国連は新型天然ガスの「シェールガス」の普及を後押しするため、地下水の汚染などの環境問題を起こさない採掘方法の国際標準をつくる。
フランスが生産を禁止するなど採掘時の環境汚染への懸念が開発の妨げとなっているためだ。
欧米各国の政府のほか、資源開発会社や非政府組織(NGO)を加え、11月に欧州本部で開く会合で具体的な基準について議論を開始する。
シェールガスは地中の頁岩(けつがん)に含まれ、化学物質や砂を含んだ水を高圧で注入して岩盤に亀裂をつくり、採取する。しかし、採掘によって地下水が汚れたり、ガスが地表に漏れ出したりする危険性が指摘され、北米以外では商業生産は本格化していない。
国連は注入水が含有する化学物質や採掘方法を一つ一つ点検し、最も安全性の高いやり方を特定し、それを国際標準にして各国に示す。今のところ、地下水に悪影響を与える化学物質の使用は禁じ、注入水は最終的に抜き出すよう求める方針。セメントで地下水と隔離することも有効と見ている。飲用水の水脈近くでの採掘を避けるため、水脈を確認する地質調査の実施も盛り込む見通し。
北米以外での採掘が本格化すれば開発会社にとってもメリットが大きいため、欧米の主要企業が議論に参加する意向を示しているという。
環境関連のNGOも議論に参加させ、慎重派の意見も国際標準に反映させる。
国際エネルギー機関(IEA)の予測では、2035年時点の天然ガス需要は08年に比べて63%増え、世界のエネルギー需要の4分の1を賄う。開発が順調に進めば、35年に天然ガス全体の11%をシェールガスが占める見通しだ。
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