以前に浅田次郎氏のエッセイが好きで~なんてことを書いてたんだけど、
実は、苗字をしっかり覚えていなくって
図書館検索で新田次郎氏の名前で探していたあほなわたくし
なかなかエッセイが見つからずに、えいやぁ~とばかりに
その名前で借りた本が【孤高の人】
実在の人物、加藤文太郎の登山家としての生涯が書かれている長編。
私は、まったく登山をしないので、初めて知った名前だった。
長野でスキーをしたことがあって、聞いたことのある山の名前が時折出てくる程度・・・
【孤高の人】の名前の通り、人付きあいが苦手で、単独行に徹した加藤文太郎。
彼は"地下足袋の文太郎"とか"単独行の文太郎"と呼ばれ、
社会人登山家としての道を開いた草分と知られるらしい。
そんな文太郎が単独で冬山へ入り、その強い風に対して最初は
「ちくしょうめ、ちくしょうめ」と風にむかってたたきつけるのだが
駅で道連れになった老人の言葉を思い出し、
「えれぇこった、ほんとにえれぇこった」
といいながら歩き出すと、不思議に気持ちが落ちついて来る。
気持ちが落ちついて来ると、風の声が良く聞こえる。
老人のいった、えれぇこったということばは、
えらいことだのなまったものだろうが、
その言葉は哲学的な深みを持っているように考えられた。
たいへんなことをやろうとする以上、
たいへんな覚悟でかからねばならない、
いそがず、あわてずに、慎重にやらねばならないことが
えれっこったと口でいいながら歩くとえれぇことに
ならなくて済むのだ。
《孤高の人 第二章 展 望》抜粋
冬山の一場面がそのまま実生活と同じとはいえないにしても、
一時期、気持ちに余裕のなかった私は、
見えないものに対して、「ちくしょうめ」と怒っていたのかもしれない。
それが自分の周りに壁を作って、
数ヶ月の間ひとりでもんもんとしていたのかと思う。
文太郎氏が口ずさんだ「えれっこった、ほんとにえれっこった」を私も拝借して、
気持ちを落ち着け、周りに眼と耳を傾けていくことにしよう。
そうすると、また違うことが見えてくるかもしれない・・・
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彼は"地下足袋の文太郎"とか"単独行の文太郎"と呼ばれ、
社会人登山家としての道を開いた草分と知られるらしい。
そんな文太郎が単独で冬山へ入り、その強い風に対して最初は
「ちくしょうめ、ちくしょうめ」と風にむかってたたきつけるのだが
駅で道連れになった老人の言葉を思い出し、
「えれぇこった、ほんとにえれぇこった」
といいながら歩き出すと、不思議に気持ちが落ちついて来る。
気持ちが落ちついて来ると、風の声が良く聞こえる。
老人のいった、えれぇこったということばは、
えらいことだのなまったものだろうが、
その言葉は哲学的な深みを持っているように考えられた。
たいへんなことをやろうとする以上、
たいへんな覚悟でかからねばならない、
いそがず、あわてずに、慎重にやらねばならないことが
えれっこったと口でいいながら歩くとえれぇことに
ならなくて済むのだ。
《孤高の人 第二章 展 望》抜粋
冬山の一場面がそのまま実生活と同じとはいえないにしても、
一時期、気持ちに余裕のなかった私は、
見えないものに対して、「ちくしょうめ」と怒っていたのかもしれない。
それが自分の周りに壁を作って、
数ヶ月の間ひとりでもんもんとしていたのかと思う。
文太郎氏が口ずさんだ「えれっこった、ほんとにえれっこった」を私も拝借して、
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