神奈川絵美の「えみごのみ」

precious day, precious time その2

(前回の続き)

最寄駅のイタリアンで
楽しいランチの後、染織家 吉田美保子さんのアトリエへ……


寛いだ表情のお二人。
打ち合わせはこんな風に、美保子さんが紙に起こした
デザインなどをもとに行われます。
前帯はこう、お太鼓は…と、実際の帯を想定して
「この模様をあと10㎝ずらして…」とか
  「この模様はあとこのくらい大きくして…」と
パソコンで調整しつつ、出力してイメージを確かめながら
進めていくので、例えお誂えに慣れていないという人でも
わかりやすいんですよ。

サイズだけではなく、色も
例えば一口に青といっても、青緑と水色ではまったく違うので
試し織をたくさんしてくださり
「この色がイメージに近い」とか
  「この色をもう少し薄くして」など、
お誂えする人が意見を言いやすいようにしてくださっています。

使う糸は、なかなか一般の人にはわからないことも多いので、
「ここにはざくっとした“きびそ”を」とか
「ここは精錬された細い糸でさらっと平らに」など、
美保子さんのアイデアをベースに、
イメージをふくらませていきます。
実際の糸も、見せてくださいます。


Sさんの帯、完成が楽しみですね。


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大事な大事な機ごしのツーショット。

私が美保子さんの作品を初めて見たのは、
確か銀座もとじさんだったと思うのですが、
それから間もなく、自由が丘で一衣舎さんの展示会があり、
入口に飾ってあった黄色系のキュートな格子の着物を
見たのがきっかけで
お誂えをお願いしようと思い立ちました。
最初のコンタクトは、確かメールで。美保子さんのHPに。
今から約8年前、アトリエが板橋にあったころ、
真夏のすごく暑い日に、会いに行きました。着物で…

まだ私が着物を着始めて、1~2年のころ……

と話したら

「えーっ!」と美保子さん。

「初めてお会いしたとき、『この人はずっと若いころから
着物をお召しになっているのね』と思っていたんです!」


一方


美保子さんは私のこの着物「シスレーの居る風景」を
創るにあたり、私といろいろディスカッションをして
進めていったプロセスが新鮮だったそうで

「このシスレーがきっかけで、今の『only only』
(美保子さんのお誂えのシリーズ)が生まれたんです」

-こう、話し合っていきながら創っていくのって、
私も楽しかったし、お客さまも楽しんでいただけるんだ、と
いうことがわかって……-

これには私が「えーっ!」


今思えば、オランダのチューリップ畑の写真を送ったり、
坂本龍一のCDを聴いていただいたり、
何だかとっても、無茶なことをお願いしていたような…
若気の至り。お恥ずかしい……


お互い歳を重ねていって、
お互い、それぞれの時をいろんな色で染めていき
人生というタペストリーを織っているのかな。
あのころよりも、お互い
いい顔をしているかしら。


お知らせ
3月10日(木)~12日(土)
玉川屋呉服店さんでの3月の個展として
三才山紬とともに美保子さんの帯も展示されるそうです。
美保子さんの個展というわけではないのですが(本人談)、
かなり大きく取り上げられていて、たぶん見応えあるのではと
思いますので、お時間のある方は良かったら・・・!
玉川屋呉服店内のお知らせページはコチラ

コメント一覧

神奈川絵美
セージグリーンさんへ
こんにちは
わー、鳴門の美術館、行ったことないのですが
魅力的な場所、建物ですよねぇ。
私は、シスレーと言えば「水」のイメージなんですが、
ともあれ後期印象派の繊細な光の反射が織りなす
風景画は心を和ませますよね。
雪の表現はピサロも大好きです

お誂えって、話を進めていくと
いつのまにか自分の手元に自分を映す鏡が
あって、詰まるところ自分について考えを
深めるような一面もありますよね。
セージグリーン
本当に着物のご縁は不思議なものです。
でも、どこかに好みの色、テクスチャー、技法と
条件を整理していくと、行き着くところには行き着くものなのだなぁと、改めて感慨深いものがあります。
絵美様、
吉田さんの「Sky Gray Bumpy」を観てお互いにふっと言葉に出たシスレーの雪景色、実は昨日、
鳴門の大塚国際美術館で再会しましたよ。
神奈川絵美
風子さんへ
こんにちは
ふふ、
知り合ったばかりのころはそうそうフランクに
言えなくても、
今だから、、ってこと、ありますよね

着物に限らないですが、
互いの思いを寄せていくような経験は
相手を尊重することがベースにあるので、
心を豊かに、大人に、してくれると思っています。
風子
こんにちは。
いいですね~ お互いの驚き。
作る人と着る人が こんなふうに繋がっているのが
理想だと思います。

御あつらえでなくても 作り手のお顔がわかるものは
愛着ひとしお。
それが一から、となったらもう どんなに素敵な一枚に
なるだろうと 想像するだけで わくわくします。

神奈川絵美
K@ブラックジャックさんへ
こんにちは
えっ、そうなのですね。美保子さんに確認してみます。
ブラックジャックさんはお誂え巧者ですよね~
ホント、楽しい
着物もぜひぜひ、いつかトライしてみてくださいな。
きっとブラックジャックさんらしい、はっと目を惹く
一枚になることでしょう
K@ブラックジャック
これはタイムリー
昨日の夜届いた渋谷の玉川屋呉服店さんからのDMで
吉田さんの個展が来週末3/10~12に出るお知らせが来てました(笑)

いやー。誂える楽しみを覚えてるとそこからハマりだしますね。
私は予算の関係で今は小物ばかりですが。
自分のデザインが技術者の方とやり取りして形になるのは本当に楽しいですよね。
こういうの欲しいな~。売ってないなら作ってしまえばいいじゃない。
少しずつ増えゆくmyデザイン帯・小物(笑)
そのうち神奈川さんのように着物のデザインにも手出してみたいなぁ~
神奈川絵美
とうこさんへ
こんにちは
そうだったのですね。シスレーお誂え記が
ご縁結びになったとは、嬉しいです

お誂えって何だか敷居が高いですよね・・・。
でも、ここにも書いたように
私なんて、私なんて
チューリップだの、現代音楽だの、花畑だの
好き勝手申しても
美保子さんはちゃーんと受け止めてくださいましたので
どなたでも、心配ご無用!と思います。
しかも私、実は途中で
コンセプトを変えてしまって
(最初はパウル・クレーのイメージだったのが
アルフレッド・シスレーに…)
それでもこうして、とびきりの一枚に
なりましたので、大丈夫
良かったら、いつか、ぜひ…。
とうこ
素敵な出会いでシスレーが生まれたのですね。
私が絵美さんのブログに巡り合ってのめりこんだ?のもシスレーの記事を読んでからでした。
おあつらえってとても難しそうだし、好きな色のトーンとか、どう伝えたらいいかわからないし・・・と思っていたのですが、こんな風にディスカッションを進められて(そして、どうしても着物初心者って作家さんに対しておどおどして身構えてしまいそうですが)吉田さんのように、優しく迎えてくださると、なんか自然体で気持ちを伝えられそうですね。いつかは・・・私も・・・を目標に!
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