今からもう8年前、2007年のことだった。
私が初めて、取材に着物を着て行った日。
同行の編集者に、事前に
「大丈夫でしょうか」とお伺いを立てたところ
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明快な返事で、私の背中を押してくれた。
その彼が、今年の年賀状に
「僕も、着付けを習い始めました」
と、書いてきたのでビックリ。
彼はもともと、中堅の編集プロダクションの社員で、
私と知り合ってほどなくフリーになり、
互いに仕事を紹介しあったり、一緒にしてきた間柄。
かれこれ13、4年の付き合いになるが、
和のバックグラウンドがあるようには見えなかったし、
確かに、たまに会うと「着物、いいですね」とか「僕も着たいな」とは
言っていたけれど、
ここまで、着物に思い入れがあったとは。
ここ1年近くは、仕事で一緒になることがなく、
数日前、久しぶりにメールしてみたら
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順調に、着物デビューへの道を歩んでいるようだ。
今、考えてみれば
-日本の正装ですから、まったく問題ない-と即答した時点で、
着物を相当リスペクトしている、と思うべきだったのかも。
あのとき、本当に嬉しかった。
もし、それはちょっと…と言葉を濁されたら、
私はその後ずっと、着物を取材時に着ていくことに
踏み切れなかったり、
着たとしても、遠慮や後ろめたさを伴っていたかも知れない。
世の中には、
着物好きを自認していながら、他人のことになると
「着物は基本、礼装なんだから、そんなところに着て行っちゃダメ!」とか
「下手な着付けなら、むしろ洋服の方がいい」とか
人の容姿をあげつらって、着物似合わないんじゃない? などと
陰で日向で、足を引っ張る人もいるというのに。
2007年、その取材当日の私の着姿なんて、こんなもんだ。
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今なら自分で自分に、「それはちょっと…」と言ってしまうかも
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彼からのメールはこう締めくくられていた。
ほのぼの、じんわり。
今は、別々の案件を持ち、会う機会はないけれど、
一人でも、これから満開を迎える桜を観に、出かけて欲しいなあ。
※そのときの記事「理解があるから」(2007年5月)はコチラ。