前日の記事でご紹介したように、天遊は宿として温泉もいいし、景色も素晴らしいが食事と仲居さんのもてなしが魅力のポイントでもある。
チェックインのときに「いつもの」仲居さんに、昨年までお世話になった母が亡くなったことをお伝えしたと書いた。
実は、挨拶に入られたときの第一声が、「桂さんたちとお会いすると、お正月だなあと感じます」と。そこまでお互いに馴染んでいたのだ。
そんな仲居さんに支度してもらう食事は、夕食も朝食も部屋出し。これが不味いわけがない。しかも海鮮にこだわり、夕食では肉は一切出ない。
夕食のお造りは、写真の通り伊勢海老が一人に一匹ずつ出る。一緒に出るお魚もさすがに美味しい。
さらにトップ写真のようにバラエティ豊かな料理が並ぶ。どれも美味しいし、豪華な感じがいいのだが・・・
わけても美味しかったのが、右写真のアワビのステーキ。踊り焼きとか残酷焼きなどとも言うが、これが絶妙な柔らかさで抜群に美味しかった。
さらに、フグのから揚げや海鮮鍋などが続く。海鮮鍋ではこれまた写真のように伊勢海老が入る。なんとも嬉しいくらいに豪華な食材が続くぞ。
お鍋から〆の雑炊をいただき、フルーツをいただくともはやお腹一杯で、苦しい中お風呂に・・・当然のように爆睡体制に入った。
翌朝の朝食は、写真のようにお節料理。前夜の伊勢海老の頭を入れた味噌仕立てのお雑煮は豪華にして美味しい。
と、ここで仲居さんが「忘れないうちに、これをお母様に」と。お菓子をくださった。どうやら、仲居さんが自腹で宿のお菓子を母にプレゼントしてくれた様子。
うーむ、これは感激である。毎年同じ番組を見ているため、その番組まで仲居さんが覚えてしまったくらいだが、とはいえ年に一度の宿泊のお客を覚えてくれているとは・・・
さらにチェックアウトのときにロビーにいたら、再び仲居さんが来て、「この手作りのにおい袋は、女性のお客様限定なんですが、お母様にもおひとつ」と。
もはやウルウルである。こんな気遣いをいただいたら、裏切るわけにはいかない。母と正月にくることはなくなったが、季節を変えて再訪すること、そしてその際は仲居さんとしてあなたをご指名させていただきたいと約して宿を後にした。
毎年同じお部屋、同じ担当者を配してくれた宿の気配り。そして、干支のアクセサリーやにおい袋のプレゼントなど・・・天遊は気持ちと手作り感のあるいいお宿である。
実家に帰り、母の仏前にお菓子とにおい袋をあげ、仲居さんのことをお伝えした・・・
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