前世の罪

■カケラ■

ある日　夢を見た。

いずれかの前世において　私が犯した罪。
他人を不具の体にしてしまった・・夢。

貧乏人を差別し　それに見合った扱いをしている時代の中　私はいた。
貧乏人は虫けら同然　その生命でさえまた同じ。
その時代の集団意識に　私は自分の心を委ね　流されていた。

－ 貧乏人　こういう扱いを受けるのが当り前 －
それが常識　それがその時代の価値観。

小さな子供の体は　大きな木製の車で傷付けられた。
重い車輪で押し潰され　ボキボキと音を立てて砕ける骨。
そんな行為を楽しげな顔で行っている　その時代に生きる私。

－ 貧乏人　こういう扱いを受けるのが当り前 －
それが常識　それがその時代の価値観。

小さな子供を守ろうと　その生命を胸に抱き　立ちはだかった老人さえも
躊躇なしに容赦なく　轢いて行く　その時代の私の価値観。　　

夢遊病者の私の心が入り乱れる。
私は　何をしているのだろう・・？
私は　何て事をしてしまったのだろう・・！

その時代の私の価値観は　生命を平気で殺せる　正当な凶器。