戸惑いながらも、非日常と何とか上手く折り合いをつけて、
日常を取り戻そうと試行錯誤していた、
・・・それが関東に住む私のこの1カ月。ホンネで言えば。
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(林郁子さんのロートン織の着物に、仁平幸春さんの帯)
先週末は、私の“ダンディズムの師” 山本達彦 with モンジューの春のライブだった。
(どうしようかな)
どこを探しても生活感のかけらすら見つからないスタイルは
正直、今の世相に寄り添うとは言いにくい。
でも、ライブ友 Mrs.bordeauxさんの
-ストレス溜まっているから、踊りたいです-の言葉に、
それもそうだと、思い直す。
会場近くの青山エムズタワー内、ル・パティシエTAKAGIで「久しぶり!」
震災当日のこと、その後のこと、お互いいろいろ、話すことはたくさんあった。
それらがひと段落して・・・
「ね、今日はどんな曲演るかなあ?」
「私ね、 春の宵~ がいいな!」 「そうね、でも5月の歌だし」
「・・・海の入った歌は、演らないかな・・・」
あまり自粛ムードになるのもねぇ、と口にしかけて、
そう思う自分が不謹慎なのでは、と胸に閉じ込めた。
足元はここずっと、カレンブロッソのカフェ草履。
やっぱり“万一”が怖いのだ。
会場はほぼ満席だったけれど、クリスマス時ほどの混雑ではない。
私たちは“美のオーラの泉”のお姉様方の邪魔にならぬよう、
後ろに人がいない、カウンター前の隅っこに。
揺れを警戒してか、いつもある(という)ステージ上の季節の花はなく、
安定感のある小さな、白系のブーケが後方にあるだけだった。
「たいへんなことが起こってしまって、不安な中過ごしていると思うけれど・・・(中略)
でもそんな中、来てくれたのだから、ここにいる間は、楽しんで」
オープニングに2曲、いずれもマイナー(短調)でタイトルに含みのある
Come back me と 夢より苦しく を歌った後の一声には、
必要以上の重さも気負いもなく、
無遠慮な表現だが、育ちの良さからくるスマートさ、politeさを感じた。
プログラムも、海の歌を避けるでもなく、ただしもっとデリケートな基準で
選曲しているように感じられた。
-恋の極みに辿りつけない・・・想い出に囚われるからさ-
-喉を反らしルージュを濡らす・・・暴いてやれよレンズの向こう-
その多くは、今の世相とはかけ離れた、シネマチックな世界の歌だが、
予想に反して、それらがとても心地良かったのだ。
張り詰めた非日常Aを、別の非日常Bがいっとき、洗い流すかのように。
15か16歳のころ発表され「達彦さんて、イヤラシイ歌うたってるよね」と
↓ クラスみんな“ひいた”記憶が。あれから約30年、未だこの世界に追いつけず。
原曲はやや跳ねたブルースですが、ライブでは
ジャズ・バラードのピアノソロで、これはすっごくカッコよかった!
全曲、ピアノソロまたはモンジューさんのアコースティックをバックにし、
感覚的には8割近くがボサ・ノヴァ、他にレゲエやブギー、スイングもあり、
春らしい温もりと軽やかさに満ちた、一体感のあるサウンドだった。
これはモンジューさんの音楽を知らないと、なかなか伝わらないと思うけど・・・。
ダブルアンコール、最後のピアノ・バラードで
-今は何もかも信じられず、新しく始まる何かに怯えてるけど
傷ついた分優しくなれる かけがえのない今が導く
夜が終わるよ-
ふわっと現実に戻されたが、・・・ここは一体、日常なのか、非日常なのか。
※Mrs.bordeauxさんのブログはコチラ。
そうか! カフェ草履は「踊るため」に履いていたんだっけ!
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