神奈川絵美の「えみごのみ」

トルファン、お色直し

この日は、東京都中央区のクリニックへ取材。
まだ少し肌寒いようにも感じたが、
どうしても今年最初のトルファンを着たくて。

合わせたのは佐藤節子さんのタンポポ帯。
藍と黄色はとても相性が良く、柄の勢いもあいまって、
活力が湧いてくるよう。

実はこの、福本潮子さんのきもの、
冬の間に、山本きもの工房さんで「お色直し」をした。
   ↓
   ↓   こんな風に。


もともとは、一般的な単の仕立てと同じように、
白い正絹の居敷当がついていた。
今回変えた点は
 1.居敷当の素材を「綾織」の「綿麻」にしたこと(麻は120番手の細い糸を使用)
 2.1.を、表地とマッチする薄い青に染めたこと
 3.後ろ身頃だけでなく、前身頃とオクミまでつけたこと
 4.下の縁を表地に縫い込んだこと

1.の利点
 正絹よりも沿いが良い。120番手という滅多にない細い麻糸を使っているため、
 しなやかで軽い。
 また、綾織は糸を経緯1:1ではなく、とばして織るため、表面に出る糸が少ない分
 すべりが良い。横に引っ張る力に対して強い。

2.と3.の利点
 袷の八掛と同じで、翻ったときに裏地が見えオシャレ

4.の利点
 裾がもたつかない、万一後ろが少し反り返っても目立ちにくい

確かに格段に「フィット感」が違う。
何しろ薄くて軽く、少ししっかりめのガーゼのように、
手触りの良い生地なのだ。
それなのに、光沢感もあるしすべりも良い。
白い正絹だって、不便ということはなかったけれど、
せっかくの藍の着物。裏地もこだわれば、今まで以上に
愛用したくなる。

1つ欠点があるとすれば
 「綾織は擦れに弱いんです」と山本秀司さん。
ただ、昔と違い毎日着るほどヘビロテでなければ、
まず問題にはならないでしょうとのことだった。

なお、工房では「居敷比翼」という仕立て方も提案している。
上の左の写真でいえば、衿下と裾の一部を表地に縫い込まずに
「ひらひら」させる方法だそうだ。
こうすると、歩くたびにわずかに裏地が見え、よりエレガントに。

これから少しずつ暑くなり、また雨の日も増えてくる。
オンにもオフにも頼りになるトルファンは、
どんな表情を見せてくれるのだろうか。



※山本きもの工房「居敷比翼」についてはこちらをご参照ください。

コメント一覧

神奈川絵美
ルリ子さんへ
こんにちは そうなんですよねー藍の出番。ルリ子さんの綿薩摩も大活躍することでしょう。あのさらさらの手ざわりを、思い出しました!
帯合わせも楽しみの一つですよね
ルリ子
藍の出番です
http://linaruli.weblogs.jp/
絵美様、

さわやかな季節が到来し藍染めが美しく映えるこの頃ですね。 私も綿薩摩を先日着ましたが肌さわりがこの時期心地よいです。

佐藤先生のタンポポ帯、いつみても元気をくれる、すてきな色と文様ですね。

神奈川絵美
amethystさんへ
こんにちは 私も、昔お仕立てしたものはサイズがとても大きくて、着にくいのです・・・

一度、長襦袢の仕立てでも、手持ちのお着物のお直しでも、頼んでみると新たな発見があって楽しいと思いますよ
神奈川絵美
すいれんさんへ
こんにちは 幸せの黄色いハンカチというのもありますしね 好きな色の一つです。

トルファンは、自分のものながら素晴らしい藍染ですよーしかも色落ちしたことないんです。ヘビロテの一枚です
amethyst
仕立方で
すごく着心地がよくなったり
着姿がよくなったりするんですね~
その工夫の一つ一つ読ませていただくと
手持の反物や着物で
なんとなく?なのを思い浮かべました。
こだわりが積みかさねられて
美しい完成形ができているんでしょうね。
う、こちらで頼みたくなります。

それにしても藍の着物にたんぽぽ帯のきれいさ。
5月の入口にぴったりですね。
すいれん
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
藍と黄色は、大好きな組み合わせです。
素敵ですね~、このおきもの。
たんぽぽというのも、元気の象徴のようです。
庭のたんぽぽも、逞しく育ってます。
オーラソーマで黄色は、希望とか幸せの色ですよね。見る人を幸せにしてくれるコ―ディネイトですね。
神奈川絵美
ohaさんへ
こんにちは 見えないオシャレ・・・着心地の良さも含めて、満足感が高くなりますよね。

今、別途小紋をお願いしているご縁もあり、今後もときどき、仕立てのこだわりなどをご紹介できると思います
神奈川絵美
straycatさんへ
こんにちは うふ、もともとはその「反り返り」を何とかしたくて持ち込みました。プラスこの裏地のおかげで、よりグレードアップしたような・・・。

>仕立ててで出来ることって沢山
そうですよね、きちっとしたところにお願いすると、こんなにも気分良く着られるんだと実感しています。
神奈川絵美
Medalogさんへ
こんにちは そうなんです、裏地には勿体無いような生地・・・襦袢になりそうなしなやかさ。
色もいい感じですよね
oha

見えないところのこだわりとおしゃれは贅沢だけど心が満たされます。
胴抜というのはなかなかいいですよね。
比翼も贅沢だけど留袖だけのものではないと思っていました。
別の着物もいつか比翼がついたらご紹介くださいね。
straycat
トルファンちゃん
絵美さんの着物の中でも、一番の垂涎のマト的一着です。
綿とは思えないしなやかさ、艶に本当にビックリしました。重宝するだけでなく、着ていて満足感を自分にも周りにも与えてくれる着物ですね。
以前拝見したときに、裾が反り返るとおしゃってましたが、下の縁を表地に縫い込んだことでそれが改善されたんですね。
仕立ててで出来ることって沢山あるんですね。
私も参考になります。
Medalog
この春は着物を着る機会を逃しているうちに、
絵美さんの着物姿でどんどん季節が移り変わっていくのを
実感させてもらっています。

裏地の工夫、本当に奥が深い!
>120番手という滅多にない細い麻糸
これが居敷当てだなんて贅沢な感じですが、
着心地のよさが伝わってくるようです。
ますますお気に入りの一枚になりますね。
神奈川絵美
セージグリーンさんへ
こんにちは 新緑が爽やかな季節になりましたね。久留米絣に薄緑の帯・・・涼風がさっと抜けていくさまを思い浮かべました

新進気鋭のトップ和裁士ならではのこだわりどころ、とても勉強になります。ひいては、私たちが着物を美しく、かつ大事に着ていくにはどうしたらいいかを考える上でのヒントにもなるなあと思います
セージグリーン
見えない部分こそ、、、
単衣に居敷当てはしていても、なるほど、ここまで細かい配慮があると嬉しくなります。いかにも裾捌きがよさそうですね。
藍に黄とグリーンの彩りは、いかにも新緑の季節に相応しく、相性抜群ですね。私も週末のお出かけは久留米絣の単衣に薄いグリーン地の帯に決めました。
神奈川絵美
Tomokoさんへ
こんにちは 師匠のこういう「こだわり」って、私たちも新たな発見が得られていいですよね。

実質、5月も連休が明けると単も活躍しはじめますし、私もほかの単、出さないと・・・。
Tomoko
ん~~、師匠、なんだかさすがな工夫!!ですね~。
そろそろ藍木綿の活躍する季節になりましたね!
私もぼちぼち木綿の単衣の始動かなあ~。
神奈川絵美
やっぴーさんへ
こんにちは そうなんです、胴抜き風(下前には裏はついてないですが)。

>ウールの下に浴衣を合わせたりとかする
おお!着物の2枚重ねですね。裾に微妙なニュアンスが生まれるんですよね。私は、今回はぱきっとシンプルにしたかったので、縫い込むようお願いしちゃいましたが・・・。
やっぴー
なるほどね
今回のは胴抜きの単衣仕立て風ですね。
トルファンはその柔らかい手触りから
やっぱり居敷当てあった方がいいですもん♪

おっしゃるとおり居敷比翼も面白いかも。
よく寒い時にウールの下に浴衣を合わせたりとかする
そんな感じ (^-^)b
神奈川絵美
風子さんへ
こんにちは 今回はタンポポの花がお太鼓にたくさん出てよかったです(補正のボリュームによっては茎ばかりになってしまうことも

「お色直し」くらいでしたらかなり手軽にできますので、お手持ちのものをちょっと違った気分で着てみたいときのご参考になれば・・・
風子
http://blog.livedoor.jp/fuko346/
こんばんは。

わ、藍と黄色ってだけじゃなくて
このきものの藍と、蒲公英の柄と色の配分が
絶妙できれい!!
拝見する側にも、さわやかさが伝わってきます。

お仕立てのお話、興味深いです。
いろいろ試してみたくなりますが、、、。
時遅く、今はあるものを着まわすことを考え
ています。

こちらでいろいろ拝見できるのを楽しませて
いただきますね。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「着物あれこれ話」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事