明日から2月。
節分は何巻きをたべますか?
海鮮?
ネギトロ?
サラダ?
とあるスーパーマーケットのチラシで、干瓢や桜でんぶ、卵焼きなど一番ポピュラーな具を巻いた、ザ・助六的な巻き寿司に対し
「和風巻き」
と名付けてあるのが、
アレンジし過ぎて基本を見失いつつある店側の苦肉の策の名称みたいで、なんとも切ない型屋2110です、こんばんわ。
(ここまでが挨拶。長い)
毎日寒い日が続いてますね〜。
こう寒いとなかなか布団から出られないのが人というもの。
布団乾燥機が私の相棒です😆
相棒とともに、朝の寒さと戦い、温まったところで....気持ち良く二度寝、三度寝を繰り返し、気付くとすぐに昼夜逆転生活になっています。
(ん?🤔相棒のおかげで布団を出るって話では.....。)
いえ。
特に出る話では無いです😶
思うさま、どれだけでも布団に居ます。
私にとって、時間に縛りの無い「独り身の職人」という仕事の最大のメリットです!
わたくしメリットを謳歌しております!どや!
(おっと全世界のサラリーマンの皆さんの舌打ちが聞こえるようだ)
まぁ寝倒すと言ってもせいぜい24時間程度なのですが、
皆さん聞いてくださいよ。
もう8年も寝倒してるやつが居るんです!
それは....
生 紙 (ナマガミ)です!
/バァァァン!\
私が2014年に寝かしつけてから
もう今年で8年になります。
寝すぎやろ。
生紙ー。hahaha〜 ┐(´∀`)┌
生紙とは?
伊勢型紙を作る為の専用の材料「型地紙」の1種。
ていうか、型地紙って種類あるんです。
地味に。
ここで型地紙の基本的な作り方を振り返ってみましょう。
1.和紙3枚に柿渋を塗って1枚に貼り合わせ、板に貼って天日に干す。
2.室(むろ)に入れて煙で燻す。
3.柿渋を塗る。(2回目)
4.板に貼って天日に干す。(2回目)
5.室(むろ)に入れて煙で燻す。(2回目)
6.検品して半年〜1年寝かす。
ざっくり説明するとこんな感じ。
1〜5の工程ですでに約40日程度かかり、その後出荷までに1年。
購入した型彫師も何年か寝かせて使います。
より詳細に知りたい方は現在唯一の型地紙製造を行う「伊勢型紙おおすぎ」さんの解説ページへ
なぜ寝かせるの?
簡単に言えば、彫りやすく、染めやすくする為です。
時間が経ってより水分が抜けて紙が枯れると、サクサクした彫り心地になり切れ味の良い紙になります。
また、寝かせる事で伸縮が落ち着き、染めに使う際に柄が繋ぎやすくなります。
そして実は今説明した作り方は一番ポピュラーな「二度室」(にどむろ)の紙の作り方。
型地紙はこれ以外に、かなり少ないですが
・一度室の紙(手ぬぐい・浴衣の型紙用)
・生紙
・縞彫り用の生紙(和紙2枚でできてる)
の3種類があります。
(他にもあるのかな?←よく分かってない)
ではでは我が家の寝ぼすけ「生紙」の作り方をご紹介
1.和紙3枚に柿渋を塗って1枚に貼り合わせ、板に貼って天日に干す。
2.ひたすら寝かす。
以上!!!
!?!?
実は生紙は室入れという紙を燻煙する製法が開発される以前の作り方。
(室入れは明治以降に開発)
自然枯らしの紙と呼んだりします。
普通の型地紙は茶色。
燻したいい香り。
それに対し、出来上がったばかりの生紙はかなり明るい肌色。
そして柿渋のなんとも言えない香り。(くさい)
これを何年も放置しておくと柿渋の影響で少しずつ色が茶色がかってきます。
煙のヤニがついてないせいか、普通の紙より彫りやすい紙だそうで。
彫りやすいという事は
より難しい柄に挑戦できるという事!!
欲しい!!
しかしこの紙、すでに伊勢型紙おおすぎさんでも販売を中止していたシロモノ。
欲しい!
生紙!
生紙ぃーーー!ガルルル
彫りやすい紙だと親方からその紙の存在を教えてもらってから気になって気になって仕方なかった私。
親方が入っている技術保存会という国直轄の団体には現在も特別に生紙を納品してるのですが、私は野良🐶
しかも当時は修行4年目のペーペー。
((お前がどんな凄い型紙彫るっちゅうねん。
ある紙使っとけや。))
という那須の中の那須さんの声も聞こえつつ。
ついに思い余っておおすぎさんに柿渋で張り合わせただけの紙をお願いしに行きました。
ええぇ?(ちょっと嫌そう)
自分で寝かすの?
ほんとに要るの?生紙?
若干引き気味な紙屋さんを説き伏せ、なかば強引ではありましたが生紙を作って頂く事ができました。
やったー!
できたての生紙(くさい)を工房の棚に積み、ホクホク顔で紙を寝かせたのは、そう、2013年4月のこと。
(読みにくいですが納品時一緒にもらった柿渋付きの新聞にでかでかと2013/4月〜と書いてある)
あれから数年。
しばし存在自体を忘れ....(笑)
2019年あたりに、ふと
そろそろいいんじゃね?とのぞいてみると、なんだか色も深くなって。
お!枯れてる枯れてる!
わーい!でも本当に大丈夫かな?と恐る恐る少しずつ使っています。
さて
いざ手製の生紙で型彫りを始めてみると
確かに刃が進みやすい!!
かも!!
?
まあ気持ちの問題かも!😂
結果として生紙だからといって格段に小刀がスムーズに動かせるようになる訳ではありませんでした。
しかしまだ成長途中な私だからこそ、環境や道具、素材を整える事が良い型紙を彫るためには必要だと思うのです😅
紙を裁ち、
小刀を研ぎ、
図案を準備して、
さあ型紙を彫るぞ!と
小刀を突き刺した瞬間小刀が思うように動かない時の絶望感。
小刀の研ぎがいまいちなの?
紙を重ねすぎた?
紙がハズレを引いた?
姿勢?体調が変なのかな?
それとも全部??
生紙を使う事で少なくとも「紙」の要素だけでも不安がないのは救いです。
長き眠りについていた臭い紙(失礼)は、ありがたき生紙として成長しました✨
ここぞ!↓という時に
長き眠りから叩き起こし大切に大切に使っています😄
もう臭くないし(重要)
生紙。
そろそろ次の仕込みの準備するため、張り合わせただけのくさい紙を頂きに上がりたいと思います。
使えるのは5年後か....
伊勢型紙おおすぎさん。
また宜しくお願い致します。
では皆さんも良い眠りを〜(^o^)/