京都から戻った夜、 吉田美保子さんからメールが入っていた。 もうすぐ生まれる、私の着物。 機の傍で、ひそやかに、羽根を伸ばす瞬間を待っている、 これはきっと、春のミューズだ。 -美しく気品を持って、きらきらと光をはらみ、清流の透明感を持ち、 かつ、大胆に、美しく気品を持って…- ただひたすら、そう思いながら織っている、と吉田さん。 まっすぐな気持ちに、胸を打たれた。 布に生命が宿るとは、こういうことか。 この着物に相応しい“自分”にならなくては。