天候不順で、蒸し暑い日でしたが……

みな、ほんのりと秋。落ち着きのある装い。

左はRさん。ベージュ系の変わり斜め格子の単衣に
緑系の八寸、秋色の帯締めと帯飾り。
右は歌舞伎座の主、Yさん。
こちらも帯といい小物といい、秋にぴったり。

幕の内弁当。野菜の炊き寄せが特に美味。
この日は総勢6人で鑑賞し、
幕間のお食事で、人生の先輩方から旅行のこと、ご趣味のこと、
たくさんお話伺えて、楽しかったです

さて、歌舞伎の方は……
まずは「吉野川」。

(こちらは以前、国立劇場で上演されたときのもの)
川を隔てて背山(男側)、妹山(女側)。
飛鳥時代版「ロミオとジュリエット」なんですが、
川の両岸(実際はとても遠い)から眺めるだけ、という
奥ゆかしすぎる恋。
蘇我入鹿から突き付けられた無謀な要求をのめず
二人とも死んでしまう、という展開なのですが、
こんなことになるなら親同士がもっと仲良くしていれば
良かったのに、とか
何でも命と引き換えに、というのがどうも最近はあまり
美談とも思えなくなってきて、
筋としてはあまり、感情移入できませんでした。
でも、舞台や舞台衣装は美しくて……赤姫とその母、定高との
ツーショットは、おっとりとなめらかなしぐさも含め、うっとりでした。
キッチーさんも男親としての、悲しみや怒りを内に秘めた振る舞いが
品好くもあり、舞台全体、終始しっとりとていねいだったな、と。
あと、久し振りに芝のぶちゃんを観れて、嬉しかった

一転「らくだ」はコントタッチで
久し振りのブラック松緑さん

(まあ、生粋の悪者ではなく、小ずるがしこい江戸町人の役ですが)
弾ける役どころはやっぱり好きだなあ……。
染五郎さんの、口ぶりや振る舞いが変わっていくさまも面白く、
最後に松緑さんがやりこめられる風な展開が実に自然で、
上手いなあ、とつくづく。
そして死体役の亀寿さん……あの脱力具合などは、実は相当に
筋力を使っているのでは……。
ある意味、主役たちより存在感あり、感心しました。
最後は玉さまオンステージ「元禄花見踊」。
これはもう「優雅」「豪華絢爛」の一言で、
玉さまのもとより伸びやかな肢体が、
舞うほどにさらに大きく、美しく。
夢心地になる、というのはこういうことなんだな、と
心が晴れ晴れしました。
夜の部の最後に華やかな踊りの演目って
いい気分で帰宅して、いい気分で眠りにつけて
余韻に浸れて、いいものですね。