とても長いです。ご興味のあるパートをどうぞ)
今年の重陽の節句は9月9日。
私のささやかなこだわりの一つに、
重陽の節句を過ぎたら、明らかに透ける着物は着ない、
というのがある。
絽も、麻もおしまい。
ここから秋分の日までは、夏素材だけど透け感のほとんどない着物と
通常の更衣である単衣を、気温に合わせてやりくりするのが
毎年のこと。
だからこそ。

何しろ気温31℃。私は事前に、
持論を「チームきもの」のお二人に伝えたことを後悔した。

お二人とも、忠実に単衣……。
いつの間にか、
こんな暑い日にも、当然のように、きもので集まれるようになった私たち。

お二人の帯周りコレクション

左のBちゃんは、お嬢さんが見立てた一揃い。
緑の江戸小紋に、唐草のような文様の名古屋、琥珀色のモレッティの帯留め。
右のSNさんは、

帯留めは何と自作。お隣さん宅に窯があるそうで。
ちなみに着物は、洋服地。和裁ができる知人に縫ってもらったもの。
割と有名なショップで、同じ生地の帯が販売されていたそう。
「でも、暑いの…。袷でこれより薄地のきものがあったのだけど」
私はといえば

困ったときの秦荘紬。夏ものと単衣が兼用できるおりこうさん。
これに、前日も締めた薔薇帯を、関西巻きで。
比較してみました。

白い薔薇と赤い薔薇、どちらがお好みでしょうか。
今回の小物は、目白のLUNCOさんでいただいたアンティークの帯締めに

「時代布 池田」でいただいた帯揚げを。
私も紫がアクセントになっているかな。
後ろはこんな感じ。髪型の記録も兼ねているため、大きな写真ですみません。

今回のランチは……

sugaharaガラス運営のカフェ「rest」。

器がどれも凝っていて、眺めているだけでも楽しい

隣にショップもあり、機能性もデザイン性もGOODなお品がたくさん。

あまり全身写真を撮るチャンスがないので、
カフェで一枚。
前日、帰宅が遅かったので疲れがにじみ出ていますが……

お店の方、とても親切でした。
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さて、ライブの方は……

今回は、今まで伺った中で
もっとも緊張がびしびし伝わってきたステージでした。
ゴム風船にキューっと空気圧をかけ続けるような。
丁寧さや慎重さは十分に感じられ、音響もとても良かったかと。
また、今回は照明がいつにも増して印象的で
フォレストな感じとか、深い海の感じなど、
曲の持つ抒情を上手く引き立てている演出と思いました。
選曲は、たぶんテンポとの関係もあるのでしょうけれど
重めの、じっと耳を傾ける系のものが多かったような……。
そんな中でも、序盤の「Return to 1974」はとてもライトで
私にはこの時代の歌が想い出深く、歌詞通り“懐かし”かったです。
収録されているアルバム「Poker Face」のジャケットを見て
母が「とっぽい兄ちゃん」とつぶやいたなんて
とっくに忘れてもおかしくないことを、なぜかいつまでも覚えています。
ほかに好印象だったのは
「潮騒」のピアノフレーズが高音メインで、まさに波のリップみたいに
キラキラしていたこと。
歌詞も楽曲も格別に美しい歌だなあと改めて感じ入りました。
また、
スタンダードジャズナンバー「Tea for two」が
バース入りでムーディだったことも記憶に残り。
さらに、
続く「Shadow of your smile」も、とても雰囲気好く…。
sand, hand, star, smileといった、母音アで韻をふむ歌って
良い抜け感があり、あたたかく響いて、とても合っていますね。
後半は速めテンポの4ビートが続き、
ベース戸川さんのランニング大会といった体で、
指が長い人のpizzはカッコいいなあ、と鑑賞モード。
個人的な好みとしては、やはり「Shuffle」はドラムスが入って
シャッフルリズムを刻んでくれた方が、
より気分が出るかなとは思いましたが。。。
オーラスの「夢より苦しく」では
緊張が一気に解けた感があり、
会場の空気を思うままに、ふわっと混ぜたり包んだりするかのような
自由なゆらぎや響きのあるヴォーカルが、とても心地良かったです。
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(すみません、ここから脱線していきます。ジャズに興味のある方はどうぞ)
今回、MCで不覚にもはまってしまったのが、
何気なくおっしゃったと思われる次の一言。
「叔父がジャズ好きで、アート・ブレイキー&ジャズメッセンジャーズとか、
ジョージ・シアリングを聴いていて……」
……。
ジョージ・シアリングといえば


シアリング奏法とは、ごく簡単に言ってしまうと
メロディをオクターブで弾き、その間に和音を詰め込む演奏法。
例えるなら何層も重なったミートパイみたいな、
中身がぎゅっと、弾けばさくっと。

今でこそ、シアリングのアルバムは何枚か
持っているけれど、
私がこの名称を知ったのは、ジャズではなく
80年代に、ジャパニーズフュージョンで旋風を巻き起こした
カシオペアの元キーボーディスト、向谷実氏から。
1979年に発表された「TAKE ME」という曲の
ライナーノーツか何かで、
「今、シアリングに凝っていて、この曲のメインテーマも
シアリング奏法で……」というようなことを語っていて…。
私はこの曲が大好きだったので、この奏法のことも覚えてしまった次第。
動画サイトに、今回のライブでカバーされた「Tea for two」を
シアリング奏法で弾いたものがありました。
ここの、1分20秒~2分40秒あたりまでです。
奏者は、英国でスクール講師をしている人で
器用にも「Tea for two」を頭から順に
1.アート・テイタム (ラグタイムで華やか)
2.ジョージ・シアリング (一人ビッグバンド風)
3.エロル・ガーナー (スローで洒脱な音づくり)
4.オスカー・ピーターソン (弾きまくり)
それぞれのスタイルで弾き分けています。
さすが先生、特徴をつかんでいますね。
そんなこんなで、帰宅後私はすっかり頭の中が
大シアリング祭になってしまい、
真夜中に一人、盛り上がってしまいました。