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単の襦袢に袷の大島を着たけれど、下は夏用でも良かったな…と思わせるほど
帯周りに熱がこもる。
この日は「シスレーの居る風景」を迎えに、横浜へ。
仕立てあがった着物は、反物のときにはわからなかった、
袖から前身頃~衿にかけての色の移り変わりが美しくて。
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「横に入っている線も、例えば顔近くにポイントとして入るものは強く、そうでないところは弱く、と
めりはりがついているんですよ」と山本秀司さん。
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偶然、仁平幸春さんから山本さん宛に電話が入り、
ちょうど今…と、代わってもらう。
八掛がとても素晴らしくて、と、上手く伝えたかったけれど、
その素晴らしさ、この気持ちをどう表したらいいのか。
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襦袢とともに持ち帰り、夜、静かな部屋で一人、しつけ糸をとる。
肌ざわりや、しばらく忘れていた袷ならではの重みを確かめながら。
ほくほくと時折、指が糸にひっかかる、その感触を確かめながら。
衣桁にかけて、帯で隠れるお腹部分の茜染めを見たとき、
吉田美保子さんがご自身のブログで、「茜がこの方を守りますように」と
書いてくださったことを思い出し、
(ああ、私は守られているんだ)じんわり涙があふれそうになった。