神奈川絵美の「えみごのみ」

染織のトレンド

(前回の続き)
三越で、着物友のRさんとばったり会った日……

私、顔がまんまるに撮れていますが

本館7Fでの「日本伝統工芸染織展」を観に行った。
(会期は5月13日まで)

この日は染織家の研究会があったそうで、
作家さんがたくさんお見えになっており、
恐れ多くも、生駒暉夫さんと大高美由紀さんに
声をかけていただいた。
生駒先生の個展、しばらくご無沙汰してしまっているので
またお伺いしたいなあ……。


さて、会場ではちょうど、北村武資さんによる寸評が始まったところで、
私は大高美由紀さんと一緒に後ろの方で聴いていた。
(なお、大高さんは藍色の紬。「残糸で織ったの」という
薄いラベンダーベースにピンクや茜色などのウォームで
かすれたような格子が優しい紬の帯を締めていらっしゃいました。)

以下は、北村さんのお話を記憶の範囲で。
でも、あまり覚えていません……途中、大高さんとおしゃべりしちゃったりして。
なので、ところどころ大高さんのコメントも入っています。

-----------------


日本経済新聞社賞「花の小箱」紬織着物 上原晴子さん

赤と緑という補色関係にある2色を、白を効果的に入れて違和感なく配しているのが
いい……というようなコメントでした。
補色なら、紫と黄色も可愛いかな、なんて想像してみたり。


「花明り」紬織着物 佐藤常子さん

これも白の効果について。いろいろな色が使われているが間に必ず白が入っているところが良い、
とのことだそうです。


「虹の橋」紬織帯 佐々木苑子さん

左端のこの太さに色を入れているのがいい、というのと、配色を褒めていたような…
お太鼓上部の、明るい黄色がアクセントになっていますよね。

大高さん「今年は特に、明るい色の作品が多いように思います。以前は紺や濃いグレーが
結構あったけれど、今年は少ない」


「山気」生絹着物 土屋順紀さん

緑と黄色は本来個性的な強い色だが、草木染めでやさしい発色。グレーをうまく配して
よくなじんでいる、とおっしゃっていました。
生絹(すずし)の説明も。


「雪の川」紬織着物 中林康江さん

縦縞もあって、横にも縞(というかライン)が入る場合、それぞれの太さ、長さのバランスを
とるのは難しい。着物は上品でなくてはいけないと思っているが、その点でどうか……
と、やや辛口でした。


「新風」友禅 森口邦彦さん

今の季節にぴったりの緑。蒔絵の技法も活かされていて素晴らしいです、と
敬意のこもった口調でした。


森口さんはご自身のスタイルが確立されているのでともかくとしても
大高さん「友禅は年々、柄が“抽象化”されているものが受け入れられやすく
なっているみたい」とご感想。

北村武資さんご自身の作品は

写真映りがまったくよくなくてすみません…
「まがき(竹冠に離)格子」青緑地透文羅

化学染料だが、やはり季節を重視してこの色にしたとのこと。
モチーフは正倉院におさめられている布の、端の方で織りが乱れている部分をヒントに…
というようなことをおっしゃっていたような。
他の人は着尺、とか帯、とか、絵羽、とか、「形になっているもの」としての出品だが
自分は「布」として出品し、後からコート地にしようか、別のものにしようか、
みなさまの反応も見て考える、とも。


他にも、福田喜重さん、鈴田滋人さん、中野真由さん等の作品に触れていました。
うろ覚えで頼りにならないレポですが、何かの参考になれば幸いです。

コメント一覧

神奈川絵美
れいうささんへ
こちらにもコメントをありがとうございます
個人の好み、大いにあると思います
でも、大高さんのおっしゃっていたことは
会場全体を見ると、なるほどなあーと。
明るい色好きの私には、心地よい空間でした。

築城さんの帯をお持ちとは、いいなああ。
ぜひぜひ、締めてみられるといいのでは…。
新たな魅力発見!になるかも知れませんよ。
れいうさ
北村さんの寸評には「なるほど~」と思う部分が多いのですが、
トレンドというか、個人の好みの問題?といった部分もあるのでしょうかね…
築城さんの小倉織、綿素材ですが名古屋帯を持っています。
ファブリックから作ったのでお値打ちだったのですが、
あのシャープでシンプルな縞縞が全然私っぽくないような気がして、
まだ締めたことがありません
神奈川絵美
Tomokoさんへ
こんにちは
もう、堂々と「5月から単衣」宣言しても(いや、宣言しなくても当然のように着ちゃって)いい時代ですよね(笑)。
築城則子さんの縞には、静かな大人の主張が
ありますよね。一目ではっとさせられます。
ふふ、私も美術館やコンサートで着物姿の方を見かけると、つい目で追ってしまいます~
神奈川絵美
風子さんへ
こんにちは
大高美由紀さん、ふんわりしていてとてもお話しやすい方ですよね。一度しかお会いしたことがなかったのに、声をかけていただけて光栄です(拙ブログもよく見てくださっているようで)。

そうなんです。このほかに藍の絵羽と着尺の作品もありましたが、全体的に色が明るいんですよね。
明るい色調の作品に、クオリティや創作性の高いものが多かったということなのでしょうか。
Tomoko
こんのちは。
もう立夏をすぎましたし単衣が快適な季節ですよねえ~。
バラの帯、明るくてハートフルで
締めてて気分よさそうだなあ~(笑)って拝見しています。
バルテュス展にも数人お着物でいらした方々がおられましたが
中にお一人、薄暗い会場でも目を引く縞の帯・・・
うわ!素敵だなあ~小倉縞かな?と思ったら着手は築城則子さん。ああ、どうりで。
一瞬バルテュスよりもそちらに吸い寄せられそうになりました。笑
ふうこ
こんにちは。
ほんと、白っぽい透明感のある作品が多いですね。
ここれは選ぶヒトの目なのかしら、それとも、今の
社会の全体の雰囲気をあらわしているのかしら。
などと 思いました。

大高さんとご一緒になんて 羨ましいですぅ。
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