神奈川絵美の「えみごのみ」

ダブルでラッキー!

千葉方面に取材の仕事が入った。
(これはいい機会)と、ブログを通してやりとりさせていただいている
衣舞の袖さんのお店へ寄ることに。


なす紺の結城に、首里織の八寸。
帯はさらっとした地風で、冬に向いているとはあまりいえないが、
色が控え目なので、仕事にはちょうど良い。


後ろはこんな感じ。

千葉駅でまごまごしていたら、
「絵美さーん」とよく通る声が。
衣舞の袖さんが、改札口近くで待っていてくださったのだ。
優しい目元と明るい笑顔がとても印象的。
はじめまして…! なんだけど、すぐ打ち解けて、
まるで前からよく知っているお友達みたい。


城間さんの染め帯、12マルキの泥大島
置賜紬に、加賀の染め小紋 etc.
お店でお宝や掘り出し物をたくさん見せていただいていたら
あっという間に時間が経って…。

慌てて帰りがけにツーショット。

ショールで隠れてしまったけれど、
衣舞の袖さんの帯は知念貞男さんのもの。
大きな絞りの半衿も、可愛くてよくお似合いでした


さて、いつもならここで終わるところだが、
この日はさらに、ラッキーなエピソードが2つも


陽も落ちて、取材先に向かうタクシーの中、
50代半ばと思われる男性の運転手さんに突然、
「いつもお着物をお召しですか?」と聞かれた。
なんと彼は、かつて奄美大島紬をデパートに卸す仕事をしていたそう。

「あのころは…附け下げのような感じで柄を織りだしてね、
180万とか200万とか、そんな値段をつけていたねぇ」

バブル絶頂のころらしい。
「あ、値段は私らがつけるんじゃなくてね、デパートがつけるんですよ」
苦笑いしながら付け加える。
大島はいいですよねぇ、着やすくて。私がそう口にすると、
そうでしょう、そうでしょう、と、にこにこ顔が一層ゆるんだ。
しなやかでね、裾さばきもよくてねえ…。

「着物を素敵に着こなしている人を見ると、嬉しくて」というのは
お世辞だろうが(私は黒いコートを着たままだったし)
あー、この方は、本当に着物が、奄美大島紬が好きだったんだなあ、と
私も彼の懐かしい思い出の中にちょっとお邪魔したかのような
ほのぼのした気分になった。


次の「ラッキー」は取材先の病院で。
やはり50代半ばくらいの男性の整形外科医、O先生とお会いした。
フレンドリーかつ熱心に対応してくださり、良いお話をたくさん伺って、
「ありがとうございました」と録音を止めた途端、
「あの、着物はよく着られるんですか?」ときた。

「僕ね、丹後の出身なんですよ。丹後ちりめんって知ってる?」
もちろん、知っていますとも…!
「昔は農作業のない時期に機をぱったんぱったんみんなやっていてねぇ…」
だから着物は身近だったし、今でもうちの家族は結構着るんですよ、とO先生。

「今どき着物をきちんと着ているなんて、すごいですね」というのは
お世辞だろうが、
とにかくびっくり。
今まで取材で会った男性の医師の9割以上が、
着物に対してノーコメントという実績を考えれば、
(言葉は多少悪いが)これは「大 金 星」ではないだろうか。


ブログ縁の方と楽しいひとときが過ごせた上に、
タクシーの運転手さんといい、取材先の医師といい、
着物縁のある人と立て続けに偶然の出会いとは…


   …近ごろ、私、何かのオーラが出ているのかも…!
                               うう女のオーラが

コメント一覧

神奈川絵美
Miwakoさんへ★
こんにちは 確かにこの色合いですと、「着せられた」感がなくて、なじんでいるように見えたのかも知れないですね。

日本もこの20年あまりで景況がずいぶん変わりましたから、こうした産業に関わっていた方もいろいろあったことと思います。着物文化がいい形で維持されていくといいですね。
Miwako
オーラ出てますよ。
襟元がすっきり決まっていて、しかも地味めな色合いの着物が、かえって通好みと、そう思われたのでしょうね。自然に身についていると。

着物のお仕事をしていた方が、今はタクシー運転手って、寂しいですね。 これが現実なのでしょうが、着物産業は本当に踏ん張りどころで、なんとか衰退しないよう、私たちも、もっと着ていかないとですね。
神奈川絵美
はつきさんへ♪
こんにちは そうですよね、50代以上の方なら何らかの思い出があるかも…。こう、着物姿を見て、忘れていた昔のことを思い出し、懐かしい気持ちになっていただけているならいいですよね。
今回は珍しく男性2人からの反応だったので、とりわけ嬉しかったです
はつき
http://blog.goo.ne.jp/asochan0930
すっかり日本人の日常から遠ざかってしまった着物ですが、こういうエピソードをうかがうと、実は、まだまだ着物というものを愛している人は少なからずいるのだなあと思わされます。
自分が着物を着ることによって、普段は忘れている着物への愛情を思い出してくれる人がいるって素敵ですね。
神奈川絵美
衣舞の袖さま♪
こんにちは そうなんですよ~衣舞の袖さんに会えただけでも嬉しかったのに、偶然が重なってエキサイトした一日でした。

仕事のときは、暗めの着物の方が自分も気分が落ち着いて、いい感じがします
衣舞の袖
そんなことが・・・
http://plaza.rakuten.co.jp/tagasode/diary/201002220000/#comment
絵美 さま

こんばんは。
あの日のその後、そんな続きが有ったのですね~^^
きものでのフットワークの軽さには脱帽です。さらに「きりっと」お仕事モードのきものの着熟し、素敵でしたね。






神奈川絵美
最愛チャンミンさんへ★
こんにちは おっしゃる通り、洋服ではなかなかこういう展開にはならないように思います。そもそも昔は、作る方も着る方も、各々の地域で生活に密着していたもの。思いの深さは洋服の比ではないのでしょうね

熊本…またいつか訪れたいです。そちら方面の仕事のご縁があるといいなあ…
最愛チャンミン
素敵な広がりですね。^^
絵美様のすっきりとした上品な着姿にうっとりです。楽しい時を過ごされたようで読んでいて私まで嬉しくなりました。

きものがご縁でお話が広がることってありますね。洋服ではこうはいかないと思います。何よりきものや帯には作り手の思いがダイレクトに届く一面もありますし。

私も大切に巡り会えたきものを着ていこうと思いました。

いつか熊本にもおいで下さい。ご一緒したい呉服屋さんがあります。絵美様とそちらのご縁がありますように。
神奈川絵美
りらさんへ★
こんにちは そうですよね、嬉しいです
着物の楽しみって、買ったり集めたり、装ったりといろいろありますが、そこから人とのコミュニケーションが生まれることも、私にとっては大きいなと思っています。
洋服でもそういうことはあるのでしょうけれど、着物だとなおさら、心に残るエピソードが増えるような気がします
りら
嬉しいですよねぇ。
ただの「良いですねぇ」「素敵ですねぇ」だけでも嬉しいですけど、関わっていた方や身近にある方に褒めていただくというのは、嬉しさも一入ではないでしょうか?

そして・・・・相手の方々も着物を着ている人を見て、本当に嬉しく思われたのでしょうね。

着物着ていて良かった~♪と思える瞬間が何度も続くなんて、こいつぁ春から縁起が良いわぃ!ですね。
神奈川絵美
やっぴーさんへ☆
こんにちは スケートネタ大歓迎です 
ホント、着物を着ていないと生まれなかった会話ですから、チャレンジャーな「うう女」冥利に尽きるというものですわ
やっぴー
わぁっ♪
ダブルといわず、もうトリプルアクセルくらい
行ってるんぢゃないですか~
いいですねえ、お着物をお召しだからこその
なせる技ですよねえ
神奈川絵美
たにこのさんへ☆
こんにちは おお、ささ女でしたか。確か強力なリーダーシップを持っているのではなかったでしたっけ。うんうん、わかります
へ理屈…はわかりませんが、いつもとっても楽しいお話を聞かせてくださるので、そういう頭の回転の速さも、ささ女ならではでしょうね、きっと
たにこの
絵美さん、今日のコーディネートも素敵です☆
やはり、すごく着続けることでもうすっかりと”着物”をご自分の物になさってるんですよね。

あと・・・遅ればせながらやってみました、うさうさ脳。
私、絵美さんとまったく反対で”ささ女”でしたー(汗)私の右脳、なにやっとんねん。
でも、「転ばぬ先のへ理屈・・・」めっちゃあたってます、これ。
byへ理屈大魔王

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