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 ♪♪♪ H.Tokuda

僕の音楽遍歴2 「おとぎ猫」秘話

2017-02-09 21:18:09 | エッセイ(音楽)


 ユミさんとのデュオを始めて1年と少しが経過した。試しに一度やってみようと軽い気持ちで始めたのだが、今ではこちらのほうがメインとなり、月に2~3回はどこかのライブカフェなどで演奏するようになった。基本は二人だが、HITOMAZzのZENさんを加えて三人でやることもあるし、他の方々の力を借りてセッションをする機会も増えてきた。

 ユミさんとは中学校の同級生だが、別々の高校へ進学してからは互いに音沙汰がなく、何年か前の同窓会で数十年ぶりに再会した。カラオケで彼女が歌うのを聴いて「上手いなぁ」と感心したが、一緒にカラオケに行ったのはその1回きり。僕がライブ喫茶などに出入りしていることを話すと、「私もライブで歌いたい」と彼女が言う。「ほなら、一度一緒に出るか?」と冗談で訊いたら、彼女は「出る!」と本気で答えた。

 初めての出番は「森のくまさん」のフリーライブ。1組2曲、約10分間の短いステージだ。
「彼女、人前で歌うのは、今日が初めてなんです」と僕が言うと、本人は「違う」という。「幼稚園のころ、地蔵盆ののど自慢大会で浴衣を着て歌ったことがあります」
 このMCがけっこうウケて、会場は温かな空気に包まれた。1曲目はいまいち合ってないハーモニーでジロースの「愛とあなたのために」、2曲目は「東京ブギウギ」という、何とも妙な取り合わせ。特に意図したわけでなく、それぞれのやりたい曲を一つずつ選んだらこういうことになったというだけの話だ。
 「東京ブギウギ」では彼女はノリノリで踊りながら歌い、最後はくるくる回って大きな拍手をもらった。およそ50年ぶりのステージで、この舞台度胸は大したものだ。終演後、森のくまさんのマスターから「豊郷小学校旧講堂で開催するフォークジャンボリーに出ないか」とお誘いを受けた。豊郷小学校と言えばアニメ「けいおん」の聖地として名高い所。彼女はその大舞台でもまたノリノリで歌い、くるくると回った。
 最初のうちユミさんはマイクを持って歌うだけだったが、そのうちバナナやイチゴの形をしたシェーカー、八坂神社の御神鈴などの変なパーカッションを使うようになり、さらにはオートハープを弾くようになった。

 僕は彼女の低く柔らかな声が大好きだし、彼女は僕のギターが好きだと言う。このあたりは相思相愛の関係だ。(笑)
 ところが、音楽に対する好みの違いが大きく、演奏曲を選ぶときはよく喧嘩になる。彼女の好きな井上陽水は僕が嫌いだし、僕の好きな吉田拓郎やかぐや姫は彼女が嫌い。そういうわけで、これらの曲はまだやったことがない。最初のうちは昭和歌謡を好んで演奏していたのだが、ユミさんがオートハープを弾くようになってから、ナターシャセブンなどアメリカン・フォークのレパートリーが増えた。
 彼女は曲を選ぶとき、常に衣装のことを気にしている。「1曲目、異邦人でどう?」と言うと、「うん、ええよ」と答える。そのとき、彼女の頭の中では「異邦人に合った服はどれか」と思いが巡らされている。「2曲目、天使のウィンク」と言うと、「それはアカン」とNGが返ってくる。「この服は天使のウィンクには合わへん」と。特に冬場は自分で編んだニットを着るので、余計にこだわりが強い。
 さらに彼女は季節に合った曲を選ぼうとするし、一度やった曲はしばらく間を置かないとやりたくないと言う。そういう難しい問題があり、もちろん技量的な制約もあるので、互いに満足できるように演奏曲を選ぶのは至難の業だ。最近では30分くらいのステージも増え、5~6曲のセットリストを考える必要があるのだが、たいていは二人の妥協の産物となっている。

 さて、これまでに人前で演奏した曲を列挙してみよう。
 東京ブギウギ、蘇州夜歌、月光値千金、上海リル、Side by side、リンゴの木の下で、星の流れに、石狩挽歌、私の彼は左きき、さらば恋人、街の灯り、花の首飾り、ガンダーラ、友達よ泣くんじゃない、アタックナンバーワン、ジョニィへの伝言、涙のリクエスト、あんたのバラード、青い珊瑚礁、スィートメモリーズ、桃色吐息、かもめ、ふしあわせという名の猫、サルビアの花、異邦人、世情、化粧、待つわ、天使のウィンク、オリビアを聴きながら、愛とあなたのために、戦争を知らない子供たち、まぼろしの翼と共に、花嫁、出発の歌、サルビアの花、太陽がくれた季節、サラダの国から来た娘、Top of the world、近江の子守唄、ランブリンボーイ、陽のあたる道、今宵恋に泣く、別れの恋唄、ダイヤの指輪、さよならが言えない、海原、春を待つ少女、せめて今夜だけ、パン売りのロバさん、海に向かって、リターン・トゥ・パラダイス、私を待つ人がいる、森かげの花、初恋、陽気に行こう、ヘイ・ヘイ・ヘイ、柳の木の下、テネシーワルツ、サンタが街にやってくる、アメイジング・グレイス・・・まだあったかな。

 1年余りでよくこれだけやったもんだ。戦前の流行歌から歌謡曲、フォーク、浅川マキからナターシャまでと、ジャンルはかなり広い。同じ曲を何度も演奏すれば少しずつでも上手くなるんだろうけど、前述のような事情で、それもままならない。いつも新鮮な気持ちで、次々と新しい曲に取り組んでいる。上手い下手よりも、まずは自分たちが楽しむことが肝心だと思う。
 彼女は聖飢魔ⅡやXジャパンなどもやりたいらしいが、そんなん、アコギとオートハープでは無理やでぇ。ロックっぽいのをやりたいのなら、と僕が代わりに提案するサディスティック・ミカ・バンドやシーナ&ロケッツには、彼女はまったく関心を示してこない。
 陽水vs拓郎の抗争は今もなお続いている。妥協の産物として中島みゆきをレパートリーに入れているが、僕の大好きな「化粧」は「拓郎みたいな曲や」と言って、一度歌ってそれきりやってくれない。
 そんな中、森のくまさんの「中島みゆきデー」に参加することになった。妥協の産物としての中島みゆき。コアなみゆきファンの方々には、ほんとに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


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2 コメント

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未記入 (今宮テラス)
2018-02-10 02:12:23
わたしの知っているなかで、
十字に帰ろう
私の青空
ホーボーズララバイ
この3曲はわたしも参加させてもらいましたので
覚えていますよ。
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Unknown (Toku)
2018-02-10 03:07:29
今宮さん、ありがとうございます。
ホーボーズララバイのハーモニカ、とてもよかったです。
またぜひご一緒に。よろしくお願いします。
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