荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

菅原文太の巻。

2014年12月03日 | 偽りの人生に優れたエンターテイメントを


健さんを追う様に文太兄ィも逝っちまいました。

年末ってぇのはヒト様が亡くなるもんですねぇ・・・。

名作ドラマ【傷だらけの天使】の主役・木暮修の息子の名前は【健太】。

健さんと文太兄ィの名を合わせています。

今やすっかり右京さんの水谷豊が

『ふ~ん、アニキと俺と健太くんの3人で千葉の田舎で暮らそうよ~』

なんて言っていたものです。もう40年前のお話。

文太兄ィといえば【仁義なき戦い】シリーズです。

学生の頃、数作観た事はありますが、あんまし記憶にないんですよね。

正直【実録モノ】より【任侠モノ】の方が好みなんです。

そんな中いちばん印象に残っているのが、テレビドラマ版【幸福の黄色いハンカチ】。1982年の作品。

このドラマ版、意外とご存知ないヒトも多いのではないでしょうか。

健さんが演じた島勇作を文太兄ィ、武田鉄矢が演じた軽薄な若者をアパッチけんと光石研、桃井かおりが演じたオンナのコを亡くなった田中のスーちゃんがそれぞれ演じておりました。

このドラマ版はドラマ版で結構味わい深く、記憶に残っております。

確か、誕生日祝いをして貰った光石研があまりの嬉しさに泣いてしまう、というシーンが忘れられません。

僕の記憶ですと、このドラマ版は再放送されていないはず。

ですので『あー、ドラマ版の【幸福の~】をもう一度観たいなぁ』と何年に1回かぼんやり思ったものです。

さて、時は21世紀をむかえたある日、僕は出張で地方のある街に行きました。

当然ビジネスホテルでテレビカードを購入します。

んで、当然レインボーチャンネルとかチェリーボムのお世話になります。

及川奈央とか夏目ナナとかの時代でしたねぇ・・・。




んで、当然賢者モードになります。

その時、目に入ったのがドラマチャンネルみたいなプログラム。

よくよく確認すると、まさにこのドラマ版【幸福の~】が今から始まる!ってなタイミングでした。

残念ながら全話を観る事は出来ませんでしたが、いやぁ大満足。

文太兄ィの島勇作は健さんとはまた違った、優しくとっつきやすいキャラだったと記憶しています。



最後の映画作品【わたしのグランパ】のラストのカチコミは実に良かったですねぇ。

ラストだったかな・・・?



健さんの事を『あのオカマ野郎』と揶揄していたそうですが、天国では仲良くしてつかぁさい文太兄ィ

ご冥福をお祈りします。




文太兄ィ民放連ドラ初主演【警視庁殺人課】。

最終回は、主要メンバーの刑事が全員殉職してしまうという怪作です。

天切り松 闇がたりの巻。

2014年12月03日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を


浅田次郎が好きで一時期までは、ほとんどの作品を読破しておりました。

ただ、近年は浅田次郎の趣味嗜好の偏りが、作品に染み出し過ぎている様な気がして、あまり読んでいません。

壮大な物語が苦手なんです。

そんな中、久々に【天切り松 闇がたり】シリーズを読みました。

第5弾【ライムライト】です。

僕はこの【天切り松~】シリーズが浅田次郎作品の中でもっとも好きです。

粋で人情味あふれる怪盗たちが、大正・昭和の帝都を駆け抜ける・・・。

ひとつひとつのエピソードが、それは丁寧に練られており、泣いてしまった事も一度や二度ではありません。

実際、泣いちまうので、電車内ではこのシリーズは読めません。

粋とはなにか、漢気とはなにか、優しさとはなにか、を徹底的に僕らに知らしめてくれます。

キャラクターシフト自体は過去の作品【きんぴか】や【プリズンホテル】のキャラクターたちをトレースしている感は否めませんが、言い方を変えれば浅田キャラクターの総決算とも言えましょう。

親分・目細の安吉が放つ度量の大きさ、黄不動の栄治の文句なしの格好良さ、説教寅の不器用な優しさ、振袖おこんの純情な鉄火肌、書生常の繊細な粋・・・どいつもこいつも痺れるキャラクターです。

仕立屋銀次・山懸有朋・永井荷風・犬養毅・チャールズ チャップリンなど史実上の人物も登場し、作品の良いスパイスになっております。

そして浅田次郎のお家芸・美しい江戸弁のオンパレード。

僕も東京下町生まれ。

今もその街で暮らす江戸っ子ですから、この江戸弁はホントに心地良いです。

読後は噺家みたいになりますな。

もっとも黒川博行を読みますと下手な大阪弁になっちまいますが。



僕は3・11以降モノを捨てまくり、今もミニマリストを目指しています。

それに伴い所有していた本も1,600冊全て処分しました。

その中に【天切り松~】シリーズも含まれています。

しかしながら、この【天切り松~】シリーズは手元に置き、下衆で野暮で嫌味な世俗に疲れたらすぐに読める様にしておく方が良いかも。

この作品をもっと多くのヒトが読んでくれれば、この世の中はもっとキレいになる事でしょう。

【天切り松】を演じたのは、故・中村勘三郎。

オトコなら誰もが憧れる【黄不動の栄治】を演じたのは椎名桔平でした。