さて、令和最初の落語会は一花の独演会だったが、続いての会もなかの芸能小劇場での一朝・兼好二人会だった。
この二人、対照的ではあるが通にとってはなかなかたまらない会である。先代柳朝の弟子にして、一之輔や一花の師匠でもある一朝。
かたや兼好は好楽の弟子だが、この二人はともに先代正蔵(彦六)の孫弟子という共通点もある。
そもそも一朝は正蔵に弟子入りを申し出たが、林家あとむや林家九蔵(現好楽)が弟子にいたため断られ、惣領弟子の柳朝に預けられた経緯がある。
その九蔵も真打になる前に正蔵が死に、圓楽に預けられたという経緯があるという点でもなかなか興味深いが、芸風は正反対だ。
さてまずは一朝の弟子の朝七が登場、平成最後の落語会で達者な「金明竹」を聞いたばかりだが、今回は・・・おっ、これは「浮世根問」ではないか。
いやいや久しぶりに聞いたぞ・・・しかもなかなか達者だ・・・だが途中で降りたこともあり、演目上は「魚根問」になっていた。
そして一朝の登場、いつもの挨拶から始まって始めたのが「たがや」だった。江戸前の啖呵が抜群で柳朝を思い出させてくれるような本物の江戸弁だ。
続いて兼好の登場。いつものように空気から動き出すようなスタートから始めたのが「崇徳院」だ。わかっちゃいるけど爆笑の嵐・・・たまらん。
中入りをはさみ、兼好の再登場。今度のネタは・・・おっ、「大安売り」だ。久しぶりに聞いたが、兼好ならではの想定外のギャグにすっかりやられてしまった。
そしてトリは再び一朝だ。何を・・・と思ったらいきなり馬喰町の・・・ときた。これはもう「宿屋の富」だ。
案の定、江戸前のセリフ回しが切れまくる宿屋の富だ。それにしても、この二人・・・と思っていたが、ハッと気が付いた。
対照的な芸風と言ったが、二人とも江戸の落語の基本は崩していない。本質の部分で二人は似ているのでは・・・と。
その意味では大師匠の正蔵の影が見えてくる。さらに裾野をひろげれば、正蔵の孫弟子の一人小朝も見通せる。
そこにもぴっかりという女流がいて、先日聞いた一花とともに二ツ目で、将来を期待したいところ。
さらにさらに正蔵の孫弟子には正朝がいる。ちょっと悪さをしてしまった過去があるが、噺家としてはなかなかの正統派でもある。
改めて先代正蔵や柳朝からつながる系譜のすごさに感心しながら帰路についた。
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