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染色家 佐藤節子先生主催の気軽なお出かけの会
「蜻蛉倶楽部」。
今回は、原宿の千疋屋でランチ後、浮世絵のコレクションに定評のある
太田記念美術館へ。
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この日はちょうど、学芸員さんのレクチャーがあったので、
その要約を覚書も兼ねて、記しておきたいと思います。
この展示は図録がないため、テキストのみで面白みがありませんが
ご了承ください。
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可愛いという言葉は昨今、若者中心に支持を得ている
流行のキーワード。
原宿という土地柄もあり、今回、この美術館でも
「江戸の可愛い」をテーマに展示を企画した。
浮世絵は、ご存知の通り「若い女性の風俗」をあらわしている
作品が多い。
それでは、江戸時代における「可愛い」とは何だろう?
実は、「可愛い」という言葉は江戸時代にすでに存在していた。
でもそれは
・情を寄せる異性を指す
・子どもを可愛がるという意味で使う
のであり、今の「可愛い」の使われ方とはちょっと違う。
見た目が可愛いという意味で使われていたのは……
もっともニュアンスが近いのは
「かはゆらし」。
愛らしいとか、やわらかいといった意味があったそう。
(当時のメイク本
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面長の顔にはきっぱりしたメイクを、丸顔には“かはゆらし”メイクをといった
記述があるそうです)
この後、遊女と芸者の浮世絵における、当時「可愛い」と
されたファッションを紹介。
遊女は……
櫛が複数さしてあるとか、簪も前と後ろからあり
髪型はつぶし島田という、頭頂部がやや平らなシルエット。
帯は前結びが多く、
一番外側に着る着物は、吉原などでは「仕掛け」と呼び、
とりわけ華やかなものが多かったそう。
芸者は……
気の利いた着こなし、粋であることが良しとされた。
例えば歌川国貞の「深川新富士」という作品では
芸者の着物が、蝙蝠柄。
これは七代目市川団十郎の柄、として当時大流行したもの。
また、蜘蛛の糸が張り巡らされ、蝶をからめとっているという
一見ぎょっとする着物も。(縁起ものという説明だったかな)
メモにはないのですが、オランダとの交易の影響を思わせる
お太鼓にエンジェルが入った帯の芸者(推定)の浮世絵が
印象的でした。
なお、浮世絵に描かれる女性は、豪華な着物を着ていても
裸足であることが多々あるのですが、
それが忠実な描写なのか、絵としての脚色なのかは、
はっきりしていないそうです。
……というワケで、
私には新鮮な情報がたくさんありましたが、
着物好きには割とポピュラーな内容だったかも。
そして、佐藤先生が展示を観ながら私に一言。
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この時代は、私や神奈川さんみたいな丸顔は
もてはやされなかったのねぇ」
着物の重ね方がキレイとか、半衿が可愛いとか、
言い合っている中でおもむろに。
そんな先生こそ、可愛いなあ。
※太田記念美術館「江戸ッ娘 ‐Kawaiiの系譜」サイトはコチラ。
ここに蝙蝠柄の着物の絵が載っています。