kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

2024年ベスト映画

2024年12月29日 | 年間ベスト3

前回の投稿が4月・・・気が付けば8か月も投稿をさぼってました。(投稿後、反省して追記してます)
とはいえ、今年の締めくくりは忘れずに。

まずベスト映画
「夕陽のガンマン」
ドル3部作のうち、唯一劇場で観ることができていなかった「夕陽のガンマン」が遂にリバイバル!!
思い残すことはない!!と思ってたら、広島は公開劇場無しという情無用の事態に。
直近の出雲市のシネコンまで車飛ばしていったのはいい思い出です。(道中の安芸高田市ではちょうど2つの勢力がぶつかり合うマカロニシチュエーションだった:笑)
さらに出雲で素晴らしい出会いもあり、映画もさることながら思い出深い。
余談:結局、広島でも公開されドル3部作をちゃんと観れましたとさ。

「アンブッシュ」
事前パブからは想定できないイエメン内戦におけるUAE軍の死闘を描いた戦争映画。オシュコシュの装甲車が大活躍と被弾し、装輪装甲車大好き人間にはごちそうのような映画。
ただ、それだけではなく、ムスリム対ムスリムという構図の戦争映画はあまり劇場で見ることができないので、そういった点でも貴重。赤新月の救急車やイスラムの死者への祈りなど、考えさせられることも多い。

「Perfect Days」
仕事に実直で、日々真面目に生きる、マニアックな職人気質の人。
というキャラ設定が身近な人すぎて、創作上の人物とは思えなかった。
年末大掃除の時にスマホでBGV代わりに流しておくととても効果的と発見(笑)

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ
アレクサンダー・ペインとポール・ジアマッティのゴールデンコンビ映画。相変わらずキャラ設定が秀逸で、ハラハラさせられながらも心地よい。
雪景色やファッションも素敵。

「シビル・ウォー/アメリカ最後の日」
公開前からずっと気になっていたアメリカ内戦ロードムービー。賛否両論あったが、ワタシが大好きな世界線の映画。アマプラ配信も素早く、すでに2回も視聴。

「悪魔と夜ふかし」
広島での公開がちょっと遅れたが、70年代のテレビトークショーを舞台にしたオカルトホラー映画。(ハリウッドではなく、実はオーストラリア映画)
撮影、ファッション、美術、セット、展開と70年代らしさを醸し出しつつ、現代の映画的な予測不能なクライマックスに持っていく技巧が心地よかった。

他にも「コヴェナント/約束の脱出」「マッドマックス:フュリオサ」「エイリアン/ロムルス」「ソナチネ」「二度目のはなればなれ」なども良かった。

その一方、ガッカリ映画が多かったのも今年の特徴。
「ドライブアウェイ・ガールズ」
コーエン兄弟のコメディは面白いと思った試しがない。

「アーガイル」
面白い顔ぶれに面白いセンスなのだが、今は乗れなかった。

「落下の解剖学」
予想してた映画と違った。

「バティモン5」
前作「レ・ミゼラブル」が良かっただけに、同じテーマでこの仕上がりは弱い。

「デッドプール&ウルヴァリン」
ストーリーが無理くりすぎる。

来年も面白い映画に出会えますように
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デリリウム

2024年11月10日 | ★☆☆☆☆

キングレコードの上映イベント「ホラー秘宝まつり」、こちら広島でも序破急の一部過激勢力の尽力でギリギリの日程とは言え上映実施。
今回のラインナップで唯一ジャロ映画(イタリア製猟奇サスペンス映画)の「デリリウム」を鑑賞することに。

舞台はロンドン。太もも露わな女性を狙う連続殺人事件が発生。事件に協力する犯罪心理学者に容疑がかかる。彼にはサディスティックな欲求に苛まれる性癖があり、美人妻は夜ごとの悪夢に悩まされる。この家の若い女性家政婦は妻と同性愛関係にあるようで、さらに近所に住む主人公のいとこ(女性)も妻に愛情を抱いている。
それぞれのエロティックな思惑を背景に、殺人事件は続く・・・

と言葉にするとなかなかのサスペンスっぽいのだが、それがストーリー展開と描写に全く反映されていない。
うわっ滑りなセリフと雑多な冗長なシーンのコラージュで、何が起こっているのか理解するにはそれなりの映画経験と想像力を必要とするのは間違いない。

舞台はロンドンなのだが、建物とか背景とか完全にローマ。ロンドンである必要性は全く語られない。殺人事件現場で登場するのはマカロニ映画ファンおなじみのモンテ・ジェラート水辺公園。カステラッリの「地獄のバスターズ」で裸のナチ女兵士がMP40を乱射することで有名になったあそこだ。ちなみに先日観たフランコ・ネロの「ヒッチハイク」でも使われて、コリンヌ・クレリーがヌードになってた。
さらに背景に崩れかけた三角形の尖塔がちらりと見える場面も。ひょっとしてカベスタジオの近くなのだろうか。

OPクレジットではなんとキャストの中にマカロニウエスタンの主題歌でおなじみのラオールの名前が!
結局最後までどの役か分からなかったが、エンドクレジットではマカロニ主題曲ばりのラオールの熱唱が!
鑑賞後、調べてみたら刑事役という結構重要な役どころ。(ただし、事件解決には全く役立たず。)一体、どんな経緯でこんなキャスティングになったんだ!?

何かとレア体験な映画ではあったものの、まあよほどのことがないともう観ないかな。
ということで、評価は
★★☆☆☆






題名:デリリウム
原題:Delirio caldo
監督:レナート・ポルセッリ
出演:ミッキー・ハージテイ、リタ・カルデロニ、ラオール

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シビル・ウォー/アメリカ最後の日

2024年10月06日 | 年間ベスト3
日時:10月4日
映画館:イオンシネマ広島



オーストラリア在住の知人が「面白かった」とアップしてて、早く観たかったワタシの好きなディストピア映画。配信にもならず、劇場公開されて一安心。

現代のアメリカ、大統領は3期目に突入し、カリフォルニアとテキサスを中心とした西部勢力が現政権に反旗を翻している。フロリダも一大連合を結成しており、アメリカは内戦(シビル・ウォー)状態に。
自国民に空爆も辞さない大統領の独占インタビューを取るべく、ニューヨークに滞在していたジャーナリスト達がワシントンDCを目指す。

【以下、ネタばれあり】
予告編ではクライマックスにあたるドンパチが中心の構成となっているが、実は映画の4分の3くらいまで派手なドンパチは起こらず、ニューヨークからワシントンDCを目指すジャーナリスト4人のロードムービーとなる。
ニューヨークからワシントンDCまで最短距離は激戦地だったり交通封鎖だったりで、大きく迂回することになり、途中、内戦の惨い現状を目の当たりにする。

内戦を巡る政情はほとんど描かれることがなく、西部勢力の盟主が誰かとか、全米の戦局とか不明のままで、その辺はより観たかった反面、まあ描き出すときりがないし、どこかでリアリティが消失してしまいそうだから、ここは好意的に受入れよう。

ジャーナリスト4人はワシントンDCに至るまでに様々な暴力的な連中に出会うが、それが進撃を続ける西部勢力の兵士なのか、守勢の現政権の兵士なのか、ボランティアやミリシアの民兵なのか、ただ軍服をまとった過激な集団なのか、ほとんどわからない。
誰とも分からない連中が銃を持って、殺し合っているって、銃社会アメリカの写し絵なんだろうな。

どうにかこうにかワシントンDCにたどり着くと、現地は第二次世界大戦のベルリン攻防戦状態。遂に西部勢力はホワイトハウス攻略に取り掛かる。よくできたセットでの市街戦がなかなか盛り上げてくれる。ジャーナリストの皆さん、ヘルメット被ってください。

主演の報道カメラマンはキルステン・ダンスト。昔からヒロイン顔立ちとは思わなかったが、遂に顔立ちと年齢のバランスが合致した役どころにたどり着いたって感じで、存在感が際立っている。

インタビューを取りたいジャーナリストはワグネル・モウラ。ヒゲで分からなかったが、ブラジルの暴力ポリス映画「エリート・スクワッド」の隊長だった人。事前に分かっていたら、大暴れすることに期待してたところなのだが、報道と個人的感情の狭間に揺れ動く。

ここに相乗りするのが「エイリアン/ロムルス」のヒロイン、ケイリー・スピーニーの報道カメラマン志望。もちろん内戦のど真ん中に放り込まれて、サディスティックな仕打ちを受け、ゲロまで吐く羽目に。(ゲロ・プロフェッショナルのワタシから見てもよく出来ている。)155センチと小柄で奮闘するから、応援したくなる。

あと、ノンクレジットでジェシー・プレモンズが出演。これがなかなか強烈な役どころで、素晴らしい。

アメリカの行政や軍機構としていきなりこんな内戦になるとは思えないが、リアルな描き方で明日にも起こりそうな空気感の醸し出し方が素晴らしいので、
評価は
★★★★☆

ところで、近未来ではなく、明日ディストピア映画が大好きなワタシとしては引き続いて「トゥモロー・ワールド」を観たのでした。すでに人類には子供が生まれなくなっており、2027年の世界はテロと暴動と抑圧が蔓延する世界となっております。
3年後の世界がそうなっていないと誰が言える。






題名:シビル・ウォー/アメリカ最後の日
原題:CIVIL WAR
監督:アレックス・ガーランド
出演:キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、ケイリー・スピーニー、ジェシー・プレモンズ

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エイリアン:ロムルス

2024年09月23日 | ★★★★☆
日時:9月6日
映画館:イオンシネマ広島

エイリアンシリーズの中では、実はマカロニウエスタン・テイストにあふれ、悪そうな面構えが満載だった「エイリアン4」がお気に入り。もちろん「1」は古典として好きで、逆にエイリアンクィーンという邪道なコンセプトを持ち込んだ「2」などは全然評価していない。

さて、本作は「1」の正統派な続編。
「1」の事件から十数年、ウェイランド・ユタニ社はノストロモ号の残骸からゼモノーフを回収する。
さて、舞台は変わってジャクソン鉱山惑星で過酷な労働を強いられるレインは、新天地の惑星への移住を夢見ていた。そんな時、友人から惑星軌道上に漂流する宇宙ステーションの存在を知らされ、宇宙ステーションから移住に使えそうな人工冬眠ポッドのサルベージを持ちかけられる。
この宇宙ステーションこそ、先に回収されたゼモノーフを持ち込んで実験していた「ロムルス」「ロムス」だった。
当然、そんなことを知らない一行に恐怖が襲い掛かる。

本作、上手だなと思うのが脚本の組み立て方。キャラクターの設定や動機付けだけでなく、「1」や「2」のエッセンスを巧みに盛り込み、時として「ブレードランナー」との連関性も感じさせつつ、ストーリーに厚みを与えている。ウェイランド・ユタニ社の真の思惑も描かれるし、何と言っても驚くべきはあのキャラクターの再登場。
普通ならこじつけともとられかねないのだが、劇中のキャラクター設定と齟齬なく、ビジュアル的にもなじんでいるところが素晴らしいの一言。

観客としてはエイリアンの生態が既知の情報なので、そこで盛り上がらないのはちょっと残念なところで、できれば「1」のノベライゼーションで語られた生きた人間をエイリアンの卵に変質させてしまうという設定は復活させてほしかった。映画的に分かりにくいんだと思うんだけどね。
エンディングがいつもの展開になってしまっているが、そこは映画だから仕方ないところか。そろそろ公開されそうな配信動画シリーズの内容が気になるところ。

ストーリーの面白さを評価して、
★★★★☆

ところで(以下ネタばれアリ)
再登場するキャラクターはイアン・ホルムのアッシュ(型人造人間)なのだが、最初、デジタルでの再現かと思っていたら、「ロード・オブ・ザ・リング」でのダミーヘッドデータを使った、アニマトロニクスによるリアルな造形だったという。妙に生々しく、デジタル技術もここまで進化したのかと思ってたが、実演と知ってなんだか嬉しくなった。
遺族も再登場に喜んでいたというエピソードがさらに嬉しくなる。






題名:エイリアン/ロムルス
原題:Alien:Romulus
監督:フェデ・アルバレス
出演:ケイリー・スピーニー、デイビッド・ヨンソン
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ポライト・ソサイエティ

2024年08月29日 | ★★★☆☆
日時:8月26日
映画館:サロンシネマ

ロンドン在住のインド系姉妹、姉は美大に進学するも自分の才能に限界を感じて挫折、女子高に通う妹はスタントウーマンを目指して、日々、訓練と動画自撮りに余念がない。
そんな中、姉はとあるご縁からパキスタン系富豪に見初められて付き合い始め、結婚に向かってまっしぐら。夢を捨てる姉を憂う妹は彼氏の不審な行動に気付き、結婚阻止に向けてあれやこれやと画策する・・・

空手を習い、アクションとカンフー大好きガール(部屋には「アイアンフィスト」とかブルースリーの出ていた方の「グリーンホーネット」とか「グリーンディスティニー」とちょっとマイナー路線映画のポスター)の無軌道行動が、「キル・ビル」とか初期のガイ・リッチー作品みたいに賑やかな映像と音楽テンコ盛りで描かれる。

「ヴァージン連合」と揶揄される女子高仲間とギャーギャー騒ぎながら、彼氏を陥れようとする様はなかなか楽し気で、こちらもワクワクしてくる。もちろん、やっていることは完全に犯罪。

最後は予告編にもあるように姉救出のため、結婚式にカチコミをかける。サリー姿で跳んだり跳ねたりする様は見事にきれいだし、女子高の友達も巻き込んだスラップスティックな集団戦はもっと見せてほしい。最近、個々のアクションが光る集団戦ってスクリーンに登場しないからね。
なのだが、パブリシティや予告編で多くを見せすぎて、出オチになってしまっているのが残念。また、彼氏の悪人ぶりがうまく描かれておらず、中盤のドタバタ劇とのつながりがよろしくない。

また、イギリス資本の映画なので、アクションとかダンスシーンが本家のインド映画に比べるとかなり薄味。時間も半分くらい。本家でこの上映時間だったら、まだ彼氏すら登場していない。

諸々いいところもあるだけに喰い足りない部分が余計に気になってしまう。もったいない。

ということで、評価は
★★★☆☆

ところで、スタントウーマンに憧れる女の子が主人公なもんだから、帰ったら早速、コロナ禍中にやけくそ気味に上映されたドキュメンタリー映画「スタントウーマン」をアマプラ再見したよ。






題名:ポライト・ソサイエティ
原題:Polite Society
監督:ニダ・マンズール
出演:プリヤ・カンサラ、リトゥ・アリヤ
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フォール・ガイ

2024年08月18日 | ★★★★☆
日時:8月17日
映画館:イオンシネマ広島

バカバカしさが最高に良かった「ブレット・トレイン」のデビッド・リーチ監督の新作で、90年代のTVシリーズ「俺たち賞金稼ぎ!フォールガイ」を原作とした作品。
TVシリーズの方はリー・メジャースが主役で、スタントマンが本業の主人公たちが、副業で賞金稼ぎをしているというプロットまでは知っているのだが、実際のシリーズは見たことがない。

ワタシは映画製作の裏方で活躍するプロの話が大好きで、メイキング・ドキュメンタリとか大好きだし、USJがオープンしたころにあった映画製作の裏側みたいなアトラクションにはちょっと涙した。
なので、スタントマンが主人公の本作もちょっと期待していたのだが、まずオープニングで本物のスタントマンの活躍ぶりがショートクリップで紹介される。文字通り体を張ってアクションする映像に感動してしまう。

ジャッキー・チェンの映画はともかく、70年代のポリスアクションものの気の狂ったような(某イタリアでは違法な)カーチェイスが大好きなだけに、最近のCGに頼ったアクション映画の自殺行為とも言うべきまやかし映像には辟易してた。スクリーンでリアルスタントがたっぷり見られるだけでもうれしい。

主人公のライアン・ゴズリングはスタントマンだが、撮影中のある事故をきっかけに2年間、仕事から離れていた。そんな時、敏腕女プロデューサーから新作映画への参画を依頼され、オーストラリアに。新作映画の監督はカメラ助手時代に付き合っていたエミリー・ブラントだった。
まず、オープニングの事故が1シーン1カットで描かれる。しかもガラス窓を通り抜けて、エレベーター移動付き。1シーン1カット演出も好きなので、ここでも嬉しくなってしまう。
その後、オーストラリアの撮影現場に移るが、「地獄の黙示録」並みの大混乱で、エミリー・ブラントがコッポラに見えてくる。ここでも1シーン1カットが使われ、製作スタッフが進行確認で右往左往するさなか、後ろで爆発シーンのテストがバンバン進む混乱っぷりは「続・夕陽のガンマン」の橋誤爆事件を思わせる。

それからゴズリングとエミリー・ブラントの恋のさや当て合戦と再燃があり、その一方で行方不明となった主役俳優の捜索任務が入る。
2人の恋愛模様は少しかったるく、話のテンポを落としているきらいもあるが、厄介な男に翻弄される役が定番のエミリー・ブラントが美人なので許そう。
まあ、スタントを見せるのが映画の主旨なので、ストーリーはどうでも良い(笑)

その分、スタントアクションシーンは当然力が入っているので、見ていてワクワクしてくる。スタントを担当するのは「87 EAST プロダクション」。ジョン・ウィックシリーズを手掛けた彼らかと思っていたら、あちらのチームは「87 eleven」だった。ややこしい。

元々映画好きをターゲットにしたような映画なので、作品中にも色々な映画のタイトルやセリフが引用される。ここもお楽しみの1つ。ちなみに宇宙ラブストーリー版「真昼の決闘」と説明される劇中作のタイトルは「METAL STORM(メタルストーム)」。80年代同名のB級SF映画があり、日本でも公開されました。ワタシも観ました。どうでもいいことだけど。

スタントマンへの愛情に満ちたアクション盛りだくさんのラストを迎え、映画はハッピーエンド。たぶんエンドクレジットで、実際に撮影現場のビハインドシーンを流すんだろうなと思っていたら、やはりその通りの映像が流れてますます嬉しくなってしまう。

「ブレット・トレイン」を観た時に「年に一度はこういったバカ映画は必要」と書いたけど、まさにその名に恥じない良い映画。二日酔いの日に観てたら、たぶん感動で泣いてた。

なので、
評価は★★★★☆

ところで、【以下ネタバレあり】
エンドクレジットの途中にまだストーリーの続きがあり、なんとそこにご本家リー・メジャースが登場!
「Aチーム ザ・ムービー」の時にも同趣向があったけど、予想すらしてなかった。
さらにリー・メジャース自身、日本ではどちらかといえばマイナーな存在なので、この登場にウケていたのはたぶん劇場でワタシひとり(笑)






題名:フォールガイ
原題:Fall Guy
監督:デビッド・リーチ
出演:ライアン・ゴズリング、エイミー・ブラント
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ

2024年06月30日 | 年間ベスト3
日時:6月30日
映画館:イオンシネマ西風新都

「ダメオッサンの心の旅路と再生」を一貫して描くアレクサンダー・ペイン。彼の作品はほとんど観ているのだが、その最新作が本作「ホールドオーバーズ」。

まずオープニング、ユニバーサルピクチャーズのロゴが流れるが、これが70年代~80年代に使われていたもの。続いて、レイティングの画面になるが、これも同時期の画像で、さらに製作会社のロゴも70年代風。
これでこの映画が70年代を描いたものだろうと一目でわかる。「アルゴ」でも使われた手法だが、その後のオープニングタイトルも70年代風でなかなか懐かしい。

舞台はアメリカの寄宿学校、バートン校。主人公はここの歴史教師ハナムで、その堅物な姿勢と高学歴なイヤミな物言いで生徒のみならず校長や同僚教師からも煙たがられている。演じるのはペイン作品でも一番大好きな「サイドウェイ」でも主役だったポール・ジアマッティ。ハマリ役すぎて一分の隙もない。

クリスマスを含めた2週間の年末休暇にほとんどの学生は自宅やバカンス先に帰るが、家庭の事情ほかで数名の学生が寄宿学校に残ることになっており、ハナムは若干懲戒的意味合いも込めて、学校に残った学生の監督教員を命じられる。
校内施設のほとんどが休止する中、食事係として残るのは料理長の黒人女性メアリー。彼女の息子も同校出身だったが、先日ベトナムで戦死したばかりだった。
ハナムは休暇中でも規則正しい生活と勉学、運動を学生たちに強い、学生たちはギスギスしてくるのだが、そのうち、ひとりの学生アンガスを除き、全員休暇に出ることになる。
アンガスは頭のいい学生だが、その反抗的な態度と人付き合いの下手から退学寸前となっていた。
ハナム、アンガス、メアリー3人の共同休暇生活が始まるが、それぞれに人生に深い悩みを抱えていて、徐々にそのことがお互いに分かってくる。

とまあ、王道のペイン映画のような展開。それぞれの生きづらさを他人との交流を通して少しずつ前向きになっていく。もちろん、その過程で何かしらの代償を払わなくてはならない悲しさもペイン映画なところ。

なのだが、実は本作の脚本はこれまでの作品とは違い、ペイン監督本人ではなく、デビッド・ヘミングソンの手になるもの。
確かに主人公のハナムだけでなく、アンガスやメアリーといった助演の物語の深さも印象的だ。

メアリーを演じたダヴァイン・ジョイ・ランドルフはオスカーを受賞したし、若き日のベンディクト・カンバーバッチを思わせるアンガス役の新人ドミニク・セッサも忘れられないインパクトを残す。

他にハナムに好意を寄せる女性を演じるのはキャリー・プレストン。笑顔が印象的で「グッドワイフ」「グッドファイト」で演じた個性的な弁護士エルズベス・タシオリを主人公にしたスピンオフシリーズ「エルズベス」が早く日本でも観られるようになってほしいところ。

脚本がペインでないとは言え、途中からロードムービーとなったり、酒に対するこだわりがあったり、先の読めなくて泣き笑いな展開があったりとペインっぽさがいたるところにみられる。主人公ハナムも「サイドウェイ」の主人公の20年後の姿にも見える。

70年代雰囲気の再現も良くて、懐かしい良作映画を観ているような気分にさせられる。もっとも70年代にこの映画があったら、もっと不幸なオチになっているような気もするが(笑)

どの登場人物も受け入れがたいところはあるが、随所随所で感情移入できて、身近で愛おしく感じる。

ということで
評価は★★★★★。
歴史好きな方、特に古代史好きはぜひご覧あれ。






題名:ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
原題:Holdovers
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ポール・ジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサ

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マッド・マックス:フュリオサ

2024年06月09日 | ★★★★★
日時:6月8日
映画館:イオンシネマ広島


前作「マッドマックス/怒りのデスロード」で主役の一人だった女闘士フュリオサの前日譚。
荒廃した土地で一大帝国を築いていたイモータン・ジョーから健康な若い女性たちを救出しようとした彼女がどのように成長したかが、160分(!)にわたって描かれる。

前作での結末が分かっているだけに話が盛り上がるのかと一抹の不安もあったが、結果的に脚本の巧みさもあって、傑作に仕上がっている。
戦争や資源危機、感染症の拡大など様々な災厄の結果、荒廃したオーストラリア(マッドマックスシリーズで舞台がオーストラリアと明言されたのは初めてかも知れない。)のど真ん中で仲間と一緒に生き延びていた幼いフュリオサは、同地でバイカー集団を率いる無法者ディメンタスに誘拐される。

クリス・ヘムズワースが演じるディメンタス、分かりやすい外見で、残虐非道なふるまいをする一方、妙にこざかしくセコいところもあったりで、過去の悪役とはキャラ造形で一線を画しているあたりがうまい。

ディメンタスはもう一つの勢力であるイモータン・ジョーの支配地を手中に収めんと目論んでいる。フュリオサはディメンタス一味に拉致されるものの、いろいろあってイモータン・ジョーの帝国に紛れ込み、汚らしいみなりでメカニックとして成長を遂げる。

と、巧みな語り口でストーリーが展開し、飽きることがない。前作でも登場した巨大タンクローリー「ウォー・マシン」が再登場し大暴れ。しかも「マッドマックス2」同様のMACK社製!このトラックに限らず、いろんな場面で過去作のオマージュ的シーンが出てくるのは嬉しい。

さらに「デスロード」に続く登場人物が出てきて様々な仕掛けがなされ、脚本がよく練られていることが見て取れる。
ギミック満載の巨大トレーラーが砂漠で爆走し、無法者どもの襲撃を受け、一大カーチェイスになるのはシリーズのお決まり。前作での巨大シーソー棒での襲撃も斬新だったが、今回もそう来るか!と嬉しくなるような襲撃方法も出てくるし、巨大重機との対決も出てくる。アクション監督は天才だな。

さらに上手なのが、【以下ネタバレあり】
シリーズものによくある「結局、同じ展開」とはしていない点。某スペースオペラとか某タイムスリップサイボーグものなど、ラストはほぼ毎回同じ展開で飽きてしまうのだが、本作は前作とはまた違ったテイストのラストを持ってくる。

クリス・ヘムズワースのキャラもいいが、アニャ・テイラー・ジョイのフュリオサも素晴らしい。ほぼ顔は汚れたままだし、坊主頭にもなれば、腕もちぎられる。それらすべてを飲み込んで威圧するかのような目ぢからが印象的だ。間違いなく彼女の代表作になるだろう。

ということで
評価は★★★★★。

ところで副題がMAD MAX SAGAとなっているが、今後もシリーズは続くんだろうか。なかなかキツいハードさだぜ。






題名:マッド・マックス:フュリオサ
原題:FURIOSA:MAD MAX SAGA
監督:ジョージ・ミラー
出演:アニャ・テイラー・ジョイ、クリス・ヘムズワース

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夕陽のガンマン

2024年04月21日 | ★★★★★
日時:4月11日
映画館:Tジョイ出雲





1965年に日本公開された「荒野の用心棒」を皮切りに一世を風靡したイタリア製西部劇「マカロニウエスタン」。

小学校の頃から戦争映画や西部劇が好きで、本格的にマカロニウエスタン好きとなったのは高校生になってから。その頃はすでに劇場でマカロニウエスタンを観ることはできず、テレビ放送(特に京都テレビと奈良テレビ)が唯一の視聴源だった。

時は流れ1990年代に入ってからマカロニウエスタンの再評価が始まり、何本かの作品が劇場でリバイバル公開されるようになった。広島に越してきていたワタシは、横川シネマの前身だった広島ステーションシネマで「ミスター・ノーボディ」「殺しが静かにやってくる」「J&Sさすらいの逃亡者」を観たのが劇場マカロニ初体験だったはずだ。

余談だが、一昨年、横川シネマで「殺しが静かにやってくる」が上映された時、当時から支配人だった溝口支配人に25年ぶりの再上映に謝意を伝えられたのはマカロニちょっといい話だ。(ちょっと違う)

1990年代後半からもマカロニのリバイバル上映は数年ごとに続き、「続・夕陽のガンマン」「怒りの荒野」「続・荒野の用心棒」「ガンマン大連合」「豹/ジャガー」と主要な作品は劇場で観ることができたし、長年の権利問題が解決して「荒野の用心棒」も朝十時の映画祭にかかり、「ウエスタン」こと「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ウエスト」もシネコンで上映される世の中となった。
劇場で未見の作品として心残りなのは、マカロニウエスタンの代表作にして大傑作、そしてマカロニウエスタン中一番好きな「夕陽のガンマン」だけとなった。

そして、遂にドル三部作として「荒野の用心棒」「続・夕陽のガンマン」とともに「夕陽のガンマン」が劇場上映されるとのニュースが入ったのが昨年。その時は劇場未定だったが、劇場公開日は早々にスケジュールしておいた。
なのだが、公開予定劇場が公表されるとその中に広島が1館も入っていない!そんなバカな話があるかー!

直近の劇場でも出雲市。ということで片道3時間かけて「夕陽のガンマン」を観に行くことになったのである。(3時間もあれば国内マカロニの聖地名古屋でさえ行けるぞ。)

ストーリーはマカロニウエスタンの王道で、クリント・イーストウッドとリー・バン・クリーフの賞金稼ぎが悪党一味を追うものだが何十回見ても面白いし、演出も画面作りも音楽も主役と悪党の顔ぶれもすべてがカッコよさと魅力にあふれている。
バリバリにカッコいいメインタイトルが大スクリーンに流れるだけで血沸き肉躍り、涙が出そうになるし、ゴミひとつない綺麗な画面に大迫力の音響で展開される緊迫感に満ちた物語と撃ち合いは言うまでもなく最高!

何十回も観てきたのに、今になってイーストウッドがいつの間に悪党どもの死体を馬車に積んでいたのか気になったりしたし、最後の決闘が終わって余韻に浸る場面で、イーストウッドの後ろに赤子を抱いた女性が写り込むという無駄な新発見もあって楽しい!
あっという間の2時間。やっぱりマカロニウエスタンはいい!!

ということで、評価はもちろん
★★★★★

「荒野の用心棒」と「続・夕陽のガンマン」の今回の上映も何とかして観たいところだ。
もはや、あと劇場で観たい作品といえば「史上最大の作戦」ぐらいなもんである。

ところで、行きも帰りも当然、車中ではずっとマカロニウエスタンを口ずさんでいたし、途中通る町も町の有力者同士が派閥争いしている物騒な町に見えてくるってもんだ。






題名:夕陽のガンマン
原題:Per Qualche Dollaro in Piu / For a few dollars more
監督:セルジオ・レオーネ
出演:クリント・イーストウッド、リー・バン・クリーフ、ジャン・マリア・ボロンテ
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オッペンハイマー

2024年04月11日 | ★★★★★
日時:4月5日
映画館:八丁座
パンフレット:A4 1,200円情報いっぱい



昨年の全米公開時からいろいろと話題になり、アカデミー賞受賞でさらに注目が高まった本作。広島では大学生向けの試写会が開催されたり、劇場公開時にはBBCが取材に来るほど。
ワタシの方は3時間の上映時間や年度末年度初めの慌ただしさもあり、1週間遅れでの鑑賞となった。

いきなり結論から言えば、見ごたえのある作品であり、クリストファー・ノーランがよく取り上げる「人間の善と悪」「贖罪」が全面に打ち出された作品だと思った。
オッペンハイマーは傑出した科学者であり、また有能なプロジェクト・マネージャーとして原爆製造の責任者を任され、ナチスを壊滅させるために原爆製造にまい進する。しかし、原爆完成前にナチスが崩壊。国家プロジェクトの行く末も見据えながら原爆を実用化させ、終戦とともに一躍時の人となるが、やがて冷戦と政治に翻弄されていく。

さて、あの論点だが、劇中、広島長崎の惨状は描かれることもなければ、記録写真・映像も画面には出てこない。被爆の実情から目をそらしているという指摘もある。
オッペンハイマーは核兵器を開発したことへの自責の念に苛まれるのだが、それは「世界を滅亡させる核の時代を開いたことに対して」として描かれている。
劇中「1度核兵器を爆発させたら、大気中の核分裂の連鎖反応が途切れなく繰り返されて地球が燃え尽きる」説が何度も言及され、その破滅が理論上の可能性であった連鎖反応ではなく、核兵器の開発と保有国による相互破壊として現実になったことに焦点が当てられ物語が進む。
なので描写への批判も当然のこととはいえ、広島長崎の惨状を真正面から取り上げていたら、映画の論点がぼやけたものになったのではないかと思う。
また、クリストファー・ノーランは映像へのこだわりが異常なので、自分が撮っていない記録写真・映像を使う気は最初からなかったのかも知れない。(←邪推)

以前、フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー映画「ミサイル」を観た時、基地のスタッフがミサイルの発射ボタンを押すことを逡巡しないようにシステマチックに構築された理論と教育に打ち勝つのはなかなか大変だと思ったことがある。
それぞれの歴史観についても同じことが言えると感じた。
自身の日々の仕事を顧みて、やっている仕事が長期的には社会や地球の将来に悪影響を及ぼすのかも知れないと自問することがある。さすがに兵器を作っているという自覚はないが、オッペンハイマーと議論した科学者が発する「物理学300年の英知の到達点が大量破壊兵器なのか」というセリフには涙する。

映画後半ではかっての組合活動や共産主義者との付き合いなどから、赤狩り真っ只中の政府委員会で吊るし上げられ、公職から追放されていく様が描かれる。そのプロセスの恐怖は公正ではない社会になっていくことへの危機感の表れではないか。
マンハッタン計画を描いた映画は過去にもあり、オッペンハイマーをデビッド・ストラザーン、グローブス将軍をポール・ニューマンが演じた映画をうっすらと覚えている。(後で調べたら、前者は「デイワン/最終兵器の覚醒」、後者は「シャドウメーカー」という別の映画だった。)

今回、オッペンハイマーを演じたのは、悪人顔のキリアン・マーフィー。その顔立ちからエキセントリックな役どころが多いが、彼がいたから成立した映画とさえ言えるくらいのハマリ役。
妻役のエミリー・ブラントやグローブス将軍のマット・デイモンなどキャスティングもオールスター映画を思わせる顔ぶれなのだが、ほとんど見せ場がない。
むしろ魅力的に描かれるのは物語として悪人側にいる人間で、映画後半をかっさらうロバート・ダウニーJrのオスカーもさもありなん。他にもエドワード・テラーやロッブ検事、トルーマン大統領(1シーンだが演じるのはチャーチル首相も演じたゲイリー・オールドマン)も強い印象を残す。「バットマン」シリーズ同様、そういった人物描写もノーラン的だ。
時代背景を知っているとはいえ、時の流れが複雑に交錯した映画なので登場人物の心理の変化も意識してもう一度観たいし、大きな問題提起という

評価は★★★★★。

さて、期せずして米のホームコメディ「ヤング・シェルドン」を観ていたら、1984年のテキサスで天才少年が「共産主義を支持する」とインタビューに答え、街中から危険視されるというエピソードだった。笑い話にしているとは言え、アメリカの共産主義恐怖症はなかなか根深い。







題名:オッペンハイマー
原題:OPPENHEIMER
監督:クリストファー・ノーラン
出演:キリアン・マーフィー、ロバート・ダウニーJr、エミリー・ブラント、マット・デイモン
コメント
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