミー賞の助演にノミネートされるなんて、プロデューサー役というあたりに何か大人の事情があるのではないかと勘ぐってしまう。(笑)

1980年の雰囲気はよく再現されているし、テヘランの遠景も何となくリアプロジェクションによる合成っぽくみえて、それが余計に時代感を出している。と、ドラマだけじゃなくて、映画の作りとしても意識的に70~80年代に見せているとしたら、大したものだ。

諜報テクノロジーももちろん「アナログぅ~」((c)草薙素子)。機密書類の廃棄は焼却炉、シュレッダーされた書類は手作業で復元、パスポートの偽造も手描き。なんだかほのぼのしてくるのだが、その時代感とも相まって、リアル「スパイ大作戦」に見えてくる。

一旦そう見えだすとますます「スパイ大作戦」。さらに言うなら「スパイ大作戦」そのものに東側から宗教指導者を秘かに出国させるという全く同じようなエピソード「刑務所突破作戦」があり、仕掛けもサーカス団を偽装に使うというそっくりさ。こうなると実際のアルゴ作戦発案のきっかけとなったのが、「最後の猿の惑星」ではなく、「スパイ大作戦」ではなかったのかとさえ思えてきてしまう。(事実がそうだったとしても、映画としてはベン・アフレックが「昨夜、テレビで「スパイ大作戦」を見て思いつきました!」とはホザけないだろう。(笑))

事実に基づく映画化なので、展開としてさほど派手さはないのだが、ラストの空港脱出のくだりとメンバーの活躍ぶりには、定番とはいえ、上手いなあと唸らされてしまう。昨年のベスト映画に名を連ねているのも当然な快作。

ところで、劇中のベン・アフレックを見ていて思い出したのが、イタリアのマカロニ俳優、ジョージ・イーストマンことルイジ・モンテフィオリ。東京の友人は「アルゴ」を見ていたら、ワタシのことを思い出したそうなのだが、ワタシはマカロニ仲間の間で、このジョージ・イーストマンにも似ていると言われる。大柄でひげ面、ぬぼーっとしているところが共通項だ。(笑)







題名:アルゴ
原題:ARGO
監督:ベン・アフレック
出演:ベン・アフレック、ブライアン・クランストン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン
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007スカイフォール

2012年12月10日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:12月9日
映画館:バルト11
パンフレット:A4変形版700円。スタッフ・キャストのインタビューが盛りだくさんなうえ、さすがは50周年。過去作品のおさらいページも充実。007のパンフレットはこの辺が毎回、楽しい。

これまでのボンド映画の掟を破りまくった、ある意味、今までで一番の異色作。

原因はなんといってもvillain(悪人)。
今までの007の悪役の目的は、基本的に金とか世界の再構築などだったが、今回はMとMI-6への復讐。これまでMI-6で爆破騒ぎもあったが (ワールド・イズ・ノット・イナフ)、直接の攻撃対象となったのは初めて。これだけでボンドの立ち位置が全然異なってくる。
ハビエル・バルデム扮するアントン・シガー・・・もといシルヴァは物欲とか思想で動いているわけではなく、基本は復讐という執念。行動も計算づくっぽいわりにブチ切れた行動もして、バットマンのジョーカーっぽさがあったりなかったり。

さらには登場も映画がほぼ半分近く進んでから。前半はいつものようなアイテム争奪戦のような話と思わせておいて、彼が登場する後半から全く違う映画になってしまう。
残念なのが、基本的にバルデムが英国本土のしかも人目につかない場所でしか活躍しないってこと。007の悪役は世界を股にかけ、華やかな社交界でイイ顔しなくちゃダメでしょう。

ダニエル・クレイグのボンドも自身の路線をしっかりと走っているのは良いのだが、短く刈り込んだ髪に東欧顔とあっては、英国の諜報員というよりスティーブン・バーコフのオルロフ将軍(オクトパシー)の若かりしころのようだから困ったもんだ。
オープニングにしても、やっていることは、これまで悪人側がボンドを追い詰める時にしでかしてたかのような乱暴さなのだから、これまた困ったもんだ。
さらに、ハビエル・バルデムと初めて対峙するシーンで「ジェームズ」と問いかけられるのだが、違和感がありありで、「イワノフ」とか「セルゲイ」の方がしっくりきそうなのだから、またまた困ったもんだ。

酒を飲んだくれているボンドなんて、ロジャー・ボンドとかピアース・ボンドの時には想像もつかなかったが、まあ、原作では酒大好きな不健康ライフゆえ療養所に放り込まれる(サンダーボール作戦)のだから、あまり違和感はない。酒に限らず、ボンドの生い立ちや私生活に深く触れているのも、本作の異色なところ。(ジェームス・ボンド伝)

「ミッション・インポッシブル」のスパイ組織IMFは、現役に裏切り者はいるわ、OBは犯罪者だわ、上部組織の職員はテロリストと内通しているわで、とにかく組織のあり方に批判を浴びてきたが(誰の?)、これまで内部で鉄の結束を誇ってきたMI-6もとうとう身内が敵となってきた。(過去にも例がある(ダイ・アナザー・デイ)が、基本的にイギリス人は「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」事件から二重スパイ問題にはナーバスなのかも知れない。)

元々同じ組織、同じボスに忠誠を尽くしてきたボンドとシルヴァは同じコインの裏表として描かれ、そのモチーフなのだろう。劇中で小道具として鏡が多用されるのだが、そういった仕掛けって007映画では要らないんじゃないかな。

一方で、ちゃんと旧作への目配せはしていて、新劇場版:Qの「壊さないで返して下さいよ。」の名セリフには嬉しくなるし、アストンマーチン DB5が以前のひみつ兵器を備えているだけではなく、ちゃんと機能させてくれるのだから、これまた嬉しくなってしまう。(ゴールドフィンガー)

シリーズものの基本は「いつも一緒、いつも違う」だと思うのだが、驚愕のラストを含め、ここまで変化があると気持ち的にちょっと複雑。(といっても小説版「007は二度死ぬ」みたいに行方不明になる訳ではないのでご安心を。)一応、クレイグ・ボンドとして、MI-6の顔ぶれも揃い、ボンド映画として一定のスタートラインに立ったような気がするので、次回作に期待したいのだが、やはりソフト路線への方向転換はかなり困難だろうな。






題名:007スカイフォール
原題:SKYFALL
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ジュディ・デンチ、レイフ・ファインズ
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大脱走

2012年12月01日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:11月29日
映画館:シネツイン新天地

劇場で観るの3回目だし、仕事がちょっと立て込んでいるし、上映は1週間だし、12月は気になる映画が目白押しだし、今回はパスかな・・・と思ったものの・・・

いけませんな。もう2度と映画館で観ることが出来ないかも知れないのに、この弱気。

ワタシより上の世代は、師走といえば「大脱走」だったらしい。(本当)「大師走」という言葉もあったという。(ウソ)
まあ、ワタシでさえ何度も年末にTVで見ていた。なぜか年末の雰囲気に「大脱走」は良く合う。

しかも劇場ロビーでは「大脱走」マーチが延々と流れている。テンションはあがる一方。

ドイツの平原を走るジャーマン・グレーのトラックとサイドカーの隊列に「大脱走」マーチがかぶるオープニング・タイトルを観ただけで、もう涙。最後にスティーブ・マックイーンがクーラーに収監される場面まで3時間があっという間。(そりゃ、場面とセリフがそらで言えるくらいだからね。)

どの場面も何回見ても爽快感があり、またどこか力及ばない切なさがある。

さらに、今回、より意識してみると、思った以上にたくみに伏線が張られていたり、キャラクターの性格がさらに明確になったりと新発見もたくさん。

いつも書くけど、今のように毎日があわただしいと、3時間しっかり席に座って、映画に集中できること自体が贅沢になってきた。

ところで、ここ最近、中学生ごろの思い出を頻繁にフラッシュバックするようになっている。これまでそんなことなかったのに。本格的に老いてきたのかな?






題名:大脱走
原題:THE GREAT ESCAPE
監督:ジョン・スタージェス
出演:スティーブ・マックイーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームス・コバーン
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バイオ・ハザード5 リトリュビューション

2012年09月25日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
月日:9月20日
映画館:バルト11
パンフレット:B4版700円。映画のOP同様これまでの復習と背景知識となるゲームの解説付き。

シリーズ展開のあまりの乱暴さに、普通ならスルーしてしまう映画「バイオ・ハザード」。ところが監督がポール・W・S・アンダーソン。彼の映画は「ショッピング」と「三銃士」を除いて全部観ており、巨大メカ大好き!のセンスを毎回楽しみにしているのだから、やっぱり見に行かない訳にはいかない。

【以下ネタばれあり】

今回、予告編を観た時、どうやってストーリーをつなげるのかと思いきや、カムチャッカの氷原下にある無神論者のコミュニストの露助どもの赤い赤い旧原潜基地(007のストロンバーグの海底要塞50個分!)がアンブレラ社に買い取られて、そこにアメリカ、モスクワ、東京を模した実験兼セールスプロモーション施設が建設されていたという、映画の舞台すべてを巨大メカにしてしまう素晴らしい!素晴らしい!素晴らしすぎる設定!!

こうなればミラ・ジョヴォヴィッチもストーリーもどうでも良く、その一方でミシェル・ロドリゲスを再登板させるために過去の登場人物のクローン!として動員。あまりのご都合主義と幼稚さに書いているこっちの方が恥ずかしいくらい素晴らしい!(笑)

それにしても、ミシェル・ロドリゲスはいい。最後に消火器でぶん殴られて、睨み返す時のドスの効き方は尋常じゃない。しっかり続編「バイオハザード6」での再登場まで担保。(笑)いつもこんな役ばっかりで安心できるけど、いつまでもこんな体力のいることは続けられない。才能あるのだから、早く次の地平を開拓してほしい。

ゲーム感覚のモスクワ・ステージでは、コミュニストの赤軍アンデッド(ゾンビ)どもが登場。AK-47を撃ち、バイクと車を運転し、RPGを発射しながら、白兵戦を挑んでくる!!もはや、「どこがゾンビやねん!!」と突っ込みたくもなるが、監督の夢が露骨に出ていて実に素晴らしい!(カーチェイスで、田舎者で無教養なイワンどもの装輪装甲車BTRが出たら、もっと素晴らしかったのに。)

前々から、鋼鉄の塊が大好きなポール・W・S・アンダーソン監督の野望はクルスクの戦車戦の映画化(バイオ・ハザード4 アフターライフデス・レース)に違いないと思っている(もちろん、主役はジョボヴィッチのT-34戦車兵)が、それが徐々に現実に向かっているような気がしてならない。いや、今や目指しているのは、クルスクだけでなく、「ヨーロッパの解放」シリーズのリメイクではなかろうか。そうだとしたら、インターナショナル的に素晴らしい!
ウラー!アンダーソン!!いつまでも応援するぞ!!






題名:バイオハザード5 リトリュビューション
原題:Resident Evil V:Retrubution
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ミシェル・ロドリゲス

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ヴェルナー・ヘルツォーク監督特集

2012年09月09日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)


映画館:広島市映像文化ライブラリー

映像文化ライブラリーのおかげで、広島市中にクラウス・キンスキーがにらみを効かせるチラシが置かれているなんて、ある意味、異常事態。(笑)

今回、どの作品もクラウス・キンスキーが登場しており、おそらくキンスキーをスクリーンで見ることが出来るのは最後になりそうだから、何としても4作品とも見たかったのだが、中でも一番見たかった「アギーレ/神の怒り」がある講座と重なってしまい、泣く泣く断念となった。

ノスフェラトゥ
大昔にTVで見たきりで、「ジョナサン・ハーカーくん・・・」というおどろおどろしい吹き替えが特に印象に残っている。ストーリーは「吸血鬼ドラキュラ」をベースにしており、ジョナサンとミナ・ハーカー、ミナ・ハーカーとドラキュラの悲恋の関係に力点が置かれている。

廃墟と化した古城でのロケは雰囲気たっぷりなのだが、むしろドラキュラを運ぶ船を空撮でとらえたり、ペストで徐々に滅びていく町の描写などの方がヘルツォークらしいのかな。(前半後半で描写のトーンが全然、違う。)

フィッツカラルド
これも以前、TVで観ているのだが、あまり印象に残っていない。というより、蒸気船が山を登るシーンがあまりにもインパクトが強すぎて、その他の場面を忘れてしまっていると言う方が適切。

今回改めて、ストーリーを再認識。元々のストーリーの面白さとロケーションが見事に合致していたことに感服した。こんな壮大なロマン、大人の寓話・・・というかホラ話をペルーロケで実現させてしまう監督の力技が素晴らしい。

もちろん、いつもの狂気を炸裂させないキンスキーも魅力的だし、彼の恋人であるクラウディア・カルディナーレとの、大人の恋模様も素敵だ。(彼女が娼館のマダムってところもいい。)
特にラストのキンスキーの笑顔にはこちらまでうれしくなってしまう。

キンスキー 我が最愛の敵
こちらは以前に映画館で観たことがあるのだが、これもあまり記憶に残っていなかった。どのシーンも初めて観るかのようだ。

今回、ヘルツォーク作品、特に「フィッツカラルド」を観た直後にこの作品を観ると全然、印象度が違う。

例えば、キンスキーとヘルツォークの緊張感あふれる殺気だった関係がスクリーン上にも反映されていたことが、よく理解できるし、それ以上に狂っているのが、ヘルツォークが淡々と語る映画の舞台裏だったりする。チェーンソーで足をぶったぎり、妊娠中の妻が死にかけ、インディオから殺人を持ちかけられる!

当初、フィッツカラルド役がジェイソン・ロバーツで、相棒がミック・ジャガーだった訳だが、確かにキャラクターとしてはロバーツの方が近いと思う。キンスキー的なキャラじゃないと思ったが、逆にキンスキーが演じたことでより個性的な映画になったことも確か。ロバーツではここまでインパクトの強い映画にはなっていなかったかも知れない。

マカロニ・ウェスタン関係のインタビューを読むと、キンスキーに関わったスタッフ・キャストには必ず、「キンスキーってどんな人でしたか?」と質問されるのだが、それもそのはずだ。自己偏愛の固まりで自分が注目されていないと大荒れになるのは、いずこの現場でも変わらず、また気の合った人には別人のように接していたのも同様である。(マカロニ・インタビューでも「キンスキー ちょっといい話」が少なからずある。)いずれにしても、10時間がなり続けられるというのは、ある種の天賦の才能だと思うね。

ヘルツォークの話は、正直、まとまりがなく、あっちに行ったり、こっちに行ったりしている感が拭えないのだが、その複雑な心境がそのまんまキンスキーとの関係、もっというならキンスキーそのものを表しているのだろう。天才同士が付き合うのはなかなか大変なのだ。
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裏切りのサーカス

2012年07月28日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:7月21日
映画館:シネツイン新天地
パンフレット:B5版700円。

20年ほど前、今にして思えば冷戦が晩年を迎えた頃、原作「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」は晩秋の課題図書だったように思う。

でも、正直、あまり面白かった覚えがない。派手な場面やどんでん返しがある訳ではなく、主人公にも感情移入しにくかった。同じル・カレでも「寒い国から帰ったスパイ」の方が好きだった。

冷戦が終結し、「無神論者のコミュニストの露助ども」というフレーズを口走ること自体がギャグになる2012年、何を思ったかの映画化である。舞台設定からして現代風アレンジのしようがない分、「永遠の古典文学、遂に映像化」みたいな響きがある。(笑)

冷戦を知らない若い世代むけに、簡単にストーリーを説明しておくと、1960年代のロンドン、英国諜報部、通称サーカス上層部の中にソ連に通じる二重スパイ、俗称もぐらの存在が秘かに報告される。英国政府はそのもぐら探しを故あって引退中の老スパイ、スマイリーに依頼するが、
複数の事件が複雑に絡み合い・・・というお話。

映画公開にあわせて、原作小説を再読してみたが、自分が年を取った分、面白いと感じることができるようになっていた。組織内の権力争いや愛情関係のもつれなどヒューマン・ファクターが実感できるようになったからだと思う。

映画も小説も時間軸を解体しているので、
ウィッチクラフト作戦の発足→もぐらの存在の疑惑→ハンガリーでの作戦失敗→コントロールの失脚とスマイリーの辞職→ジム・プリドーの就職→リッキー・ターの報告→内部調査の開始・・・という一連の流れがわかっている方が理解しやすい。

ここにスマイリーとアンの不仲、カーラの尋問、サーカスのクリスマスパーティーといったエピソードも挿入されるし、映画の語り口も説明過多でなく、くどくもないので、原作を先読みしておくほうがベスト。

しかし、複雑に入り組んだ原作を映画的にうまく、まとめていると思う。原作で少しだけ触れられ、映画では重要なパートになったクリスマス・パーティーもキャラクターの関係性を説明するうえで効果的だ。

配役的にはみんな原作小説通りに見える。オッサンくさい顔ぶれがものすごく魅力的。「ワールド・オブ・ライズ」のカッコよさからうって変わって見た目冴えないマーク・ストロングも魅力的だし、セリフがほとんどないキアラン・ハインズも好きな俳優だ。そんな中、ひとり違和感があるのが、実はゲイリー・オールドマン。原作を読み返すと、他のキャラクターはたいがい、俳優の顔と一致する(特にコントロールとパーシー・アレリン)のだが、スマイリーだけはかなり違う。

ワタシにとって、一番イメージに近いのはいしいひさいちが4コママンガで描くスマイリー。もぐら探しに掃除婦のおばちゃんを大量に雇用し、ほこりだらけの保管文書の中から「二重スパイ フィルビー」と書かれた文書を発見する。(笑)

逆にゲイリー・オールドマンといえば、シド・ヴィシャスの頃から知っている訳だから、違和感があるのはまあ仕方がない。(笑)

あと、魅力的なのが画面作り。暗く陰鬱で絶えず頭痛に悩まされるような原作の空気感を醸し出している。サーカスの事務所も今までのスパイ映画とは一線を画している。

ブタペストやイスタンブールでもロケしており、それはそれで信じられないような思いなのだが、ワールドワイドな割に全体にこじんまりしているのは、いささか残念。演出とはいえ、ニューデリーの尋問は見たかったよな。

映画の性格上、年配の夫婦づれが多かった映画館、いたるところで「難しい」「わからない」との声が聞こえたが、せっかく面白い映画なので、このまま続編「スクールボーイ閣下」と「スマイリーと仲間たち」も映画化してほしい。ワタシも原作を読むから。(実はまだ読んでいない。)







題名:裏切りのサーカス
原題:Tinker,Tailor,Soldier,Spy
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、ジョン・ハート、トビー・ジョーンズ、マーク・ストロング

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コーマン帝国

2012年07月04日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:7月1日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:A4版800円。ページの半分以上がロジャー・コーマン関連映画480本のフィルモグラフィーという水増し感が何ともロジャー・コーマン。(笑)

開幕早々、ロジャー・コーマン映画の予告編。チープな映像にキズだらけの画面を見ていると、少年時代に返ったようで何だか落ち着く。(笑)

語弊があるにせよ、一番分かりやすいフレーズ「B級映画の帝王」ロジャー・コーマンのドキュメンタリー映画で、本人をはじめ、ジャック・ニコルソンを筆頭に彼と映画作りをしてきた多くの映画人のインタビューで構成される。

ロジャー・コーマンの伝記と言えば20年前に出た「私はいかにしてハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか」(早川書房刊)であり、ワタシも映画本としてもビジネス書としても何度も読み返してきた。仕事で写真や動画を撮影する時、基本的な心構えはこの本から教えてもらったといっても過言ではない。(本当)

映画の方もこの本を読んでいる方がかなり理解が深まるし、まあ映画の方も半分くらいは本のおさらい(特に「The Intruder」のくだり)だ。(笑)

実際に当事者の口から話されると説得力もあるんだが、本では語られなかった笑えるエピソードをもっと欲しかったし、逆に「子連れ狼」に感動したというエピソードは聞きたかったところ。

コーマンの過去のTVインタビューなども取り上げられるが、一部、フランス語字幕のものがあり、ヨーロッパでも高く評価されていることが興味深い。

それら過去のインタビューで「スターウォーズ」などハイバジェットの映画を批判して、「芸術じゃない」と一刀両断にしているが、彼自身、結局はどんな映画か撮りたかったのか、ちょっと不明。先の自伝を読んでいても、彼の本質が時々見えなくなる。

関係者のインタビューの中では、やはり愛憎を込めてノリノリで話すジャック・ニコルソンが一番おもしろい。いつもの早口により拍車がかかるマーティン・スコセッシもいいし、お決まりのディック・ミラーも飄々とした感じ。ジョー・ダンテは悪ふざけが好きな永遠のオタク少年だ。(笑)

向こうの映画製作者はみんなアートが好きみたいで、事務所にはなかなかセンスのいい作品が置かれている。中でも、ロジャー・コーマンの弟、ジーン・コーマンのオフィスに舟越桂の作品があったのには、ビックリ。

映画のクライマックスはアカデミー特別功労賞受賞の場面。何というグッド・タイミング。最後に記念撮影をする場面でピーター・ボグダノヴィッチ、ジョナサン・デミ、ロン・ハワード、アラン・アーカッシュ、そしてジョー・ダンテら、本筋の教え子たちが師匠ロジャー・コーマンを囲むシーンには本当に涙もの。ここでは本筋ではないクエンティン・タランティーノなんて、邪魔に見えてしまう。

ところで、東京では「デスレース2000年」ほかの上映もあったそうで、広島でもフィルム・マラソンで4作品上映してほしかったところです。






題名:コーマン帝国
原題:CORMAN'S WORLD:EXPLOIT OF A HOLLYWOOD REBEL
監督:アレックス・ステイプルトン
出演:ロジャー・コーマン、ジーン・コーマン、ジュリー・コーマン、ジャック・ニコルソン、ロバート・デ・ニーロ、パム・グリア

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MIB3

2012年06月19日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:6月18日
映画館:八丁座

MIBは1・2ともに観ているのだが、どちらかと言えば視界外の映画。ウチの奥さんにも「MIB3?お金の無駄」と一蹴されてしまったのだが、最近、俳優の顔で映画を選ぶなら、一人はミヒャエル・ファスベンダー、そしてもう一人がジョシュ・ブローリン。

おまけに舞台は現代からタイムスリップして1969年。ワタシが生まれた年で、ベトナム戦争まっさかり、公民権運動が吹き荒れ、なんといってアポロ11号が打ち上げられ、「鷲は舞い降りた」年というだけで、ワタシの琴線をくすぐってしまう。

ストーリーはいつものMIB節というか、宇宙の壮大なストーリーをちょい難解なセリフで説明してしまい、あとはユル~く進行する。

ネタとして1969年とのカルチャーギャップを持ってきており、出てくるエイリアンも当時の映画っぽく、巨大頭が中心だし、金魚鉢ヘルメットにメタルスーツの宇宙人とかメタルナ・ミュータントとか「惑星アドベンチャー」の火星人兵士らしい連中がいるあたりうれしくなってしまう。

この辺、監督がジョー・ダンテだったら、もっと小ネタ満載の趣味に暴走してしまい、ワタシのような観客はともかく一般客は遠くに置き去りにしてしまうのだろうが、そこはソネンフェルド監督。クスッと笑わせて終わり。上品すぎるわい!

いよいよ物語はニューヨークからケープ・カナベラルへ。1969年の巨大なアイツを舞台に繰り広げられる最後の対決には別の意味で興奮してしまう。

ラストにはそれまで張りまくっていた伏線が明かされ、時代を超えた恋愛とか出会い、そして再会モノに弱いワタシは涙目になってしまった。

そういえば、アポロ11号が月面着陸した時、2月生まれのワタシはちょうどハイハイしていたころ。両親にしてみたら、思い出深いんだろうな。父親はその後も何となく宇宙モノに関心が高かったあたり、思うところがあったのかも知れない。そんなことを考えると、より涙目になったりしてね。

ところで、ウチの奥さんから「お金の無駄」と言われたが、そこはワタシも意識していて、ポイントカードの無料券で行ったってあたりが、貧乏性。






題名:MIB3 メン・イン・ブラック3
原題:MIB3 Men in Black 3
監督:バリー・ソネンフェルド
出演:ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ、ジョシュ・ブローリン

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