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1カ月ほど前から、小筆字の練習をしている。
今のところ、独学で。
何しろメールが普及してから
直筆の手紙を書く機会がめっきり減った私。
もともと筆圧が弱い上、左眼が弱視で焦点が合わないため、
横書きするとどんどん見やすい右へ右へと文字が流れてしまう。
昨年、目上の人にかしこまった手紙を書こうとしたが、
どうにも納得いかず、断念したときこう思った。
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着物着て、筆でサラサラと綺麗な字が書けたら、
カッコいいじゃない-?
もう何年も前になるが、
ある呉服店のご担当はたいへん達筆で、
納めた着物に必ず添えてくださったお礼状が嬉しくて、
今でもずーっと、着物と一緒にしまってある。
一方、ある日一見で入った別の呉服店から、お礼と今後もよろしくという旨
いただいた手紙が、私ですらあきれるほどの悪筆で
その店には二度と行っていない。
それはすなわち、私自身も人にそういう印象を与えかねない、ということで。
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テキストや、達筆な友人の手紙を写したりしていると
パソコンから解放されて、穏やかな時間が流れていくのを感じる。
とめ、はらい、その運びに集中していると気持ちが落ち着き、
無心になれるのだ。
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…という話を、
私のドイツ語の先生 Hr.Steinkopf(仮名。和訳は「石頭氏」)に話したら。
Macht das dir Spass? Na,nicht schlecht.(楽しい? じゃ何より)
その後、ニヤリと笑ってこう続けた。
Kannst du uebrigens KANJI mit dem Pinsel schreiben? ohne PC?
(ところで筆で漢字、書けるの? パソコンなしで)
……痛いところをつかれた……
着物を着て、小筆でサラサラと綺麗な字をしたためても、
(これ漢字でどう書くんだっけ!?)と目の前のパソコンをパチパチ……な姿を
たやすく想像できてしまう自分が、悲しいなあ。
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