神奈川絵美の「えみごのみ」

コスモスに誘われて


(ああ、今回のテーマは「花」だっけ)

九谷焼の流れを汲む、色絵磁器作家 佐藤亮先生の個展(~10/13)へ
伺うにあたり、
当初はこんなコーデを予定していました。


藍色の大島に、こうげい扱いの単衣帯。

でも、気温は30℃近くになるというし、
かといって、この日は午後から医学会にも顔を出さねばならず
おとなしめな方が無難だし。

そこで

(ああ、今回のテーマは「花」だっけ)
単衣の本塩沢を引っ張り出し
コスモスの帯を合わせました。
帯周りはすっきりと、メタルの帯留めにして。

上半身はこんな感じ。


後ろと横はこんな感じ。タレが長すぎました


国立駅徒歩5分の画廊「」は
元外交官の奥様がオーナーで、
小さいながらサロンコンサートもできる上品な欧風インテリアの部屋が
2Fに併設されており、とても落ち着く空間。


お久しぶり! 先生と会うのは2年ぶりでしょうか。
でも、今年の始めに「銀河鉄道」をテーマにした小鉢を
創っていただいた際、電話や手紙でやりとりしたので
あまり間が空いた気がしません。

いつも変わらず、穏やかでふんわり、物腰の柔らかい先生。
この日はいつになく、限られた時間にも関わらず
たくさん、たくさん話をしました。

私のプロフィールにも興味を持ってくださっていたようで
互いの「これまで」を話しているうち

「こういうのもおこがましいですけど、先生と私って似ていますよね?」

何と言うか、人生の節目節目で、道を選び取っていくときの
考え方や感じ方に、多くの共通点があるのです。

先生は、アカデミックな芸術の教育は受けておらず、
実用書の出版社を経て29歳のときに、
「根拠のない自信があって」好きな陶芸の道へ飛び込み、加賀市に居を構え

「九谷焼は当時(1970年代)から分業が確立されていたのですが
僕は土をこねるところから絵付けまで、全部一人でやりたかった。
そういう人は他にたった一人しかいなくて、見よう見まねで始めたんです」

築70年(当時)の民家を改築し、
「8畳ほどの、土をこねる場所の傍に窯もあって、
絵付けはまた違う、庭の見える場所で」

「最初は不安だったけれど、やっているうち僕は、
こういう(あれもこれも自分でやる)スタイルが好きだし、向いていることが
わかったんです」

この「根拠のない自信」とか、
「これはできそう、うまくいきそう」なときは理屈ではなく、感覚でそう思うこと
は、私もそう。

先生とは20歳以上、離れているのですが、
もしかしたら前世は兄妹だったのかも!?と(不遜にも)思ってしまうほど
共感することがたくさん。


コスモスに誘われ……
秋のプレート他、3点いただきました。
後日改めて、アップしますね。


佐藤先生いわく

「新しい道に入って最初の10年間は、無我夢中ゆえに、楽しいんです」

    私「そうそう、私もそうでした!」

「でも、20年目くらいで、嫌でも自分の置かれている立場、位置を
知らされることになる。そこで、理想と違っていたり、この先どうしようと迷ったりする」
  
     「あっ、私、まさに、イマココです!」

「ここで、辞めてしまう人も何人もみてきました」
 
     「・・・・・・。」
 
「でもね、ここでいかに粘れるか、なんですよ。
そうするとね、40年経つと楽しくなってくるんですよ!」

     「はあ、40年、ですか……」

今の仕事で40年。私、70歳。
あまり想像できないけれど……。


「僕、神奈川さんが5年後、10年後どうなっているのか、
楽しみなんですよ」

そんなお言葉に、勇気づけられたりもして。


私も人間ですから、ときどき、自分が人からどう映っているのか
気になることはありますが、

もし、私が佐藤先生に感じる温かで軽やかな印象と、同じような印象で
私も人さまから見られているとしたら、


私も、まだまだ、なかなかのものじゃないかな、などと思ったりもするのです。


※佐藤先生に特注で創っていただいた「銀河鉄道の小鉢」の話はコチラ
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