末期のがん患者さんに対して、がん治療に対する疑問を提言した本が2冊ありました。
その本の紹介です。
『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎新書) 著者 中村仁一
中村医師は京都大学医学部を卒業後、内科医として民間病院に勤務。介護保険が始まった平成12年から、京都にある社会福祉法人老人ホーム「同和園」付属診療所の常勤医となる。
「同和園」に来て以降、末期のがん患者で最後まで痛みが出ないがん患者が10人くらい続いたという。10人が共通していたことは、がんが手遅れで発見され、その後、抗がん剤や放射線などの治療を行わず、いわば、がんを「完全放置」していた。
医学の常識としては、末期のがんは、のたうちまわるほど苦しむといわれていた。
平成15年から平成22年までの間に52名ががんで亡くなったが、麻薬を使うほど痛んだケースは1例のなかった。その後も70名以上の患者が続いた。
この人達に共通していることは、がんが手遅れで発見され、さらに高齢でほとんどの人が認知症を患っているために、抗がん剤や放射線などの治療を一切していない。
「自然の最後」は驚くほど安らかなものであり、人間は自然治癒力と同じように、痛みに対しては、脳内麻薬(エンドルフィン)が出ることによって安らかに死んでいける力も持っており、医療が過度に介入するため、人間の本来持っている力が生かされていないのかもしれない。
少し考えさせられる本でした。
もう一冊 『がん放置療法のすすめ』(文春新書) 著者 近藤誠
この本も機会があれば紹介したいと思います。
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