日時:2月10日
映画館:サロンシネマ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/3e/0163b136b7a0d7a54487d6a7c35ac705.jpg)
20代の若者だったドナルド・トランプが辣腕弁護士の教えを受け、不動産王に成るさまを描いた映画。
タイトルの「アプレンティス」は見習いの意で、トランプがホストをしていたリアリティショーのタイトルも「アプレンティス」だったと後で知った。
昨年の選挙期間中に公開され、トランプから公開差し止めの請求があったそうだが、まあ、この表現・描写だと言いたくもなるわ(笑)
さて、その辣腕弁護士の名前がロイ・コーン。聞き覚えがあると思ったら、なかなか尖ったドラマシリーズ「グッド・ファイト」に「ロイ・コーンの薫陶」ってエピソードがあった。「グッド・ファイト」自体、シリーズを通してトランプ批判をしていたが、まさか返り咲くことになるとは思わなかったな。
ストーリーは典型的な「魔法使いと弟子」もの。
父親の経営する不動産会社の副社長で実質下働きするトランプは、1950年に「アカでコミュニスト」のスパイだったローゼンバーグ夫妻を死刑台に送り込んだことを豪語する辣腕弁護士ロイ・コーンに見いだされる。コーンはトランプに成功する3箇条として「1 攻撃、攻撃、攻撃」「2 間違いを指摘されたら全否定せよ」「3 決して敗北を認めるな」と教え、トランプはそれを実践し不動産王への道を歩みだす。さらにコーンはトランプを成功させるために脅迫を交えた剛腕を発揮し、トランプもその手法を学んでいく・・・
70年代後半から80年代前半を舞台にしており、アーカイブ映像を交えながら当時のどん底から金ピカ時代に移っていく様子がよく伝わってくる。画面もVHSビデオによるざらつき感を再現していて、ものすごく懐かしい(笑)
80年代に入りトランプが成功をおさめていく一方で、コーンは病に侵され往年の辣腕ぶりを失っていく。トランプはそんなコーンを徐々に見捨てていく。
トランプを演じるのはセバスチャン・スタン。顔も何となく似ているが、徐々に今よく見かける不敵な笑いや唇の動きなどを出してくる。オスカーの主演男優賞ノミネートもなるほど。
そのカウンターパートであるロイ・コーンを演じるのはジェレミー・ストロング。自分が信じるアメリカを守るためには手段を問わず、嫌味な狼みたいな無表情さが印象的だが、「マネーショート」とか「モリーズ・ゲーム」、「デトロイト」「ゼロ・ダーク・サーティ」といった険しい顔のキャラだらけの映画によく出てる。
前半の狼ぶりと後半の病身で見捨てられる悲しい男の演じ分けが見事でオスカー助演男優賞もむべなるかな。スタンの主演男優賞は難しいかもしれないが、狂犬キャラがウケやすい助演男優賞は彼が取るかも知れない。
ただ、ストロングは見た目ちょっと若いのが難で、コーン自身ローゼンバーク夫妻事件に関わっていたのがいくつだったんだとずっと気になってしまった。コーンとトランプが知り合った1970年代後半は50歳前後、亡くなったのは59歳。ローゼンバーク夫妻事件の時はなんと23歳で検察官だったようだ。ちなみにストロングは映画撮影時は40代中盤。
映画はトランプの政界進出の前に終わるが、それまでの生きざまがそのまま引き継がれているということが見て取れる演出となっている。
一人の男の内面の変化として、なかなか考えさせられるし、今の一面的な報道では分からない人間像が透けて見える。
思った以上に面白かったので、評価は
★★★★☆
ところで、劇中「人間には2種類ある」とマカロニウエスタンの名ゼリフが登場。さらによく考えたら映画全体が師弟ものでその中で3箇条の教えが用いられるなんて「怒りの荒野」のまんま。ラストはトランプの目元アップ。
アリ・アバッシ監督もマカロニ・ウエスタンファン?(笑)
映画館:サロンシネマ
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20代の若者だったドナルド・トランプが辣腕弁護士の教えを受け、不動産王に成るさまを描いた映画。
タイトルの「アプレンティス」は見習いの意で、トランプがホストをしていたリアリティショーのタイトルも「アプレンティス」だったと後で知った。
昨年の選挙期間中に公開され、トランプから公開差し止めの請求があったそうだが、まあ、この表現・描写だと言いたくもなるわ(笑)
さて、その辣腕弁護士の名前がロイ・コーン。聞き覚えがあると思ったら、なかなか尖ったドラマシリーズ「グッド・ファイト」に「ロイ・コーンの薫陶」ってエピソードがあった。「グッド・ファイト」自体、シリーズを通してトランプ批判をしていたが、まさか返り咲くことになるとは思わなかったな。
ストーリーは典型的な「魔法使いと弟子」もの。
父親の経営する不動産会社の副社長で実質下働きするトランプは、1950年に「アカでコミュニスト」のスパイだったローゼンバーグ夫妻を死刑台に送り込んだことを豪語する辣腕弁護士ロイ・コーンに見いだされる。コーンはトランプに成功する3箇条として「1 攻撃、攻撃、攻撃」「2 間違いを指摘されたら全否定せよ」「3 決して敗北を認めるな」と教え、トランプはそれを実践し不動産王への道を歩みだす。さらにコーンはトランプを成功させるために脅迫を交えた剛腕を発揮し、トランプもその手法を学んでいく・・・
70年代後半から80年代前半を舞台にしており、アーカイブ映像を交えながら当時のどん底から金ピカ時代に移っていく様子がよく伝わってくる。画面もVHSビデオによるざらつき感を再現していて、ものすごく懐かしい(笑)
80年代に入りトランプが成功をおさめていく一方で、コーンは病に侵され往年の辣腕ぶりを失っていく。トランプはそんなコーンを徐々に見捨てていく。
トランプを演じるのはセバスチャン・スタン。顔も何となく似ているが、徐々に今よく見かける不敵な笑いや唇の動きなどを出してくる。オスカーの主演男優賞ノミネートもなるほど。
そのカウンターパートであるロイ・コーンを演じるのはジェレミー・ストロング。自分が信じるアメリカを守るためには手段を問わず、嫌味な狼みたいな無表情さが印象的だが、「マネーショート」とか「モリーズ・ゲーム」、「デトロイト」「ゼロ・ダーク・サーティ」といった険しい顔のキャラだらけの映画によく出てる。
前半の狼ぶりと後半の病身で見捨てられる悲しい男の演じ分けが見事でオスカー助演男優賞もむべなるかな。スタンの主演男優賞は難しいかもしれないが、狂犬キャラがウケやすい助演男優賞は彼が取るかも知れない。
ただ、ストロングは見た目ちょっと若いのが難で、コーン自身ローゼンバーク夫妻事件に関わっていたのがいくつだったんだとずっと気になってしまった。コーンとトランプが知り合った1970年代後半は50歳前後、亡くなったのは59歳。ローゼンバーク夫妻事件の時はなんと23歳で検察官だったようだ。ちなみにストロングは映画撮影時は40代中盤。
映画はトランプの政界進出の前に終わるが、それまでの生きざまがそのまま引き継がれているということが見て取れる演出となっている。
一人の男の内面の変化として、なかなか考えさせられるし、今の一面的な報道では分からない人間像が透けて見える。
思った以上に面白かったので、評価は
★★★★☆
ところで、劇中「人間には2種類ある」とマカロニウエスタンの名ゼリフが登場。さらによく考えたら映画全体が師弟ものでその中で3箇条の教えが用いられるなんて「怒りの荒野」のまんま。ラストはトランプの目元アップ。
アリ・アバッシ監督もマカロニ・ウエスタンファン?(笑)
題名:アプレンティス/ドナルド・トランプの創り方 原題:The Apprentice 監督:アリ・アバッシ 出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング |
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